blank page   作:瀧音静

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前回が難産だっただけに今回はさっくり出てきました。
楽しんでいただければ幸いです。

今回ぷよぷ〇用語が多数出てきます為、後書きにてざっくりした解説を乗せておきまするる。


鮮やかに、踏み台に(スプリングボード)

 奥歯に僅かにだけ力を入れ、その挑発を受けたからこそ。

ようやく。それこそカイに言わせてみれば、やっとか。と呆れられても仕方がない。と思えるほどに遅く。彼女の事を敵だと、脅威だと腹に落とし込んだいのは。

 

「ふむ。――気を使わせてしまいましたかな。いやはやお恥ずかしい限りで」

 

 照れくさそうに頭を掻きながら。

 

「では要求を言わせていただいてもよろしいですかな?」

 

 と、先程までとはまるで違う、冷たさを感じられるほどの声で問う。

 

「構わないよ。と言ってもいのさんの要求って、私の知ってる情報全てを教えろ。でしょ?」

「その通りですが私の口から言わせていただきますぞ。どんな所で上げ足を取られるか分かりませんでな。――要求は、「この世界に関する知っている全情報の開示」ですぞ」

 

 いのの変化を望んだ。煽った本人は、煽った結果冷静になったいのに心の中で謝りつつ自分に向けられるだろう要求を口にするが。

しっかり警戒し、自らの口で要求するいのによって雑に入れた罠は回避された。

 

 けど、()()()()んだよねぇ。……なんて言ってたっけ?

 

「チェックメイト。って、将棋で言う王手とは違う。討ち取ったという報告だ。だっけ?」

 

 思わず口に出てしまったその言葉に一瞬いのが鬼のような形相を向けるが、本当に一瞬ですぐに元の表情に戻る。

 

 やっぱり、空に煽られると憤死寸前まで行っちゃうのかなー。――さてと。

 

「じゃあいのさん。私からの要求は――」

 

 実はチェックメイトなんて言ったけどそこまで見えてるだけだったんだよね。言わば詰めろ。の状態。

そして、この一手で完全に詰み。だから、()()()ね? 私はズルいから、布石打ち終わった後で煽って、それに気付いて貰うしか無かったんだ。

 

 『  (くうはく)』ならば、もっとうまく誘導していたに違いない。あの空と白(ふたり)ならば、確信を持って手を進めた筈だ。それが出来なかった私は……弱い。

 

「私が勝ったら、「巫女さんが、私に勝負を挑むように手引き」する事。これが私の要求」

 

 カイの要求を聞いたいのは、脳をフル回転させて考える。

何故、そのような要求をしたのか。そして、その要求の先に何を見るのか。

最初の問いの答えは簡単だ。巫女様を倒す。と宣言しているに等しいではないか。

では、巫女様を倒して何を得ようとするのか。……それが――ついぞ分からなかった。

 

人間種(イマニティ)獣人種(ワービースト)に勝った報酬がその程度では、いやはや考えが分かりませんなぁ」

 

 だから、多少何か情報でも(こぼ)さないかと口には出したが。

 

「それはもちろん、負けてからのお楽しみだよ?」

 

 当然受け流される。

 

「それじゃあ、いのさん。このか弱き人間であるカイは、あなたが負けてくれる事を信じています」

「何をおっしゃるかと思えば、よく分かりませんなぁ」

 

 お互いに視線を交差させ、鏡合わせの様に両者それぞれ違う左右の腕をゆっくりと持ち上げ――。

 

「「『盟約に誓って(アッシェンテ)』」」

 

 高らかに声を合わせてそう宣言した。

 

 ――その直後。

 

「なっ!? 何だこれはっ!!?」

 

 ゲームが開始され、カイの出した条件。「このゲームのルールは全て脳内に表示される」に定められた通り脳内に浮かんで来た()()のルールに。思わずいのは声を上げた。

 

 ・決まったルールは全てお互いの脳内に表示される。

 ・このゲーム部分のルールは一切を変化させない。

 

 お互いが言った条件が逆順で脳内に現れそして――。

 

 ・()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 という二人しかここに居ない理由。カイがこの状況を作り出した。その条件までもが反映されている事にいのは叫んだのだ。

 

 しかし、それで何が変わる。結局このまま勝てばいいのだ。わざわざ負ける理由など……。

 

 ゲームなど半ば上の空で、思案に意志を傾けていたいのの画面に、カイからの催促が飛んで来た。

僅か3連鎖の妨害。それでもまともに受ければ不利になるのは当然で。

仕方なく作っていた本線を崩し、その催促に対応する。

 

 思考に意志を割かせてゲームを疎かにでもしようという案でしたかな?

ですが、我らの五感を侮りましたかな?

 

 その程度ではいのを敗北に導くには当然足りない。そもそもカイの描いた勝ち方でも、負けて貰う道筋ですら無い。

 

 最初の攻防から今度は大連鎖をお互いに組み始め、どちらが先に本線発火をさせるかという場面になり、カイが、ゆっくりと口を開いた。

 

「いのさん。私に勝ったとして。聞き出した情報ってどうするの?」

 

 その一言の後、間髪入れずに本線発火したカイに対して、痺れを切らした。とほくそ笑んだいのは。

一瞬顔を(ほころ)ばせ、そして、引き攣らせた。

 

 慌てて対応しようとした操作を無理矢理変更し、結局、カイの大連鎖に一切抵抗せずに、負けを受け入れたのだった。

 

 (よもや……勝っても巫女様に情報を伝える事が叶わぬとは。――いつから、いや、どんな考えでここまでの展開を作り上げたというのだ)

 

 そう、自ら負けを認めたいのは。勝っても何ら旨味が無い。どころか差し引きでマイナスになる事を理解したのだ。

 

 カイが散々に言葉を選んで巧みにルールに組み込んだ条件。「ゲームに関する事は勝負者以外知る事が出来ない」により、いのは勝って情報を得たとしても、誰にも伝える事が出来ない。

明らかに自分より有効活用するであろう獣人種(ワービースト)の全権代理者にすら。である。

 

 そして、いのに伝える事でこの世界でカイの知っている情報は全てこのゲームと関連付いてしまい。

巫女がカイから情報を得ようと盟約に誓った勝負を仕掛けようと、カイは先の盟約に抵触するため勝負を受ける事すら敵わないだろう。

 

「挑発は私を冷静にさせるため。ですかな」

「わざわざ差し込んだ条件の意味に気付いてもらえずに負ける。何て、無いとは思ったけど、ちょっと保険をね?」

「脳内に浮かばせるというのもさ、勿論(もちろん)意識させる為ですな?」

「せーかい。にしてもうまくいって良かったー」

 

 簡単な答え合わせを済ませ、万歳をしそのまま後ろに倒れるカイ。

そして、その直後にいのの画面から、

 

「ばたんきゅ~」

 

と響き、画面が真っ暗になった。




催促→ぷよぷよは基本的に先に大連鎖を撃った側が不利(相手が連鎖中にこちらの連鎖を伸ばせるため)なので相手に大連鎖を撃って貰う為のけん制。
(3~5連鎖で無視できないおじゃまを降らせるけどお前はどうする?的な感じ)

本線→最初から狙って組んでいた連鎖の事。当然ながら大連鎖を狙って組むため基本的に大きな連鎖になる。

対応→相手からの連鎖に対して同じ程度、又は少し上回る量の連鎖を当てて相手におじゃまを返す事。

本線発火→大連鎖を始める事。文字通り本線に発火し爆発させるという意味。

ばたんきゅ~→ぷよ〇よのとあるキャラの敗北時のセリフ。

以上、ざっくりとした解説終わり!

次回、blank page。巫女さんと勝負する!デュエルスタンバイ!!
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