「パーティか…」
キョウヤは食堂へ向かう道中そうつぶやいた。
「ん?お前まだパーティ決まってないのか?」
ケントはその呟きに対しこう返答してきた。
キョウヤはつい先ほどクラス模擬戦があるということを知ったのである。決まっていないのは当然だと思いながらうなずいた。
「じゃあ俺が…」
「キョウヤ~!」
ケントが何かを言いかけたところで遠くからキョウヤを呼ぶ声が聞こえた。
すると小柄な外見のメイドが走ってきた。
「ん?どうした、マリナ。俺に何か用か?」
その少女の名前はマリナ・M(ムーン)・ヒメア。ストレンジ・ナイフでは最年少だ。
最年少の名に等しく外見はロリっこ、しかしメイド服を着てみんなの面倒などを見ている。
メイドとしてのスキルは結構高いようだ。
髪の毛はポニーテールでいかにも元気な感じをアピールしている。
「キョウヤはパーティ組んだですか?キョウヤのことだからまだですよね。このマリナちゃんがクラス模擬戦のコツを教えるために組んでやるのです!ありがたく思うのです!」
仮にもメイドだというのにこの言葉づかいも特徴的だ。
しかも自分のことを「マリナ」と呼ぶものだからさらにロリ度が増している。
「俺の返答を待たずにつづけるなよ」
キョウヤはマリナに対してこう言った。勝手に話を進められてはキョウヤとしては少し腹立たしいのである。
「じゃあキョウヤはパーティ組めたのですか?」
「いや、まだ1人も見つけてないけど…」
勝手に話を進められても見つかっていないというところは図星であった。
「じゃあ決定です!ヨロシク、キョウヤ!」
元気よくそう言ったマリナ。
「あぁ、ヨロシク。俺のために組んでくれるなんて本当にうれしいよ、アリガトな」
キョウヤはさっきの言動へ反抗する感じでそうからかった。
「調子にのるなです。そのおめでたい頭をかち割ってやりますよ?」
マリナは笑いながらそう言ったが目は笑ってはいなかった。
目は口ほどに物を言うという言葉がこんなにもあてはまるものなのかとキョウヤは内心そう思った。
「お、おう…すまないな…」
キョウヤは謝ることしかできなかった。謝らねば確実にとられていたであろう。
「まぁ、そんなことはさておき、残りの面子(めんつ)を集めるのです!」
「あぁ、そうだな。他に誰かいるかな?」
キョウヤはそうマリナに尋ねた。
「じゃあ俺が…」
そのケントの言葉を遮りマリナが声を発した。
「イツキがいいと思うです!行ってみるですよ!」
イツキ、双星 一輝(フタボシ イツキ)という少女を探しに行くことにした。その間ケントが何か言いたそうにしていたが全員そんなことは無視していた。
「イツキ~!」
そこから数分移動したところ、食堂の手前の通路でイツキを発見した。
「マリナちゃん!それにアケボシ君にヤマイ君?どうしたの?」
そう言いながらイツキは振り返った。
髪の毛をツインテールにしているがユキとは違い横側ではなく後ろ側で二つに結っている。その髪は鮮やかなオレンジである。
美人というより可愛いという表現が似合う顔、身長はキョウヤよりも少し低めだが、キョウヤより年下ということをふまえると十分に大きめだと思う。
そして胸の大きさは並乳より少し大きめだ。
(って俺はまた胸を…!?俺病気なのかな…)
「ん?どうしたのかな、アケボシ君?」
そう言ってイツキはキョウヤの顔を覗き込んだ。
そのかわいらしい顔が目の前に来たことでキョウヤはドキッとした。
「い、いや、何も…」
「そう?」
さっきまで胸のことを考えていたなんて口が裂けても言えないなとキョウヤは思った。
「それよりさ、そのアケボシ君って呼び方やめてくれよ。キョウヤって呼んでくれよな」
「じゃあ俺もケントで!」
キョウヤの言動に乗っかるようにしてケントも言ってきた。
こいつどこまであつかましい奴なんだとキョウヤは思ったが自覚症状皆無のケントに言っても無駄だろうと思い心の中にしまっておいた。
「え~と、二人とも私より年上だから呼び捨てってわけにも…じゃあセンパイって呼ぶのはどうですか?キョウヤセンパイに、ケントセンパイ」
同じクラスで先輩後輩なんておかしな呼び方だと思ったがイツキがそれがいいというならとキョウヤは了解した。
「先輩!?なんていい響きなんだ!ぜひそれで!さぁ、もう一回呼んでみようか、今度は上目づかいで…はぅ!?」
イツキにそう言いよっていたケントはマリナの拳によって沈められた。
「この変態が!そこでおとなしく寝てるのですよ?」
「え、え~と…何か用があるのかな?」
殴られるケントを少し哀れみの眼で見ていたイツキがキョウヤ達に遠慮がちにそうきいてきた。
「マリナ達とパーティを組むのです!イヤとは言わせないですよ?」
そう言いイツキに笑いかけるマリナ。
まさか脅しているのかと思って目を見てみるが目も笑っていた。どうやら脅しているのではないようだ。
「な~んだ、そんなこと?いいよ、頑張ろうね、マリナちゃん、キョウヤセンパイ!」
そう言い笑いかけてくるイツキ、その笑顔は輝いて見えた。
「おう、さて後のメンバーはどうする?」
「俺が…!」
今まで横たわっていたケントが急に立ち上がってきた。
相変わらず回復力が半端ないなとキョウヤは感心した。
「もうこれ以上いなくても大丈夫なのです!」
マリナはケントに向けてそう言った。
「いや、4人で組んだ方がいいだろ、だから俺が…」
「だからもういらないって言ってるのです!ウザイ虫けらは黙るのです!」
明らかに殺意のこもった目線でケントを見るマリナ。
「お願いだ、入れてくれ!頼むよ!」
ケントは躊躇いなく床に膝をつき土下座をした。
相手は子供だというのにケントは本気の土下座をしたのである。
「なんでマリナがテメェみたいなクズを入れなきゃならないのです?」
明らかに侮蔑の感情がこもった目線でさげすみながらマリナがいった。
「頼む、お願いだ!」
「うるさいのです、クズ!テメェなんていても価値がないんですよ!むしろ邪魔なんです!」
「頼むよ、お願いだ、マリナ様!」
マリナ様と言われた瞬間マリナの顔が怪しげにゆがむ。
「どうしようかなぁ?」
「マリナ様、何をしたら入れてくれるでしょうか?」
「じゃあマリナの靴をなめて綺麗にするです。マリナの靴をなめることができるなんて光栄と思いなさいよ、このゴミクズ!」
「光栄です、マリナ様!では早速!」
「誰もホントになめろとは言ってないのです、このクズ!」
「い、痛いです、マリナ様!あぁ、でもこの痛みが…」
「へ、変態です…!こいつ真性の変態です…!」
このやり取りを見かねたキョウヤがついに口を開いた。
ちなみにイツキは苦笑いを浮かべながら少し後ろに下がっていた。
「マリナ、そろそろやめておけ、ケントも頭あげろ」
「キョウヤ、止めるな!俺はまだマリナ様に許しをもらっていないんだぞ!」
ケントは真剣な表情で言った。どうやら本当に覚醒してしまったのかもしれない。
「ちっ、面白くないのです、キョウヤなんて嫌いです!」
舌打ちしマリナは明らかに不機嫌そうな表情のままそっぽを向いた。
「マリナちゃん、食堂でプリンおごるからキョウヤセンパイを許してあげて」
イツキはマリナをなだめるためにそう言った。どうやらイツキは喧嘩などが嫌いな穏やかな性格らしい。
「そんなので許すと思うですか?」
マリナは冷たくそう言い放つ。しかしイツキはめげずにこういい返した。
「3つ!3つおごるから!」
その瞬間マリナの表情がピクリと動いた。そして振り返りこういった。
「じゃ、じゃあ許してやるのです!別にプリンにつられたんじゃないのですよ!イツキがあまりにもけなげだったから…」
満面の笑みでそう言っても説得力がないぞとキョウヤは思ったが口に出せばどうなるかわかっているので口には出さなかった。
「えへへ、マリナちゃん可愛い」
イツキは本当にうれしそうな顔をしてそう言った。
「なっ!?早く行くですよ!プリンが売切れるです!」
マリナは頬を赤くしながらそう言い食堂まで走った。
「結局アイツは子供か…」
キョウヤはマリナに聞こえないようにそうつぶやいた、その表情は優しい笑みを浮かべていた。
「ほら、早くくるですよ、キョウヤ!」
「はいはい、わかりましたよ、お嬢様」
そう言ってキョウヤたちは駆け出した。
食堂で注文したモノを待っている間にマリナはケントにこう言った。
「お前みたいなゴミを入れるのは不服ですけど、入れてやるのです。感謝するのですよ!」
「あ、ありがたき幸せ!マリナ様!」
「き、気持ち悪いのです!抱き着こうとするなです!」
そう言ってマリナはケントを蹴り飛ばした。