とりあえず、お盆になってアイディアが浮かんだので一つ。


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これは、八雲紫の恩人のお墓詣りのお話・・・
(シリーズ化はしない・・・・はず)
(評価がよければシリーズ化)


お盆の幻想郷”八雲紫の墓参り”

緑生い茂る山道、セミがうっとおしい程に鳴き、夏を感じられる。

あの頃と比べ、ここの道もだいぶ狭くなったものだ。

そんなことを考えながら、能力を使おうか・・・そう考えるが、すぐにやめ歩き続けた。

しばらく、歩き森を抜けるとそこだけ切り取られたかのように幻想郷が見渡せるほどの崖に出た。

その崖には、一つの墓が立っており墓の根元には、美しい刃の刀が突き刺さっている。

 

「今年も来ましたよ?師匠」

 

私、八雲紫は、そのお墓を見てそういう。

師匠・・・私が、幼いころに私を鍛えてくれた人間の師匠。

幻想郷を作るためのコツや、人と話し合う時のあの胡散臭さを教えてくれた私の大切な人だ。

そして、その師匠のお墓に突き刺さっているのは、師匠の愛刀名刀 雨簾(めいとう あめすだれ)だ。

それを師匠が振れば、万物を切り裂いたことを私は見ている。

私は、一応はその雨簾に認められていてそれを振ることができる。

でも、雨簾は師匠の刀だ。まだ未熟者の私が振ることは自分で禁じている。

 

「それにしても、ここ。きれいですよね・・・師匠のお気に入りだけあります」

 

師匠が、よく来ていたこの場所。

何でも師匠が言うに、死ぬときはこの風景を見て死にたいといっていた。

実際、師匠はこの風景を見て死んで、こうして墓もここに立てている。

 

「師匠・・・雨月 時雨(あめづき しぐれ)師匠・・・」

 

ぽつりと、師匠の本名を口にする。

私の・・・初恋の人の名前でもあるそれをぽつりと言うだけで、心がほんのりと温かくなる。

幼いころ、命を助けてくれた師匠。

温かい食べ物を作ってくれて、おいしいといえば笑った師匠。

修業中の真面目な師匠や、普段の時の豪快な師匠も私が好きなところだった。

顔は、人間でいえば普通・・・でも、その普通が私にとっては一番だった・・・

 

「師匠・・・今でも、貴方が好きです・・・・・・ずっとお慕いしています」

 

師匠が好きだったスミレの花束をそっと墓石の前に置く。

私は、無宗教だけど、とりあえず手を合わせて祈りをささげる。

 

「・・・ねえ、あんた。いつも、お盆になるとここに来るわけ?」

「ええ、あら。私がここに来ちゃいけないのかしら?」

 

手を合わせ終わり、声がしたのでそう言い返し後ろを振り向く。

そこには、現代博麗の巫女 博麗霊夢がそこにいた。しかも、面倒くさそうな表情で私を見ていた。

 

「一応言っておくわよ。ここは、人里の領域範囲・・・普通、妖怪がいたらすぐに退治する。即刻・・・」

「いいえ、私はこの土地には来るわよ。必ず、お盆と命日には」

「・・・そう。じゃあ、今回は見逃してあげる。次からは後ろに気をつけなさいよ?」

「はいはい、心配性ね。霊夢は」

「うっさい」

 

そういって、霊夢は帰っていった。

なるほど、今回は目撃者がいたか・・・気を付けないと。

 

「師匠、貴方と私の子は・・・子孫を残して、この幻想郷を守ってますよ。」

 

そういいつつ、左手の薬指にしてある師匠の指輪を見てみる。

師匠が大切にネックレスのように持っていた指輪・・・その指輪を渡されたときは本当に泣いた。

師匠が言うに、この指輪は大切な人に渡すための指輪らしい。

いつか死んで、生まれ変わるときのための道しるべでもあるらしい。

私は、その効果のことをよくは聞いていなかったが、もしかしたらと信じてこの指輪をはめているのだ。

 

ざっ・・・ざっ・・・

 

「?誰かしら?」

 

森のほうから、足音が聞こえ私は、少しだけ構える。

墓荒らしなら殺すし、借りパく娘だったら弾幕でぼこぼこにする。

そう思いつつ、森から出てきた人影に目を凝らす。

 

 

「えっ・・・」

「や、久しぶり。紫ちゃん」

 

 

森から出てきた人影には、見覚えがあった。

優しい雰囲気で糸目、高身長だけどそこまで高くもない、どこにでもいるかもしれない平凡な顔。

私が、見間違いするわけでもなく、また幻影というわけでもない。

 

「う・・・そ・・・」

「嘘じゃないよ。紫ちゃん、ボクはこうして生まれ変わった」

 

私は、我慢できなくなり私と同じスキマ妖怪となった師匠に飛びつく。

師匠は、それを受け流しつつ抱き留めてその反動からかくるくると数回回転した

 

「師匠!」

「ただいま。紫ちゃん」

「はい!おかえりなさい!!」

 

私の夏は・・・恋色一色となった。

 

 

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「ふん、これでいいんでしょ。旦那」

「ああ、あやつには幸せになってほしいからのぉ」

「旦那ぁ・・・だったら、あたしを使うことないでしょ。旦那の能力でどうとでも」

「私の能力では、貴様のとは違い効果が大きすぎる。貴様の能力が一番ちょうどいいのだよ。天邪鬼」

「け、そうですかい。ま、あたしは旦那の頼まれごとなら何でも聞きますぜ?龍神様。」

「よい、幻想郷に絶対悪は必要だ・・・その役目を背負わせ、すまないとは思っているがな」

「幻想郷は、もはや一つの世界・・・だったら、その世界の絶対悪、あたしごときが務まるならいいんですよ」

「そうか」

 

「じゃ、あたしは身を隠すので、ではまた、神無月の会議で会いましょうね~。龍神様」

「ああ、鬼人正邪。神無月の会議でな」

 

=========================

 

(さてと、あたしはこの幻想郷の絶対悪としているわけだけど)

「ああいう表情で来たんだな・・・あいつ」

 

「け、あたしにゃぁ関係ないね・・・あんな、宝物を取り戻した子供の顔した妖怪の賢者なんか。」

 

「さてと、さっさと川の様子を見て釣り糸でもたらしますかねぇ・・・」




最後の鬼人正邪は、龍神様の直属の部下。
実力は抑えているだけで、幻想郷最強の実力。(ありえたかもしれない道)

シリーズへのUR
https://syosetu.org/novel/165792/


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