「ん…んん~…」
身体がやけに重い。
それになんだ、このまとわりつくような眠気は…
意識はあるのだがやはり眠たい…
そう言えば何で俺はこんな状態に陥ったんだっけ…
考えようとするが思考が上手く働かない。
「んぁ…」
とりあえず起きなければ…
眠たい頭を振り払うように俺は目を覚ました。
目を覚ますとそこは真っ暗な部屋。
定期的なすぅすぅという寝息が聞こえてくる。
ぐっと力を入れて身体を起き上がらせる。
「あっ!お兄ちゃん起きた!」
その瞬間ぎゅっと俺の体に何か温かいものが抱き着いてくる。
「よかったぁ…このまま起きないと思ってずっと心配したんだから…バカ!」
だんだんと頭が覚醒していく。
それにつれて俺はユキに抱き締められているということが分かった。
「バカ!バカ!…お兄ちゃんのバカ!」
しかし…何で俺起き抜けにずっとバカって言われなければならないんだよ…
とりあえず妹を落ち着かせることが先決だな…
「ゴメンな…兄ちゃん心配かけたよな…」
そう言ってユキをぎゅっと抱きしめ返した。
するとユキは途端に落ち着きを取り戻す。
やっぱりこいつにはこれが一番だな…
「もぅ…お兄ちゃんってば心配かけないでよね…」
それにしても俺はどうしてベッドの上にいるんだ…?
確か…風呂に入って…そこから…
キラと話をしてのぼせたのか…
そう言えばどういう話をしたか全く思い出せない…
「…ねぇお兄ちゃん…私たちいつまでぎゅっとしあってるの…?そろそろ苦しいかも…」
「あ、ごめんごめん!」
つい考え事をしていたもんで…
俺はバッとユキの身体から自分の身体を引きはがす。
「むぅ…もっとぎゅっとしたいとか言ってくれてもよかったのに…」
「ん?なんか言ったか…?」
「何でもないもん!」
最近俺難聴が激しい気がする…
オシリスに帰ったら病院でも行こうかな…
「そういや…今何時…?」
「え~と…夜の11時だよ。お兄ちゃんがお風呂に入ったのが9時ごろだから2時間ぐらい気を失ってたことになるね」
「そうか…」
「じゃあお兄ちゃん、一緒に寝よっか…さっきまで気を失ってたけどお兄ちゃん眠そうなんだし…ね?今日は昔みたいにさ…一緒におねんね、しよ?」
「そうだな…」
まだ眠気が残ってるし望むならこのまま寝てしまいたい。
俺はそのままボフリと寝ころんだ。
お布団が心地よい温かさで俺を包み込んでくる。
ふかふかのベッドがまるで天国にいるような心地にさせてくれた。
枕も柔らかくてグッドだ。
ユキもそのまま俺の横に寝転んだ。
そして二人見つめ合う形になってしまう。
暗い部屋、月の光だけが頼りのこの部屋で妹の姿はくっきりとその光によって輝いていた。
真っ白な肌が青白い月の光に照らされて妖艶に輝いて見えた。
その姿にドキドキが隠せない。
それに…ユキのパジャマ姿にもドキドキしてしまう。
いつも普段着しか見ないだけにこうして違う姿を見てしまうと可愛いと思えてしまう。
いや、正直身内贔屓(ひいき)なしに可愛いのだが…
「ん?どうしたのお兄ちゃん?顔赤いよ?」
「な、なんでもないよ…」
「ふ~ん…なんでもねぇ…?正直に言った方がいいんじゃないの?妹のパジャマ姿にドキドキしましたって」
小悪魔っぽい笑みを浮かべてそう言ったユキにまたどきりとしてしまう。
こういういたずらっ娘みたいなところもユキに好感を抱いてしまう要因の一つだろう。
「それにしても…ほんとこうやってお兄ちゃんと一緒に寝るのなんて久しぶり…たぶんもう何年も一緒に寝てないかも…」
嬉しそうな声音でそう言うユキ。
やっぱり俺と一緒に寝ることが相当嬉しいのだろう。
「あのときはお兄ちゃんと一緒に寝るのなんてもう絶対無理だって思ってたけど…」
あの時というのは多分俺がいなくなった後の事だろう。
「ねぇお兄ちゃん…もう離れないよね?私をヒトリボッチにしないよね?」
「あぁ…もちろんだよ」
「よかったぁ…あ、もちろんずっとだよ?死ぬまで一緒!分かった?」
「死ぬまでって…」
「それに…結婚もしちゃダメ!だって結婚しちゃったらお兄ちゃんどこか行っちゃうんでしょ?そんなの嫌だもん!」
「あのなぁ…結婚もダメって…」
「でも安心して…私がお兄ちゃんと結婚してあげるから…」
真っ赤になって言い放たれたその言葉に俺の心臓はドクンと高鳴りを見せた。
「私お兄ちゃん大好きだし…結婚だってしたいしお兄ちゃんの赤ちゃんも欲しいぐらいだよ…?だからさ…お兄ちゃんは私と結婚するの…いいでしょ?」
ヤバイ…心臓がやけに昂っている…
この音、ユキに聞こえてないよな…?
「え、え~と…それは…」
「はぁ…やっぱりお兄ちゃんって私のほかに好きな人いるんでしょ…?だって女の子にこういうこと言われたら頷いちゃうのが普通でしょ?」
普通って言われても俺たち兄妹だしそこに常識を持ち込まれても…
「やっぱり私が妹だから…?兄妹だから愛し合っちゃダメって思っちゃってるの?」
そう思ってるならユキの告白を受けた瞬間拒否してるよ…
この前の告白が頭をよぎる。
あの時俺はオッケーを出したが…今はどうだろう…
俺が本当に好きなのは誰だ…?
頭がショート寸前だ…
でも…俺の頭が導き出すのはやっぱりこいつ一人しかいない…
確かにどの女の子にも魅力はあるけど…こいつの魅力は格別だ…
俺が一番ひかれた女の子…
それは…
「ユキ…俺はお前が好きだ…別に兄妹でもいい…俺が一番だと思うのはお前だ」
「え?ちょ、ちょっと…!?お、お兄ちゃん!?急にそんなこと言われちゃうと…恥ずかしいじゃん…」
俺だって恥ずかしいよ…
「でも…嬉しいな…お兄ちゃんに好きって言われると胸の奥がポカポカぁってなるの…それにドキドキもとまんなくなって…私壊れちゃいそう…」
あぁ…目の前の妹がとても可愛らしく見える…
今すぐに抱き締めてメチャクチャにしてやりたいとさえ思えてしまう…
妹にこんな感情を抱くなんてやっぱり俺は兄貴失格なのかな…
けど…妹が喜んでくれるなら俺はなんだってするつもりだ…それがいけないことであろうと…
「お兄ちゃん…」
「ユキ…」
俺達は互いの名前を呼び見つめ合う。
互いの大好きな人の視線が絡み合う。
自然と俺たちは顔を近づけあって…
そしてその距離は0になった。
「ちゅっ…」
唇をふれさせるだけの簡単なキス。
それだけでも俺たちの中には幸せが溢れかえる。
今の俺たちにはこれだけで十分だ…
まだまだ恋とか愛とかよくわかってない兄妹のキス…
今はそこまでだ…
もっと先に進むのはあとでもいいだろう…
「お兄ちゃん…昔みたいにさ、手、握ったまま寝よ…?」
「そうだな…」
妹のぬくもりが握った掌をとおして体の中に流れ込んでくる。
ほっとする温かさが全身を襲う。
俺はその幸せな熱に身を任せて瞼を閉じた…