「ねー、いのさん」
「何用ですかな?」
「私に勝負を挑んで欲しいなー、なんて」
プラムの頭に顎を乗せつつ、笑顔でいのに
当然いのが拒むはずも無く、
「いやはやカイ殿も人が悪い。もしや、ここまで計算尽くですかな?」
もはや勝負の話をされれば、警戒を強めるのは当然で。
それこそカイがこの状況を作り出す為にあのシーンを見せた可能性すらある。と、いのは思考する。
空とは違う。わざと心拍数などを確認させて逆に反応を見るような真似では無く。
そもそもそれらをも
「まっさかー。流石に私は自分の体を餌に出来るなんて自惚れて無いよ? 実際貧相な体つきだし、ステフちゃんに比べたら雲泥の差。月とスッポン」
そんないのの問いにカイは、自分の胸の前で山を作り、ジェスチャーを交えて具体的にどこが貧相なのかを説明した。
思わず男共の視線がステフのごく一部へと注がれ、一人赤面するステフをよそに、カイが続ける。
「それで? いのさんは私の言う事、聞いてくれるの?」
「聞くしかないでしょうな。元より、女性の望みは全て叶えるのが男の義務ですぞ。拒む理由はありませんな」
分かったかクソザル。と空に吐き捨て、これ以上この件で追及するな。という釘を刺したいのは、
「不肖、初瀬いの。カイ殿に盟約に誓った勝負を挑みますぞ」
と、声高々に、カイへと勝負を挑んだのであった。
*
東部連合、とある家、とある部屋。
ガサゴソと押入れを漁るいのと、それを見守るカイ。
「おー、あったあった、ありましたぞ」
探し物が見つかったらしく、若干埃被っていたゲームを持って押入れから出てくるいの。
「落ちもの系のゲームとはこのような物の事でよろしいのですかな?」
そういってカイに差し出したゲームは「ちぎってつないで」なるゲームで。
「とりあえずやってみません?」
そういのに提案した。
*
ゲーム開始からものの数分。
いのから操作方法や遊び方を聞きながらプレイしていたカイは、
(あ、なんだこれぷ〇ぷよじゃん)
と、ゲームの内容を理解した。
3~5色の種類がある、よく分からないスライムのような何かは同じ色を4つ繋げると消える。
落ちものゲームというだけあり、上からそのスライムらしきものが降ってくるのだが、色や組み合わせにより落ちる速度が異なる。
そして、これはカイの知るぷよ〇よと違う仕様で、お互いに降ってくるスライムの色と組み合わせが完全にランダムであるらしい。
いのと対戦形式で遊び方を学びながらプレイしているが、当然のようにいのには勝てず、敗北だけが積みあがる。
が、事前に取り決めた勝負のルールは、「カイが勝負を開始する旨を伝えるまでは練習とする」という条件を付けたため、まだそもそも盟約に誓ってすらいない。
カイが勝負を宣言し、そして、試合中にお互いの要求を言い合い、盟約に誓った瞬間にプレイしていた時点でこのカイ対いのの勝負が幕を開ける様にカイは要求した。
「しかしカイ殿はこのゲームの上達が早いですなー。もしや、元の世界に似たようなゲームがございましたかな?」
「どうだろー、私こういうのあまりやって来てないからねー」
「という事は他のゲームはやって来られたのですかな? いやはや、どの様なゲームがあるのか気になりますな」
ゲーム中であろうと、少しでも『
が、それでもカイは祈りながら。願いながら。自身の決めている勝ち筋に乗るように、いのへの罠を思案する。
「――ところで、わざわざ二人きりになる必要、あったのですかな?」
「仮にこのゲームを空達が知らなかったら? 初見殺し可能かもしれないゲームを見せたくないだろうなーと思って「ゲームに関する事は勝負者以外知る事が出来ない」って条件付けたんだけど?」
やや飽きてきたのか、二桁程カイに勝利したいのは、プレイを少し雑にしながら聞いて来たのだが、
カイから逆に質問され、思わずほんの少しだけ、プレイする手が止まってしまった。
(……あの場でゲームすれば味方となる者など多数いたであろうに。……それらを遠ざけた理由が我ら
あからさまな挑発より、
目の前で見て来たではないか。下克上を。ジャイアントキリングを。
そして、そうされた者達はみな一様に、
そう思考し、コントローラーを握る手に、いのが僅かに力を込めた時。
「ん、オッケー。じゃあいのさん。勝負を始めましょ」
と、カイが勝負開始の宣言を行った。