終焉ペレストロイカ   作:如月ライト

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豹変するスナイパー

「いきますわよ…作戦決行ですわ!」

イリヤはその掛け声とともに人形を2つ取り出して藪の奥へと放り込む。

人形は意思を持ったように動き回りその3人に迫る。

ちょこちょこと迫っていく人形はどこかのホラー映画のようだ。

「な、なんだ…!?」

3人は驚いた声を上げる。

まぁ急に歩く人形が現れれば誰だってそうなるだろう。

「攻撃開始ですわ!」

その合図とともに人形はその3人に攻撃を開始する。

1つはカミソリのような鋭利な刃物を持って、もう1つはハサミのような形状の武器を持って。

突然の攻撃に驚きとっさに反応できなかった1人が右手を人形に斬られる。

赤いしぶきを散らしながら銃を地面に落として悶絶の声を上げる。

「こ、こいつら…!」

残った二人は銃の引き金を引いた。

ガガガガ…と大きな音をたてながら弾薬の嵐が人形を襲う。

だが人形はそれをちょこまかとすばしっこくかわしていく。

そのさまはまるで弾丸の雨の中おどりを踊っているようだった。

「この野郎…!」

右手を切られた奴が無事な方の手に刃を握り人形に向けて振るう。

ぶんと振るわれたそれは見事人形の1つをとらえて首をはねる。

だがそれでも人形は止まらない。

むしろ顔を無くした分視覚情報を失い無造作な動きをしそちらの方が脅威となった。

「くっ…逃げるぞ…勝てっこない!」

3人は可愛らしい人形を恐怖の眼差しで見つめながら脱兎の如く逃げる。

「逃がしませんわよ…!ウサギ!マヨ!」

ニヤリと口元を引き揚げながらイリヤがそう声をかける。

「待ってました!ようやくウサギちゃんの出番!」

「残念ですけど出番はわたくしに譲っていただけます?」

「バ、バカ言わないで!久しぶりの見せ場なんだから…ここで活躍しないと」

「そんなこと言ってる間に逃げてしまいわすわよ?…逃げるなよこのクズ共が!」

マヨはスナイパーライフルを構えスコープを覗くことなくトリガーを引いた。

放たれた銃弾は空気を切り裂きながら1人の右足に吸い込まれる。

そしてそこから肉片とともに血しぶきを吹き上がらせる。

赤黒い血をドクドクと漏らしながらもそいつは逃げる。

恐怖に顔を歪めながら。

「はは、その顔その顔!もっと見せて!その恐怖に歪んだ醜い顔をぉ!」

マヨはまるで人が変わったように嬉々としてそう叫ぶ。

「うぅ…このままじゃほんとにウサギちゃんの出番なし!?…それだけは嫌だよ!」

ウサギもまけじとスナイパーを構えて引き金を引く。

銃弾が相手の腕に着弾する。

二人は銃を撃ちまくる。

相手の動きが止まるまで…。

 

「ふぅ…これでいかがですの?」

マヨがライフルを片付けながらそう言う。

辺りは真っ赤に染まり小さなうめき声が3つ重なって聞こえてくるだけだった。

「大丈夫だよね…?あいつら生きてるよね?」

ウサギは心配そうに尋ねる。

そう、この作戦はあくまでも足止め。

別に殺すことが目的ではない。

あとは適当に傷口を処理してから木に縛り付ける予定だ。

「ひどい顔をさらしてますけど…大丈夫そうですわよ」

マヨは笑いながらそう告げる。

ホントにマヨってサディスティックな面があるよなぁ…

普段はおとなしいのにああいうことになると途端に人が変わるし…

「何か変な事考えてませんか…キョウヤ?」

「い、いや…何も…」

にっこりと笑顔を貼りつけたマヨにそう言われて俺は苦笑いを浮かべるしかなかった。

「そう言えばお兄ちゃん。このペガサスどうするの?ちょっとした治療しといたけど」

「やっぱり自然に返してやった方がいいと俺は思うんだけど…キョウヤはどうだ?」

ペガサスの治療をしてくれていたユキとケントがそう尋ねてくる。

その横にはまだ少しおぼつかない足取りだがしっかりと地面に足を踏みしめて歩くペガサスが。

「そうだな…自然に返すか…」

「ちょっと待つです!」

「は?マリナ?」

「そのペガサスにのせてほしいです!」

いや、怪我してるのに乗っけろって…

「いや、それはダメだって…」

俺はマリナを止めようとする。

が、それより早くペガサスがマリナに近づき彼女に頬ずりをする。

「くすぐったいですぅ…もぅ…可愛い奴です…よしよしです」

なんでマリナになついてるんだよ…

俺が疑問に思っている間にもペガサスはひょいとマリナを口でつまみあげて背中に乗っけた。

「わーいです!ペガサスの背中です!マリナちゃんの夢が一つかなったです!」

まぁ楽しそうだしいいかな…

それにペガサスにのってるマリナの姿がスゲェほほえましいし…

「あんまり無理させんなよ、そいつ怪我してるんだからな」

「わかってるです!」

「いいなぁ…マリナ…私も乗りたいなぁ…センパイも乗りたいよね?」

「…うん、乗りたい」

「私も乗りたい!お兄ちゃんと一緒にのりたい!」

「私も!わたくしもお兄様と!」

と、俺たちと1匹はワイワイとしながら首都を目指すのだった。

 

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