blank page   作:瀧音静

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リアフレに半ば脅されたのでこんなペースで書き続けてます。
流石に今回の話で一段落したので急かされない筈。
筈……。


無知承認(エニーデフィート)

 アズリールの解答を聞いたカイは、小さく、そして短く笑った。

 どんな意図があったのか、どんな考えでその行動に至ったか理解出来ないアズリールが、もしかして外してしまったか? と不安になるには十分な時間を取ったうえで、

 

「アズにゃん、ごめんね? この勝負、そもそもが根本的におかしいんだよ」

「どういう……事にゃ?」

 

 虚空を覗いていた瞳には、はっきりと光が入り、アズリールへと微笑みながら種明かしをするカイだったが、一方のアズリールは警戒心MAXだった。

 何か読み違えてしまったか? カイの思考に追いつくことは叶わなかったのか?

 そんな疑問が沸いてくるのを、顔には出さずに堪えていたアズリールに、

 

「だって、さっきまでの『秘めました』と全然違うじゃん? 色々な事が」

 

 勝敗の付け方から、テストプレイとはまるで違うこのゲームは、確かにアズリールに不安を抱かせる要因にはなっていた。

 

「それに、さ。私の秘めた内容。どう考えても相手の解釈次第な内容なわけでね?」

 

 先ほどまでの固有名詞では無く、もっと抽象的な解答をカイは設定していた。

 つまりは――、

 

「うちの捉え方でまだどちらが勝つか決まるって事にゃ?」

 

 まだ自らの勝利と敗北とを対戦相手に決めさせる、という事実にアズリールの思考はもはや止まる。

 信じられないから。

 そんな相手は、これまでに誰も居なかったから。

 

「という訳で私の思い描いていたのは――――」

 

 息を飲むアズリールへとカイが突きつけたのは――。

 

「『今の私みたいに』だよ」

 

 アズリールの目を点にする言葉だった。

 

「――――そういう……事にゃ」

 

 思いもよらない言葉を受けて、一瞬戸惑うアズリールだったが、先ほど止めた思考を再び回し、言葉の意味を考えていくにつれて、目の前のカイという人類種(イマニティ)という存在に、段々と恐怖すら覚え始める。

 Qどのように人類種(イマニティ)大戦を生き延びたか?

 A今の私みたいに。

 このやりとりで、注視すべきは「今の私」がどのような状況か、であり、それを踏まえたアズリールの解釈は――。

 

(死ぬ気で……決死の覚悟で戦いに挑んだからって事にゃ)

 

 十分に納得してしまえる結論に至った。

 

「なるほどにゃ――。うちの負けにゃ」

 

 口でそう言って、顔は笑顔をカイへと向けて、されど思考だけは未だに止まらず動き続けるアズリールに対し、カイが取った行動は予想外の事で。

 

「アズにゃ~ん、怖かったよ~」

 

 半泣きでアズリールの胸へと飛び込んだのだった。

 

「にゃっ!? ちょ、待つにゃ! こら! にゃはははは! くすぐったいにゃ!」

 

 豊満な谷へと顔を埋めて柔らかさを堪能するカイの頭を撫でながら、ふと、アズリールの思考がIfの世界を考える。

 

(もしアルトシュ様の事を聞いていたらどうなってたにゃ? 解答は変わらないはずで、うちなら――)

 

 やめておけば良かったと、結論を出した後に思ってしまったアズリールは、未だに自分の谷間から顔を上げないカイへと恐怖を抱かせた。

 

(ま、まさかにゃ。うちが人類種(イマニティ)の事を聞く確信があっただけにゃ……)

 

 そう思わなければ信じがたい現実に直面してしまう、とアズリールは少しだけ逃げてしまった。

 Qアルトシュ様はどうやって討たれたにゃ?

 A今の私のように(決死の覚悟をした人類種(イマニティ)によって)。

 そう行き着いてしまった思考から。

 

「色々と、聞いてもいいかにゃ?」

「何でも聞いて~。あ、ゲームの事だけね」

「分かってるにゃ。なんで泣くほど怖かったのに、あんなに簡単に命を掛けられたにゃ?」

 

 答え合わせの時間。

 そう決めたアズリールはカイを自らの胸から引き離して質問する。

 

「私の夢の為だったから。その過程で命を落としたとしても後悔は無い。そう()()()()()から」

 

 どれ程の存在が、この考えに至れるのか。

 どれだけの体験をすれば、この心持ちになれるのか。

 言いようのない恐怖を感じたアズリールの事は無視してカイは続ける。

 

「この世界は全てがゲームによって決まるんでしょ? 国境線の奪い合いも。――そして命も」

 

 唯一神(テト)は言った。

 あらゆる物事が、ゲームによって決まる、と。

 それならば、あらゆる物事を賭ける事が出来ると解釈出来るだろう。

 故に、

 

「だったら自分の命の利用価値なんてたかが知れてるし? 死ななきゃ安い(しなやす)の精神で使い倒すのが安定でしょ?」

 

 という一歩どころか半歩でも間違えれば死ぬような状況すらも受け入れた。

 それが、夢の為になるなら、と。

 

「本当に、規格外だにゃ~。そんな危ない橋、うちは御免だにゃ」

 

 なまじ元から強かったせいで、そもそも危ない橋などめったに出てこず、仮に出てきたとしても回り道をすればいいアズリールに取って、そんな思考に至る道理は全く無い。

 けれども、持たざる者である他の種族、特に人類種(イマニティ)に取っては危ない橋しか無く。

 

「危なくても、橋があるだけマシ。渡れるだけマシなの。駄目だな~アズにゃんは、私たちの事がやっぱり分かってない」

 

 『  (くうはく)』の言葉を使ったカイは、アズリールへと助言を投げる。

 

「私たちはね、どうしようも無く弱いの。大戦中は逃げて隠れる程度しか出来なくて。大戦後も領土を他の種族に取られ続けて、ちょっと前まではエルキアしか残らなかった位にはね」

 

 あの二人が来る前までの、多くの種族の当たり前。

 見下され、(さげす)まれ、適当にしか扱われなかった人類種(イマニティ)

 

「でもね? だからこそ、私たちは負けを重ねるの。どんなに負けを積み上げても、気が遠くなるような年月を経ても、その負けの塔の天辺に、たった一つの勝ちを積み上げるために、ね」

 

 それが弱者の、弱者に残された、許された、たった一つの勝ち方だ、と。

 

「よく胸に、刻んでおくにゃ」

 

 不本意ながら、自分と比べて僅かしか生きていないただの人間の少女に、いいように踊らされた。

 揚げ足を取られ、誘導され、気付かされ、気が付けば敗北へと自ら進まされた。

 けれどもアズリールは一つ、これまで自分の意識には無かった新しい勝ち方に、気が付いた。

 だから、

 

「ちょっと屋上に行って他の子を呼んで来るにゃ。魔法、仕掛けるにゃ?」

 

 目尻に反射する光を零さぬように、いつも通りの笑顔を上げて、ゆっくりと、城の屋上へと歩いて行くのだった。




と言うわけで今回で対アズリール編が終了でして、この後もうカイがディスボードに来たかった理由を書いて終わる予定だったんですけど、その事を前書きでも書いたリアフレに伝えたらですね……。

友「まだ倒してない種族おるやん? そいつらももちろん倒すんやろ?」
静「え? 考えてないけど?」
友「倒すんやろ?」
静「……時間寄越せ」
友「来年になるまでは待つわ」

なんてやりとりがありまして、ネタを考える事になりました……。

ど う し て こ う な っ た 。

まぁ言ってしまったので倒すには倒すんですけど、とある一種族だけにさせてください。
ネタが思いつかないとか、そろそろ忙しい時期とか色々理由はあるんですけど。
一番の理由に「チョロ過ぎる」というどうにもならない問題がありましてですね。
簡単に勝ち方が思い浮かんでしまって使いたくないとかいうマゾ思考になってしまいまして……。

とりあえず現段階では残り一種族だけ倒す予定です。
この作者のことなので書いてるうちにネタ思い浮かんで気が付けば全種族倒しましたとかなりかねませんが……。

もうしばらくこの作者にお付き合いくださいませ。
ではでは、もうちっとだけ続くんじゃ。
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