銀の鳳の影に潜む者   作:マガガマオウ

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突きつけられた現実~強奪阻止失敗後編~

俺の怠慢がこの状況を作ったかもしれない事実を自身で考察し認識してしまうと、愕然とした強いショックが体を突き抜ける。

なんてこった。自分の強すぎる拘りが結果として自分たちの活動領域を狭めていたなんて……。改めて思い返すと、この弾丸にしてあいつらに協力を要請するなりしたら、出来ていたらもっとましな精度の物が早い段階で出来てたんじゃないのか?

自問自答を繰り返し自分なりの葛藤を続けながらも、俺は引き金を引き続けた。

だが、相手も俺達の攻撃に慣れたのか上手く避けられ中々当てることが出来ない。

散漫になった集中力が照準を鈍らせている。結果直接相対していたアールカンバーへの当たりが強くなっていく。

相手も使い慣れない機体に四苦八苦しているだろう。それにエドガー先輩は新型との戦闘経験がある分は相手のいなし方にも少し心得があるようだが、それでも騎操士(ナイトランナー)の経験の違いが表れ始めている。

じれったい……過ぎた事をうじうじ悩み、まさに今が正念場だというのに援護にもならない攻撃を繰り出し続けてる。(ウェイン・クーランド)はここに何をしに来たんだ……。

表には出さない。だが内心は自身の積み上げてきた価値観がグラグラと大きな音を立て崩れ落ち、ただ自分の描いた幻想を追いかけて自分本位の身勝手な判断でこの惨状を作り上げた……。

……何が、俺とあいつ(エルネスティ・エチェバルリア)は似てるだよ、驕り高ぶりも甚だしい……!

奴も同じように周囲を巻き込むが、その責任は常に自分が負ってきた……。俺は……俺自身は、責任を負ってきたつもりになって、思い上がっていた……!

 

「……目標(ターゲット)、状況を誰より良く見ていたつもりの自分……。」

 

偶々装填していた不発弾を入れたまま、今気付いた愚かな自分に標準をつけて引き金を引く。

頭の中にあった、その時の幻影が窓ガラスが割れるように砕けたイメージが浮かぶ。

 

「……目標(ターゲット)、利己的な理由で最善の結果を出せる可能性に目を背けた自分……!」

 

元々の計画も他人任せなのに、今も結局偶然居合わせた学園の先輩に助けられている……。

目立ちたくない……たったそれだけの理由の為に、よく見もせずに最善の協力者なりえた相手を遠ざけた……。

 

「……目標(ターゲット)!有力な情報を掴みながらその有効的な使い方をしなかった自分!」

 

三度目は、この状況になるまで情報を得ておきながらちゃんと有効活用出来てない俺に向けて放った。

襲撃の情報を決行前に手に入れていながら今に至るまで秘匿し続けている。砦付きの騎士団かディクスゴード公爵閣下の耳に直接伝えられたら、いやそうじゃなくとも学園に残ってたエルネスティの仲間に教えていたらもっと状況は違ったはずだ……!

過ちを犯し続けた結果、最悪の事態を引き起こし、今も未来が有望な騎操士(ナイトランナー)を危険に晒している。そんな独り善がりな自分を撃ち殺した……目が覚める思いだった。

密偵から助けられたあの日、憧れと言う熱病に侵されて我武者羅に一人で踊り続けた愚か者は、この日を境に消え去る。ここからは真の意味でこの国の為にこの身に染み付いた技を使おう……。

気付けばエドガー先輩は追い詰められていた。アールカンバーの腕は二本とも無くなり大きな岩にへたり込んで力を失っている。

メットの中で歯ぎしりをする。俺が自問自答をしている間にここまで状況が流れた。残ってる弾丸もまともに撃てそうなのは一発だけで、時間的に見てもこの一発が最後の抵抗だろう事は容易に想像が出来た。

相手の新型は動けないアールカンバーに止めを刺そうと剣を振りかざしている。明らかに無防備に頭部と腕部の関節を晒してこちらの事はもう眼中にないのだろう。最後の好機だった頭を撃てば当初の目的は達成できるのだがエドガー・C・ブランシュと言う前途ある若い騎操士(ナイトランナー)は失われるかもしれない。腕部の関節を撃てばエドガー・C・ブランシュの未来は守られるが新型は取り逃がす事になる……。あの新型は未完成品だと聞いている。だとしたら構造の欠陥が未だに残ってる可能性が大きい。そんな物を盗まれたって如何って事は無いだろう。だってより完成度の高い新型がこれから作られるのだから。

そんな物よりも一人の騎操士(ナイトランナー)を育てる事の方がよっぽで骨が折れるし時間もコストも懸かる。選ぶ必要などない、答えはすでに出ている。

 

「次弾装填……発射。」

 

俺は、静かに弾を込めて目標に放った……。

 

「命中!……え? 腕部損傷機能停止……。」

 

今度こそ迷いの無い弾道は、振り上げられた新型の腕の関節を穿った。関節が損傷したことで二の腕はその役割を全うすることは出来なくなった。

撃ち抜かれた腕を見て腹立たし気に剣を放り投げると、新型は深い森に入っていった。

 

「purple1……?」

「説明は後でする。今はpurple2、purple3と合流するために待機だ……。」

「……了解。」

 

頭に疑問符を浮かべ此方を見るカイン。それに対して俺は自分がした選択で起こりうるこれからの対策を頭の中で練る事にした。どうやってエルネスティ一派と接触しようか……。

 

 

クルス視点

やばかった。アデルトルートの一言は、気まずい空気で俺達の事を流そうとしていた時にポンッと出て来たのだから。

まぁ、その後は追及の流れになる訳で……。

 

「まぁ~て~!」

「俺達より早いって嘘だろ!」

 

絶賛追い駆けっこの真っ最中でございます!

アクセル全開で運転中の俺のすぐ横を矢のような物が掠めた。

 

「ちょ! 武器使うのは反則だろ!」

「完全に狩人の目をしてますね……。」

 

ちょ! おま、自分が運転してないからって冷静になるなよ! あっ、また飛んできた!

 

「purple3! 反撃してくれ!」

「しかし、当初の目的にそぐわない戦闘になりますよ?」

「そこは、相手に当てないように調整してくれ!」

「はぁ……分かりました。」

 

何か溜め息つかれたんだけど! 渋々従ってる感じ出されたんだけど!

 

「個人的には、代表の意思にそぐわない戦闘は不本意ですが……逃走の為ですから。」

 

魔導バズーカを肩に担ぎ振り向いて、照準を合わせてるようだ…って不本意ってなんだ、不本意って!

こっちは捕まったら色々やばいって分かってるのか?

代表の意思にそぐわないって、こんな時でもウェインの指示第一優先ってやっぱり……。

 

「purple3……前から思ってたけど、お前って結構ブラコンだよな……。」

「……否定はしません。」

 

唐突な俺の発言にも特に気にした様子はなく、淡々と狙いをそらして反撃を開始した……と思ったけど、さっきから狙い外しまくってないか?

 

「……なぁ、集中力切れてないか?」

誰のせいだと……。」

「何だ! 何か言ったか!」

 

何か小さく呟かれたが、さっきの反撃のお返しが来てそれどころじゃない!

もう少しで森を出られそうだし、このまま突っ切らせてもらうぞ!

 

「キッド、逃げ切られちゃうよ!」

「……よし! アディは右に回って進路を塞いでくれ。俺は左から行く。」

「足を止めて挟み撃ちにするんだね! 了解!」

「なっ! マジかよ……。」

 

幻晶軽機(シルエットライダー)は、直線での走行は早いが急な回避には徹底的に向いてない。進路上に障害物が置かれれば急停止しするなりスピードを大分落とさなければいけない。止まる事もスピードを下げる事もあの双子の前だと致命的だ。如何にかしないと……。

 

「妨害すればいいですか?」

「うん? まぁ、やれればお願いしたいが……。」

「今の精神状態でも、進路上に障害物を作る事は出来ます。」

 

そう言うとクリスは即座に行動に移し、アデルトルートを進路上の樹木に向けて魔導バズーカを放った。

 

「え? ちょっと、待っ!」

「待ちません……!」

 

続けざまに樹木を撃ち抜いては倒し、完全に進路を塞ぎ切る。

おいおい……さっきより狙いが正確だぞ。本当に集中できてないのか?

何はともあれ、森は抜けられたからいいか。

ん? 何か可笑しいな……脇道が荒れている? しかも、結構先まで続いてる。……あれ? 道の先に何か……!

 

「おい……あれって?」

「……幻晶騎士用の楯ですね……形から見て、わが学園所属機でしょうか?」

「あぁ、アールカンバーが装備していた物とよく似ている。」

 

道の途中に大きく傷ついた幻晶騎士用の大型の楯が、その主の元を離れポツンと立っている。

 

「んな……! 何だよ……これ?」

「っ!」

 

そして、楯のすぐ後ろの大きめの岩に背を預けた楯の主である幻晶騎士アールカンバーが腕の無い状態で佇んでいた。

機体の状態はボロボロだ……かなりの激しい戦いだったらしいな、中の騎操士(ナイトランナー)は無事なのか?

 

「様子を見てきます。」

「え? あぁ、ちょっ!」

 

クリスが急いだ様子でアールカンバーのコックピットハッチに向かった。確かにこの様相じゃあ心配になるのも分かるがよぉ……。

 

「たく……仕方ねぇか。」

 

後輩の突然の行動に対して諦める事にして、クリスが戻ってくるまで周囲を見張っている事にしよう。

 

「……よく見ると、この辺りが一番荒れてるな……。」

 

木々はなぎ倒され岩は砕け破片が四散している。地面にも激戦の跡がそこかしこに見られて凄まじい光景が広がっている。

 

「……んん? 何であんな所に幻晶騎士用の剣が投げ捨てられてるんだ?」

「purple2、手を貸してください。」

「purple3? 如何した。騎操士(ナイトランナー)に何かあったのか?」

 

それは戦闘の途中で投げ捨てたにしては不自然な位置に投げすてられていた剣が気になり注視していると、クリスから通信が入って応援を要請された、取り敢えず幻晶軽機(シルエットライダー)をアールカンバーの近くに横付けしてコックピットハッチに向かった。

 

「君たちは……誰だ?」

 

アールカンバーのコックピット内では荒い息使いでこちらを見ていたエドガー先輩の姿があった、こっちも酷いな外傷こそ軽度だがかなり消耗しているらしく肉体と精神の両方に極度の疲労が見られる。

 

「一先ず落ち着いて下さい。」

「俺達は、敵じゃありませんよ。」

「……その形で……か?」

 

先ずは落ち着いてもらおうと敵じゃない事を伝えるてみるけど、やっぱりこの格好じゃあ信じろって方が無理か……。

さてぇ、どう信じて貰おうか?……ん?何か振動と音が、丁度幻晶騎士の移動している時の駆動音に似てる様な……。

 

「エドガー!無事のなのか⁉無事なら返事をしてくれ⁉」

 

げ!ここに来るまでにグゥエールを目撃していた事を忘れていた!やばいぞ……この状況は非常にまずい!

 

「……どこか痛む所はありますか?」

「ん……痛みはないが、疲労のせいで体に力が入らん。」

 

クリスぅぅぅ!お前、こんな時に何平然と問診してんだよ!

 

「分かりました。purple2、栄養剤を……。」

「あっあぁ、はい……。」

 

てか俺も、何悠長に処置しよとしてるの⁉

 

「これを、飲んでください。」

「……これは?」

 

無茶苦茶怪しんでるよ……そりゃそうか、こんな身元不明の二人組から渡された者なんて警戒して当然だよな……。

 

「中身は、蜂蜜と数種の薬草を混ぜた薬酒です。決して毒などではありません。」

「……本当か、なら証拠が見せてくれ……。」

「分かりました。」

 

エドガー先輩を如何にか信用させよと、クリスはメットの顔を覆うシールドバイザーを口元を出すように上げ栄養剤を一口飲んだ。

そういやコイツってまだ初等科の生徒だったよな……大丈夫か?

 

「んっく!ほら……安全でしょ?」

「……あぁ、そのようだ……疑って済まない、良かったら貰えるかな?」

 

ちょっと危なげだがギリギリ素面を保ったクリスの様子を見て、俺達の言葉が嘘じゃないと理解してもらえたらしい、嫌疑をかけていたことを詫びてから栄養剤を求められた。

 

「エドガー!如何して返事をしてくれないんだ!」

 

何か表でディートリヒ先輩が一人で悲壮感を出してるなぁ、こっちは結構穏やかな空気になってるから温度差がえべぇや……。

 

「ふぅ……ありがとう、少し楽になった。」

「エドガー!」

 

栄養剤の礼をしているエドガー先輩と、不安で錯乱気味に声を張り上げているディートリヒ先輩の対比は非常にシュールな状況だっな……。

 

「やれやれ、ディーはもう少し平常心を身に付けるべきだな……済まない、肩を貸してくれ。」

 

え?そういう問題?いや……ディートリヒ先輩が焦ってるのは貴方を心配しての事だと思いますが?

えぇ~そうなちゃうの~?これは、ディートリヒ先輩は後で愚痴ってもいいと思うぞ。

 

「……了解しました……。」

 

まぁ、今のままと言う訳にもいかないだろうし顔は見せた方がいいよなぁ……。

 

「落ち着けディー、俺はこの通りだ。」

「エドガー!無事だったんだな良かった!」

 

肩を貸してハッチから上体を出すと、ディートリヒ先輩が安堵して大いに喜んでる。

如何やら俺の事は視界に入ってない様子だ、この分ならこのままやり過ごす事もできるか?

 

「やっと追いついた!もう逃げさないからね!」

「はぁはぁはぁ……アディ、だから落ち着けって。」

 

げ!もう追いついたのかよ⁉ちょっとのんびりし過ぎたか、気が付けばディートリヒ先輩も俺達に気が付きたようだし万事休すかよ!

俺はエドガー先輩に肩貸してって身動き取れないし、クリスはさっき飲んだ薬酒で少し酔いが来てる、どうすれば切り抜けられるんだ?迷っている間も、アデルトルートは俺達を取り押さえようと近づいてきてるし、アーキッドが平和的に解決させようと説得してはいるが聞く耳を持っていない。

 

「さぁ、観念しなさい!」

「アディ!だから先ずは、話し合いから始めようって……。」

「……君達は、もしかして陸皇襲来の時に出会った薬氏の仲間か?」

「ん?ディーは彼らと知り合いだったのか?」

 

天運も尽きたと思ったその時、俺達が寸劇まがいの事をしている間言葉を発する事無く静観していたディートリヒ先輩が唐突に声を掛けた。

 

「え?薬氏って、誰の事ですか?」

 

しかし、薬氏と言われてもピンッと来ないな……誰の事を言っているんだ?

 

「違ったか?しかし、ボキューズの森の中で出会った彼と雰囲気が似ていたからてっきり……。」

「待ってください!今、ボキューズの森の中で出会ったと言いましたか?」

「あっあぁ、確かにそういったが……。」

 

ボキューズの森の中でって事は、ウェインが実習訓練に行っていた時だよな?となると……ディートリヒ先輩の言っている薬氏って……。

 

「多分、私達の代表ですね……。」

「代表?君達は、何かの組織なのか?」

 

しまった!って顔してるだろうなクリスの奴、まぁほぼばれてる様なもんだろうが……如何する?いっそ話せるところは打ち明けるか?

 

「p……ple2……答を……。」

「ん?通信?」

 

メットの通信機にウェインからの通信が入ったがよく聞こえない、魔導無線は距離が離れすぎると通信精度が落ちるため致し方ない事ではある、しかしこの状況で通信を寄こすんだ何か大事な要件なのだろうし如何にかして聞き取れるようにしないと。

 

幻晶軽機(シルエットライダー)……続……。」

「あぁ!」

 

そうか!幻晶軽機(シルエットライダー)に繋げば受信能力も上がるかもしれない?この状況だし、一か八かになるがやってみよう。

 

「済まんpurple3、ちょっと変わってくれ。」

「分かりました。」

「あっ!ちょっと!」

 

エドガー先輩をクリスに預け、俺は幻晶軽機(シルエットライダー)の傍まで下りると予備のケーブルプラグの片方を接続口に差し込んでメットの通信機にもう片方を接続した。

 

「聞こえますか?こちらpurple1応答してください。」

「こちらpurple2、大丈夫だ応答が遅れて済まない。」

「良かった。こちらで状況は確認していますが、そちらの詳細な報告を求めます。」

「了解した、今の状況は……。」

 

今度ははっきりと聞き取れた、如何やらウェイン達もこちらの事は見ているらしいが把握しきれない事を聞いてきた、俺はウェインにこれまでに起きていたあらましを詳しく伝える。

 

「状況は理解しました。こちらの正体に触れない程度であれば、情報の開示を認めます。」

「了解……。」

 

ウェインからは、情報の開示に対する許可が下りた。

詳細を伏せれば、ある程度の内訳は話しても構わないって事だよな?

さて、何処まで話そうか……うぉ!ここに居る全員の視線が俺に集中していたんで驚いた、それもそうか長距離通信はおろか魔導無線も世に出してないからな。

 

「あ~ぁ……さっきボスから許可が下りた、詳しい事は話せないが大まかな内訳は明かしておこうと思う。」

「頼む。」

 

そこからは、全員黙って聞いていたよ。

俺が話した内容は、俺達が私設の諜報組織である事とその目的がフレメビィーラ王国の暗部からの国守防衛である事、そして今回の事件をいかに察知してどの様に介入したかを話した。

勿論、正体にかかわる事には気を使いながらではあるが、それでもアーデルトルト以外は納得してくれたようだった。

 

「君たちの話は理解できた、しかし何故その情報をもっと早く明かしてくれなかったんだ?」

 

ディートリヒ先輩の質問も最もだが、こちらも正体を明かす訳にはいかないし噂程度なら気にも留められなかった筈だ、ウェインの考えは分からないが俺は誰の耳に入るとも知らない曖昧な情報には最大の用心が必要だと考えている、その事をそのまま伝えると押し黙った。

 

「それより、新型は追わなくていいのか?その白い幻晶騎士の騎操士(ナイトランナー)の話だとまだそう遠くには行って無い筈だが?」

「はっ!そうだな、エドガー済まないが先に行かせてもらうよ。」

「ディーさん!俺達も一緒に行くよ!」

「え?キッド、この人たちは良いの?」

「アディ、さっき説明で分かっただろ?この人たちは敵じゃない、それに今はテレスターレが優先だ!」

「……そうだね、テレちゃんが盗られちゃたまんまなのは納得いかないし!」

 

そう言い合って、三人はその場を離れ新型が逃げた道を追っていった。

ふぅ、これで後は適当なタイミングこの場を去れば完璧だな……。

 

「おぉ!何ですかそのメカは⁉」

 

一難去ってまた一難……次々来るねぇ、しかもさっきの一団よりも質が悪いのが来ちゃった……。

 

「初めて見ました!見た目はオートバイに似てますが、誰が設計を⁉見た所では、結晶筋肉を使用しているようですが何処でどんな方法で……!」

 

さっきから怒涛の勢いでの質問攻めだぜ、早口すぎて聞き取れない程にな……。

というか、何でエルネスティがここに居るんだ?カザドシュ砦に居るって話じゃなかったか?一緒に来たのが国家騎士団の騎士団長専用機のウォートシリーズに特徴が酷似しているって事は砦付きで公爵配下の朱兎騎士団の団長か?何ともややこしい事になったな……こう言う場合は、ウェインに指示を仰いだ方がいいか。

 

「ボス、指示を……。」

「……俺の言葉を、そのまま伝えてください。」

「了解した……エルネスティ・エチェバルリア、一旦落ち着け。今はこんな所で談義している場合じゃない筈だ、会談の場なら後日改めて用意する。」

「本当ですか⁉いつ⁉いつですが、僕なら明日否この後でも構いませんよ。」

「そう焦るな……明後日ライヒアラの端にある農具小屋で会おう、同行人は一人口の堅い奴を頼む。」

「明後日ですね、了解しました。」

「もう行け、逃げた敵に追いつけなくなるぞ。」

「おぉ!そうでした、僕たちは追跡の途中でした!」

「ちょっと待ってください。朱兎騎士団の団長閣下に言伝をお願いします。」

 

そして、嵐の様に過ぎ去っていったエルネスティを見送りクリスを乗せてその場を去ろうとするとウェインから言伝を頼まれた。

 

「朱兎騎士団の団長に?」

 

思わず聞き返してしまったが、ウェインの要望だからっと言伝を伝え今度こそ俺達は集合場所に向かったのだった。

もしかしたらこの時、ウェインには既にこの先の展開が見えていたのかもしれない……俺達は、激動の時代の渦の中心にひっそりとだが立ち続ける事になった。

 

 

フレメビィーラ王国の影

西方諸国には、東方唯一の人の国フレメビィーラ王国についてとある噂が語り継がれ来た。

 

 "東方のかの国の影は濃い、悪意を持ち権謀術数を巡らせれば瞬く間に影に飲み込まれるだろう”

 

この言葉が生まれるまで、西方諸国では、フレメビィーラ王国を魔獣番の国と侮った認識であったが生まれてからは多くの国や組織が怯える国と言う認識に改まったらしい。

 

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