1 基本は一般的なリバーシのルールに準拠し、盤面が全て埋め尽くされた時、盤上の石の総数の多い方の勝ちとする。
2 このゲームはルールに則った魔法しか使用出来ない事とする。
3 プレイヤーは必ず二人で一組とし、お互いが交互に打つ事を義務とする。
4 お互いに裏切りの魔法のみ、このゲームに使用できる事とし、先手は2つ、後手は3つの裏切りを使用するものとする。
5 最後の一手を打った瞬間に、残っている裏切りは強制で発動するものとする。
以下 裏切りについての説明をする。
・裏切りの魔法を付与した石は、裏返された場合に強制で発動し再度反転するように設定する。
(例 黒→白(裏切り)→黒)
このように反転する魔法を総じてこのゲームでは「裏切り」と呼ぶ事とする。
・裏切りは既に場に置かれた石には付与出来ず、また、初期配置の石にも付与出来ない事とする。
・裏切りが発動し、反転した事で挟み込みが発生した場合は、ルールに則り挟んだ石を反転させる。
・ルール5にあるように、裏返されないまま残った裏切りは、ゲーム終了直前に強制で裏返る事とする。
・裏切りの魔法は必ず使い切る義務がある。
ルールを書いた紙を眼前の2人に提示したカイは、相手からの質問を待つ。
目の前に居るのは位階序列7位の
エルフと聞けば皆が想像する通り、長い耳の見た目麗しい美少女。
何より特筆すべきは些細な動きですら主張してくるその豊満な胸であろう。
その隣で、顔をフィールに近づけ、紙に書かれたルールを覗き込む
クラミー・ツェル。一応フィールの奴隷という位置づけになるが、当のフィールはただの友達として接しており、奴隷と聞けば想像するような傷などはどこにも見当たらない。
紫の髪にややきつい目つきの少女。
そして何より特筆すべきはどんなに動いても、何なら服を押し付けても一切主張する事の無い断崖絶壁であろう。
「このルールでの勝負を提案するのね?」
「じゃないとわざわざルールを見せる?」
その間者がエルヴン・ガルドへの報告をする前に、横からその情報をかっさらっていたフィール達。
間者に盟約を誓った賭けで行わせている定時報告に来たのはしかし、フィール曰く「うるさい羽虫」呼ばわりの
(何か引っ掛かるところある? フィー)
(妙な言い回しで書かれたルールなのですよぉ~。でもぉ~、このルールにはあの蚊の魔法はかけられては無いのですよぉ~)
「『そう、ならやっぱりこのルールの中に仕掛けがあるわけね』……あのぉ? 僕の前で内緒話が出来ると思っているんですぅ?」
途中から魔法を使ったやり取りの内容をプラムに洗いざらい喋られ、驚愕するクラミーとフィールに向けてプラムは続ける。
「蚊呼ばわりされた僕はぁ、その寛大な心で許しましょう。でもぉ、そんなに気が長い方では無いのでさっさと決めて頂けますぅ?」
コツン。と
それまで居た森の中から一転、エルヴン・ガルドの上空へと景色が変わる。
「――ッ!?」
思わず浮遊の魔法をクラミーと自身にかけるフィールであったが、それをあざ笑うかのようにプラムは指を鳴らして。
今度はエルキア城の屋上に、いつの間にか4人とも正座をしている状態になっていて。
「エルヴン・ガルドにお二人の行動をタレこんでも構いませんしぃ、間者が誰なのかを政務に追われている可哀想な方に教えてあげてもいいですぅ。どう動いたところであなた方の妨害にしかならないと、ハッキリ宣言いたしましょー」
さぞ楽しそうに、生き生きと。
そうご機嫌にまくし立てたプラムを後ろからそっと抱いて、
「私の可愛いプラムきゅんが変な気を起こす前に、その勝負受けてくれないかなー」
とカイがクラミーとフィールに告げる。
「受けるしかないのですよぉ~。しかもぉ~、こちらの要求はぁ~、『今日の出来事、及びにエルフの間者に関する記憶の消去』しかないのですよぉ~」
「それだとそっちに旨味無いじゃない? だからさ、勝負を受けてくれるならそっちの要求は問答無用で適用するってのはどう? あ、もちろん記憶の消去はやだから口外禁止って事で」
「はぁ!? あんた何言ってんの!? だったら私らが勝つ必要無くなるじゃない」
口を出したクラミーが、大丈夫かこいつ。と言った、実に空に似た口調でカイに言うが……。
「うん、だから勝った方はお互いに相手の記憶を一つ、誤認させる事が出来るって事にしたいの」
「記憶の誤認?」
「そ。例えば、そっちなら……今回私達が使った間者、そいつを別の奴に誤認させる。とか?」
「……フィー、どう思う?」
「あまり旨味が無いのですよぉ~。別に間者が割れた所でぇ~、もう使う予定も無いのですよぉ~。……でもぉ~、そこのちょぉっとだけ厄介な羽虫さんの記憶を一部誤認させられるというのは、すこーしだけ使い道があるのですよぉ~」
「いい加減寛大な僕もキレますよぉ? あとぉ、大事なお話の最中に魔法を編むのはマナー違反ですぅ」
勝負さえ受けてしまえば、記憶は無くならないまでも口外は出来なくなる。
しかも勝てばその事を利用しようと必ずするであろうプラムも封じる事が出来る。
そんな条件を示してきた相手の真意を探ろうと、悟られないよう魔法を編んでいたフィールの背後が。
突如としてガラスが砕けたような音が響き、次いでパラパラと床に降り注ぐ音が響く。
「本当に厄介な蚊なのですよぉ~。大人しく干からびて死んでくれてればよかったのですよぉ~」
笑顔を崩さず、いつの間にか自分たちが小屋の中に居た事になっている事にも驚かず、その小屋に4つある椅子の一つに座りながら言うフィールと。
そのフィールと一緒に椅子に座るクラミーに対し、カイは、
「私達が勝った時には、あなた達に、空達が
と、さらなる餌を垂らすのだった。
「はぁ!? そんな情報こっちは手に入れて無いわよ!?」
感情に任せ叫んだクラミーは、言った直後にしまった。と奥歯を噛む。
あまりにも突然に、そして、何よりも欲しい情報であるその餌を見せられて、思わず平静さを欠いた。
記憶の中にある空ならば、絶対に一切動じずに「んなもんもう持ってる。他のにしてくれ」とでも言ったであろう。
そんな一人で悔しがってるクラミーに代わり、
「そんな事を言うって事はぁ~、その情報を持っているって事なのですよぉ~。だったらぁ~、こちらの要求を~、『
フィールが即座に提案する。
「もちろんどうぞ。勝てれば、だけど」
「もしかしてぇ~、魔法が無ければ私達は弱いとでも思われてるのですよぉ~?」
「あまり、舐めてると痛い目見るわよ?」
「んー? クラミーちゃんは空の記憶持ってるのに、そんな警戒させるように煽っちゃっていいの? あ、それを利用したブラフでも考えてる?」
挑発に、割とあっさり乗って来たクラミーとフィールに対してカイがそう言った時。
明らかに二人の表情が変わる。
「そう。どうやら本当に
「何でもは知らないわよ。知っている事だけ」
「おふざけはいいのですよぉ~。厄介なのは蚊の方だと思ってましたけどぉ~、こっちも十二分に厄介みたいなのですよぉ~」
「んじゃあ他にはない? 無いなら合わせて欲しいんだけど?」
ゆっくりと手を上げ、盟約に誓う事を周りに促したカイに続くように、それぞれが手を上げて。
「一応勝負中も質問なんかは受け付けるから、分かんない事あったら聞いてね? それじゃあ」
「『
裏切りオセロの勝負の幕が、切って落とされた。