「さて…これからどうする…?」
「…帰る?」
「ユキ、帰るって選択肢は無しで…」
「じゃあ逃げちゃお!嫌なことがあったら逃げる!」
「ウサギの言うとおりかも!逃げるが勝ちって言葉があるし!」
「やっぱりネムはわかってるね!」
「いや、逃げるも無しだ…そんなことしたら俺たちの首が飛ぶぞ?いろんな意味で…」
俺達は森の出口、そこから要塞を眺めながら作戦会議をするが…
全く以っていい考えが思いつかない。
あれをこえるにはどうやっても無傷では済まないだろう。
まず侵入経路だがそれが見つからない。
多分あの岩山に多数の兵が忍んでいるはずだ。
地の利で言えば敵側の方が有利、俺達は岩山で戦う訓練なんて受けてないからな。
そして侵入して身体が俺の予想ではあの中は迷路のようになっているはずだ。
簡単に敵がとおせないようにとな…
もしあの中で迷ってしまえば俺たちの敗北は確定だ。
結局結論から言えば手詰まり、勝ちの一手が見当たらない。
「あぁ…どうすりゃいいんだよ…!」
「そのまま正面突破でいいんじゃね?」
と、ケントが横からそう言ってくる。
何をバカなと言い返そうとしたがケントの瞳は強く俺をとらえていた。
まるでふざけてなどいないと視線で語るように。
「俺たちにはこうやって考えてる時間もないんだ。早く終わらせて帰らないと居なくなったみんなを探せなくなる…それだけは絶対に嫌だ…だから俺は何が何でもあれを突破してみせる…」
「ケント…」
「はぁ…全くケントは…マリナもケントの意見に賛成です。こうして考えてもいい結果が出ないのは明白です。だったら動いた方がよほど効率がいいです?」
「私もそう思いますの…それにここにずっといればいつか的に見つかってしまう…突撃する前に撤退なんて嫌ですわよ?」
こいつらの目には明らかに意思の炎が宿っていた。
考えて動くより考えずに動け、か…
そうだな、そうするしか俺たちに道は残っていないんだ、ならば…
「よし!お前ら!突撃するぞ!」
『おー!』
俺達は漆黒の要塞に向かって走る、走る…
足がもつれても走った。
俺達は歩を進めなければならないからだ。
砲台の一つがこちらの姿をとらえた。
ボン!という内臓まで響く爆音が襲った。
真っ黒な塊がこちらへ向かって飛んでくる。
「キラ!頼んだ!」
「もちろん!展開するよ!」
その黒い砲弾は空中に突然に現れた盾に当たり大きく爆発する。
轟音と熱風が俺たちを襲う、だがそれも気にせずにただ走った。
「第2波!くるよ!」
また一発弾丸が撃ちこまれる。
「今度は私の出番!見ててねお兄ちゃん!」
今度はユキが前に出てその手に力を集中させる。
ユキのあたりに冷気がまとわりつく。
その冷気は渦を巻いてユキの手に収束されていく。
「凍って!」
そしてその手を砲弾のほうへ向けた。
瞬間真っ黒だったものがキラキラとした氷の塊へ変化する。
もちろんそのせいで勢いが止まったそれは地面に激突し無惨にもバラバラに砕け散った。
そのまま第3、第4と攻撃が来たが俺たちはかまわずに走った。
もう少し…もう少しでつく…!
砲丸の雨を走り抜ける。
目標の岩山はもう目の前だ。
だがそこに立ちはだかった人影。
数は2、手に槍のようなものを持っているがそんなもの目じゃない。
「ケント!行くぜ!」
「オッケーキョウヤ!」
俺とケントは前へ出てその二人に一発をお見舞いしてやる。
確かな手ごたえとともにその二人は一瞬にして倒れた。
もちろん殺してなどいない、ただ急所を突いてやったまでだ。
「よし!中に入るぞ!」
俺達は手近な横穴に入った。
そこが地獄へと続く門だとも知らずに…