blank page   作:瀧音静

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1章 ゲーマー少女は欲望の為に進むそうです
報告者(リポーター)


 エルキア王国、首都エルキア――中央区画一番地。

つまり、エルキア王城。その王の寝室でカーテンを閉め切り、窓の外の景色をまるで気にせずに二人で一台のゲームを仲良くプレイする二人。

 

 空。――十八歳・童貞・非モテ・コミュニケーション障害・ゲーム廃人。そしてエルキア国王。

 白。――十一歳・友達無し・いじめられっ子・対人恐怖症・ゲーム廃人。けれどもエルキア女王。

 

 普通の兄弟とはどう見ても思えない対照的な髪の色。そしてお互いに整った顔立ちではあるのだが、それを台無しにするほどの濃いクマ。そして身なりをまったく気にしていないボサボサの髪。

 

 普通の人が見ればこんな二人が国王と女王ならば国の終わりと嘆く事だろう。

だが、ここは盤上の世界、ディスボード。この世界におけるこの二人は人類種(イマニティ)の希望。

 

 そんな二人の元へ空間を繋いで、虚空を出現させて、ひょっこり顔を出す『天使』のような存在。

頭上には、幾何学的な模様を描き廻る光輪と。人を浮かせるには小さすぎる、淡く輝く羽を腰から生やした少女。

天翼種(フリューゲル)の『最終番個体(クローズド・ナンバー)』ジブリール。

  (くうはく)』達に忠誠を誓う位階序列第六位のデタラメの一体、そんな彼女が『  (くうはく)』の所へ現れたのはとある報告をする為で。

 それは『  (くうはく)』達の興味を引く内容であり、

 

「マスター。空から女の子が!」

「「五秒で受け止めろ!!」」

 

 もの凄くネタにされた形で報告された。

 

■■■

 

 ジブリールが普段過ごしているエルキア王国図書館。

その中央に置いてあるテーブルの上に、その女性は寝かされていた。

 

 無造作に腰辺りまで伸ばされた髪・整えられていない眉・うっすらと頬に散りばめられたそばかす・そして、視力が悪いことを強調するような分厚いレンズの眼鏡。

 

 ディスボードの世界で様々な美少女や美女と顔を会わせてきた『  (くうはく)』達にとって、初めてとも言える美人過ぎないその女性は、何やらむにゃむにゃと、寝言を言う。

 

「絶対に…………逃がさない」

「いや、発言怖ぇわ。寝言で言うことか?」

「兄……気を……つけて」

「妹よ、何に気をつけろと? どう見ても人間だろ?」

「噛む……かも? ステフ……みたい……に」

「マスター達の中のドラさんの扱いが少し不憫に感じますが、私からも警戒する事を勧めいたします」

「なんかあんのか?」

「いえ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()精霊回廊を感じる事が出来ませんでした」

 

 一定の距離を保ちつつ会話をする3人。

この中で、特に横たわる女性を警戒しているジブリールがそう告げた時である。

 

「ジブリール、精霊回廊を調べたっつー事は、だ。あれの性感帯を触ったって解釈でいいのか?」

「はい。その通りでございますが、それが何か?」

「ジブリール! 今すぐ性感帯を触った時の感触、反応、手触り、柔らかさ、その他諸々お前が表現可能な限界にまで挑戦してレポートを提出するように!!」

「兄……18禁……ダメ……絶対」

「よく考えろ妹よ。ジブリールは俺らの所有物だ! その所有物からの報告を受けとるのは所有者の義務! そして報告という点において言わせて貰えば病院のカルテ等ともはや同義!! なればそこに18禁なる縛りなぞは無いのが必然だ!!」

 

 独自の発想を飛躍させ、何とかこの世界に(とぼ)しい夜のお供を手にせんとする残念な童貞は、声高々に拳を突き上げながら力説する。

 

 しかし、そんな熱く力説する兄の空を冷ややかな目で見ながら白は、

 

「ジブリール……報告は……『  (くうはく)』名義に……する。これで……白だけの……確認でも……構わ……ない」

 

 と兄の力説をまるで無視する命令をジブリールへと下した。

 

「無慈悲過ぎるだろマイシスター!? つか『  (くうはく)』名義なら二人で一人なんだから白だけの確認だと半人分の勘定になるからダメだ」

 

 それでも諦めきれず、屁理屈を持ってオカズを手に入れようとした空であったが――

 

「0.5人なら……四捨五入……で……一人。ふふ……論破」

 

 同じく屁理屈で返されて、この夜のオカズが空の手に渡る機会は金輪際(こんりんざい)失われることとなった。

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