屋上での戦争
キョウヤは本日もウサギに追い回されて走っていた。
編入2日目にしてこうも校舎内を走ったのはキョウヤぐらいであろう。
今はウサギをうまく撒いたもののどこから現れるかわからないという恐怖は残っていた。
「と、とりあえず屋上まで…」
そう言い屋上まで一気に駆け上がるキョウヤ。
屋上なんて何もないところに逃げないであろうというウサギの考えをよんだキョウヤ。その裏を突いた作戦だ。
屋上へのドアを開けると心地よい風が一気に駆け抜けてきた。
「う~ん、いい風だなぁ」
ここ最近落ち着けることが無かったキョウヤはこの一瞬の心地よさを噛みしめるようにつぶやいた。
「誰かいるの?」
と、突然少女の声がした。
声のした方向へ向かうとそこには金色の髪を二つに結ったまだ幼さが残る少女、ユキが柵にもたれかかっていた。
「な~んだ、キョウヤか。ビックリさせないでよね」
警戒を解いたのか今はさっきよりも穏やかな表情だ。
「で、どうしてキョウヤがここに…?あぁ、いや言わなくてもいいや、ウサギに追いかけられてたんでしょ?」
「まぁ、そんなところだ」
キョウヤはため息交じりにそう言った。
それを聞きユキはクスクスと笑う。
「なぁ、ユキ。ウサギってどんな奴なんだ?」
キョウヤはユキにそう尋ねた。
いつも追い回してくるバカな奴しか情報がない、相手の弱点でもわかればいいやという思いがキョウヤにこの質問をさせたのである。
「えっと…悪い娘じゃないんだけどね…ちょっと頭が、ねぇ?…でも戦闘に関しては相当なモノだよ」
ユキは苦笑いしながらそう答えた。
キョウヤとしてはもっと別の答えを期待していたがそう簡単に出てくるものではないかと諦めた。
「そうなのか、じゃあ何で俺に固執してるかわかるか?デーモンを倒したってだけでこんなにも追いかけてくることないだろ?」
キョウヤは第2の疑問をユキにぶつけてみた。
そう、キョウヤの言うとおりデーモンを倒したというだけで追い回すのは理由にしては不十分だからだ。
「たぶんキョウヤの実力が知りたいんだと思うよ。ウサギってね、入学試験の時に1対1でデーモンを倒したの、それで期待の新人って言われてる時期があってね。でもそれを超えるデーモン3体を倒したキョウヤの実力が本物かどうか確かめたいんじゃないかなぁ」
キョウヤとしてはとてもはた迷惑だった。
自分が本当に倒したのかもわからないデーモンのことでこんなにも追い回されていたのかと思うと少しうんざりした気分になった。
「それにその実力に嫉妬してるんじゃないかなぁ。ウサギって自分より強い相手に対してライバル心にも似た感情を出してくるからね」
「勝手に俺をライバルにされても困るんだがな…」
そう言い苦笑いするキョウヤ。
そこで急に屋上の扉が開き小柄な少女が入ってくる。
「ここにいたのね、キョウヤ!」
その少女、ウサギはキョウヤを指差しそう言った。
「うわ…なんだよ、ロリウサギ」
キョウヤは日ごろの憂さ晴らしのため少しからかい口調でそう言った。
「ロリいうな!気にして…って私のどこがロリなのよ!見てよ、このおっぱい!これでもまだロリっていうつもりかなぁ?」
そう言い胸を強調させるウサギ。
キョウヤのからかいに本気で乗ってくるあたりバカなんだなぁと実感させられる。
「どうせタオルかボールでも詰めてんだろ?」
「正真正銘ちゃんとしたおっぱいだよ!疑うなら触ってみればいいじゃない!」
「へぇ、ならマジで触っちゃうぜ?」
自棄(やけ)になったウサギと少し暴走したキョウヤの間にユキが割って入ってきた。
「キョウヤ落ち着いて、ほら、ウサギも」
そう言ってなだめようとするユキ。
少しオロオロした感じで遠慮がちで聞いてくる姿には何かグッとくるものがあるなとキョウヤは思った。
「貧乳は黙っててよ!」
「貧乳…!?」
痛いところをウサギに突かれたユキ。
自分の胸を確認するユキ、見事なまでの薄さである。
「ユキは触ってもらうぐらい大きくないからねぇ~、どう?羨ましいでしょ~大きなおっぱいは」
そう言ってユキの平たい胸を嘲笑う、そしてその大きな胸を強調するように姿勢を動かすウサギ。
「ちょっと何言って…!触ってもらうほどって私は誰にも触ってもらうつもりはないよ!」
「じゃあユキはさ、今からキョウヤにおっぱい触ってもらえる私が羨ましくないんだ?」
「誰が触るって言った!?勝手に決めるなよ」
キョウヤはウサギの言葉に驚き目を丸くした。ほんの悪ふざけとはいえここまで発展してしまった自分の言動の軽率さを呪った。
「じゃあキョウヤは私のおっぱい、触りたくないの…? いっぱいモミモミしていいんだよ、だから…」
そう言い上目づかいでキョウヤを見つめるウサギ。
その赤い瞳は少し涙目であった。
こんな顔で迫られては誰であろうと抵抗できるはずがない、キョウヤも抵抗できずにいた。
呼吸のたびに上下するその大きな胸はまぎれもなくタオルなどではないと確信させた。
「ねぇ、キョウヤ…」
ユキのその声でキョウヤは現実に引き戻された感覚があった。しかしキョウヤはまたも夢のような光景を目にする。
ユキがキョウヤの制服の袖をつまんで上目遣いをしていたからである。
その頬は赤みをさしている。そして風が吹けば飛ばされるであろう小さな、それでいてとても恥じらいを込めた声で言葉を発した。
「キョウヤが触りたいなら…ううん、キョウヤなら触ってくれてもいいよ…でも、優しくしてね…?」
その言葉でキョウヤの理性は軽く吹っ飛びそうになった。
この顔と声でこんなことを言われれば誰であろうとこういうことになるであろう。
キョウヤは必死に理性を保ちいたって冷静なふりをしてこういった。
「お、お前ら冗談はいい加減に…」
しかし少しどもったのが自分でもわかるほどにキョウヤは平静を保つことが出来なかった。
「冗談だと思う…?キョウヤは女の子にこんなことさせておいて冗談で済ませるのかな…?」
と、ウサギが言った。ついでユキが
「キョウヤ…私キョウヤなら大丈夫だから、だから…触って…」
二人して上目遣いのこんなか細い声でいわれればもう触るしかないとキョウヤは諦めた。
二人の少女の呼吸が荒くなる、それに合わせて少年の興奮も高まっていった。
「ねぇ、キョウヤ…私の大きなフカフカおっぱいから触って?」
「ウサギより私のから先に触って?」
『ねぇ、私のを触って』
二人して自分のモノから触ってほしいようだ。どちらが先でもいいだろうとキョウヤは思ったがどうやらそう簡単にはいかせてもらえないらしい。
「じゃ、じゃぁ…」
目の前で上下する二つの胸。
一つは大きくてすごくふかふかしていてきっと触り具合も極上なモノ、もう一つは少し膨らみかけの柔らかそうで未成熟な背徳の香り漂うもの。
二人の顔はとても赤くなっており息遣いも荒々しいものに変わっていく。
少年は覚悟を決めてその手を突き出す。
冷や汗が出て喉も渇く、生唾を飲む音がとても大きく聞こえる。
そして少年は手を伸ばしその淫らな果実に触れ…
る直前に屋上の扉が急に開きそこから少しチャラけた少年、ケントが入ってくる。
「おぉ、キョウヤ、ここにいたのか。一緒に飯食いに行こうぜ。ってお前ら何してんの?」
突然の乱入者の前に少女二人は慌てふためき二人一緒に顔を隠した。
「あ、あぁ、いやなんでもない。そうだな、飯食いに行くか」
キョウヤは早口にそうまくしたてる。
(助かった…のか?まぁこの状況から抜け出せてよかった…でもちょっと損した気が…)
キョウヤはそう思いながら屋上に背を向けた。