終焉ペレストロイカ   作:如月ライト

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第33章「不屈の要塞」
森を抜けて


「まだ森ぬけれねぇのか…?俺疲れた~」

「知らねぇよ…もっとガンバレよ…」

「えぇ~!?俺これ以上がんばると死ぬっての…」

「はぁ…ほんっとケントはスタミナないですね…帰ったらお仕置きです!」

俺達はワイワイと騒ぎながら青々と茂った木々の隙間を歩いていく。

目的はこの森を抜けた先、青の国の要塞だ。

一歩一歩踏みしめていくたびに俺はだんだんと気が引き締まっていくのだが…

どうやらケントはそうではないらしい。

さっきから子供のようにギャーギャーと騒いでいる。

ホント煩い…

「はぁ…どこかに楽な移動手段でもないかなぁ…」

「ケントセンパイ、そんなことばっかり言ってないで早く歩いて!」

「キラの言うとおりだよ!ケントはもっと早く歩かなくちゃ!」

キラとウサギにせかされてケントはしぶしぶ歩く。

だがその足取りも重たくてのっそりとしたものだった。

「はぁ…ほんとなんでケントって体力無いんだよ…」

戦闘の時になるとあんなに剣を振り回して頑張っているというのに…

もしかするとこいつの中では戦闘に使う体力と普段の体力は別物なのかもしれないな…

「お兄様方!少し静かに…!そこの茂み…何かいますわ…」

と、イリヤが鋭い声を発した。

さっきまで五月蝿かったケントでもその声をきいただけで黙った。

その場にピリピリとした緊張が走る。

俺はじっと茂みを眺める。

ガサガサ…

やはり茂みの中に何かいるようで動いている。

刺客か…?

俺はそう思い武器に手をかける。

「お兄様、ストップですわ…殺気は感じませんの…武器を出すにはまだ早いですわ。もし何も関係ない一般人なら面倒なことになりかねませんわ…」

「でも…」

「えぇ、わかってますわ…とりあえずわたくしが確認してきますの」

そう言ってイリヤはじりじりと茂みのほうへ歩いていく。

その場の緊張がピークに達した。

ごくりと唾液を飲み込む音まで大きく聞こえるほどの静寂。

その中でイリヤが歩くざくざくという音と木々が揺れるさわさわとした音のみが響く。

俺達はかたずをのんでイリヤを見守る。

「正体…確認させてもらいますわ!」

バッと茂みをかき分けたイリヤ。

その奥にいたのは…

「お、お前は…!」

「あの時のペガサスです!こんなところにどうしたです?早くおうちに帰るです?」

そう、俺達が昨日助けてやった子供のペガサスだ。

そいつは人懐っこく俺たちのほうに歩み寄ってくる。

昨日のけがは何とも内容で見た感じとても元気に見える。

いや、それはどうでもいいか…

何故こいつがここにいるんだ…?

「もしかして…私たちの事を追いかけてきたんじゃない?助けてくれた恩返しとかさ」

ネムがポンと手を叩いてそう言った。

確かにそれなら納得できるが…

考える俺にペガサスはすりすりと近寄ってくる。

俺が頭をなでてやると気持ちよさそうな声を出した。

「な、なぁ…そいつの背中にのっていってもいいか?」

「は?お前何言ってんだ?いくらしんどいからってこんな子供のペガサスに…」

「お兄ちゃん、ペガサスは子供でも人間の数十倍の力を持ってるんだよ?多分ケントなんてひょいって持ち上げちゃうんじゃないかな…?」

「ま、マジかよ…」

そのユキの言葉通りペガサスはいとも簡単にケントを持ち上げた。

そして軽々とした足取りで走り回る。

どうやら本当に力持ちのようだ…

「ケントずるいです!マリナちゃんも乗せてほしいです!」

「よしよしいいぞいいぞ、乗ってこい!」

さらにマリナも乗せてしまうのだから…

動物っていうのは案外侮れないモノなんだな…

 

結局ペガサスとともにおれたちは森を散策する。

と、生い茂っていた木々の間から真っ白な光が漏れ出している場所が。

多分そこが出口だろう。

俺達は嬉々としてそこに向かって走った。

真っ白な光の先、そこにあるモノがどんなに俺たちに絶望を与えるかも知らずに。

「なんだよ、これ…」

「ウソ…これを落とせっていうの…?」

「ボク…自信ない…」

「自身どころで済む問題じゃないっすよ…これは不可能っす…」

「あぁ…俺もそう思う…」

そこにあるモノ、俺達はそれを眺めてただ口をバカみたいに開くしかなかった。

俺たちを迎えたモノ、それは要塞という名で語ることができないほどの巨大な建物だった。

その姿を現す適切な言葉が見つからないのでとりあえず要塞とだけ言っておくが…

漆黒に染められた数百メートルもの高さがありそうな城壁、そこに備え付けられた巨大な砲台、数にすれば1万は超えているだろう。

そしてその城壁を守るように巨大な岩山が見えた。

ところどころに小さな穴のような場所がみえることから多分あれが入口なんだとわかる。

そして一番目につくのがその要塞の頂上。

まるで中世の城をモチーフにしたような施設がたたずんでいる。

多分アソコがこの最奥、俺たちが目指す場所だろう。

しかしこれを攻略するとは…まさにこの要塞は自然と人工物の完全な融合体だった。

人工物では補えないところを自然でカバーして…こんな完全な建造物は今までに見たことが無かった。

もしここに戦争以外できていたなら明らかにあの建物に2時間は見入っていただろう。

それほどに堅牢で残酷で美しい建物だった…。

 

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