「勝負を始めるのは構いませんが、内容などは未だ決めておりませんぞ? 一体どうされるおつもりでありますかな?」
「それも含めての勝負だよー」
あっさりといのが現在進行中のゲームに勝利し、再度ゲームを始めようとしたのを制止したカイは、これからのゲームに関するルールの決め方を口にする。
「とりあえずもう1ゲームやって、そのゲーム中に交互にルールを言い合って。そのゲームが終わった時に私といのさんがそれまで言ってたゲームの条件でルールを確定。その後、お互いに賭けるもの要求して盟約に誓うっていう流れで」
「この
「そうだったらこんな説明すると思う? 当然、そのゲームが終わるまで条件は言いあうよ」
「では、条件を言うまでの制限時間を設けませんと。先に宣言する側が勝利や敗北寸前まで保留すれば一方的に条件を決める事が出来るということになるのでは?」
いのが口にしたのは当然の懸念。というか、私ならばそうする。と真っ先に思い浮かんだ、しかしカイは取らないであろう手。
それを受けてのカイの返答は、いのがやはりと思えるものだった。
「そこは流石に時間決めるって。5秒以内に条件を言えなきゃパスとみなしちゃおう。これでどう?」
「それならば……しかし5秒というのはいささか短すぎるのでは?」
「さっきまで散々私を瞬殺してたのにそんな事言っちゃう? 10秒とかにしたら下手すると私、何も言えずに負けちゃうじゃん?」
物は試し、と言ってはみたが、あっさり拒否された。まさにしようとしていた事を口にされるも、いのに動揺の色は無い。
考えていて当然なのだ。この
「では5秒という事で。どちらが先に条件を言えるのですかな?」
「いのさんからでいいよー?」
今度は流石に、いのは動揺を数瞬隠す事が出来なかった。
明らかに先に条件を言えた方が有利になるというのに、この小娘は――。
あろう事か私に先に条件を掲示させる……だとっ!? 一体――何を……。
思わず血が湧きそうになるのを堪え、冷静に努める。
万に一つも見落とさないように。自らの勝利の道から踏み外さぬように。
ここで、本当に慢心していなければ。すでに勝ちの道のりに居ると、自覚していなければ。
今までが余裕でカイに勝てていたばかりに、ほんの僅かに、彼の緊張が緩んでしまった。
つまり――まともなぷ〇ぷよならば、カイに勝てる。と思ってしまっていた。
ゆえに、ルールを決めるゲームが始まった時に真っ先に口にした条件は。
「では、この「ちぎってつないで」というゲームのルール。それらを何か一つでも、些細な事でも変化させない事。を条件に致しますぞ」
まともな勝負以外を否定するモノになるのは必然。
そして、条件を口にしたいのは、手を抜いていた先ほどとは比べ物にならない速度で連鎖を組んでいく。
カイがどんな条件を言おうと、次の自分の言う条件でゲームを終わらせる事が出来る様に。そして、僅かでもプレッシャーになるように。
が、カイにとってはそんな条件などもはやどうでもよかった。
ぶっちゃけた話、読めていたからで。正々堂々の勝負で勝ち目など無い事は百も承知だったからで。
「んじゃ私からの条件」
プレッシャーなどさらさら感じていないカイは、淡々とピースを埋める。
もちろん、
「決まったルールは全てお互いの脳内に表示されるようにしよう」
これで、ほぼ全てのピースが揃った。後は――、鬼が出るか蛇が出るか。
まるで操作すらしておらず。どころかただただ真っ直ぐに高く積み上げていたカイは、自分が条件を言うと同時にあっさりと敗北した。
「んなっ!?」
思わず声を上げてしまったいのを責める相手はここには居らず。仮にギャラリーが居たとしても、そのギャラリー皆がいのと同じ反応をしていた筈だ。
「その……本当によろしいのですかな?」
「? 何が?」
「いや――。その、条件がたった2つでよろしいのかと……」
対戦相手の身を思わず心配してしまったいのに対し、カイが向けたのは明らかな怒りの表情で。
「いのさんさぁ、私の事、ちゃんと敵だって認識してないでしょー?」
「い、いえ。その様な事は――」
「嘘。じゃないとあんな発言出来ないでしょ? 私が勝つ事前提の質問なんて、さ。あ、それともただ舐められてるだけ?」
にやけた表情はうすら寒く。穏やかな視線は徐々に鋭く。いのが散々
「んじゃあちょーっとだけ怒ったから、いのさんを挑発しちゃおーっと」
堂々挑発と宣言し、ドヤ顔でとある言葉をいのに突きつける。
「
それは、いのの記憶に新しい、あのムカツクハゲザルと、全く同じセリフだった。