終焉ペレストロイカ   作:如月ライト

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金髪の岩使い

「いったん退くぞ!」

俺達はそこから離れることに。

こいつと真っ向から戦っても勝てないだろう。

俺の本能がそう告げていた。

「逃がすか!」

ヒルダが鞭を打ち付ける。

ひゅんと伸びたそれは逃げる俺の背をとらえた。

「ぐあっ…!」

背中にじんじんとした痛みが走る。

鞭というのはこんなにも痛いものだったのかと場違いな感想が頭をよぎった。

どうやらあの鞭は相当に射程距離が長いようだ。

逃げようとしてもこの距離じゃ射程距離に出る前に攻撃されてしまう。

ならば…

「これはどうだ…!」

俺は剣を構えて相手の懐に突っ込む。

「ふっ…そんな攻撃が当たると思ってるのか…!」

鞭が飛んでくる。

しかしそれは俺の計算通りだ…

鞭の軌道に横なぎに剣を振るう。

軌道を失った鞭は空中でまるで蛇のようにうごめく。

「これで防いだつもりかい?」

「なに…?」

軌道を失ったのも一瞬、空中で体勢を立て直した鞭はそのまま俺の頭上に振ってくる。

「くそっ…!」

まるで鞭そのものが生き物のようだ。

それを人間が操っているというのだから相当なやり手だ。

いや、今はそんな関心をしている場合ではないな。

俺は全身の筋肉をばねのように動かして横に飛ぶ。

バン!という轟音。

さっきまで俺がいた場所には大きくえぐり取られていた。

それを見て冷や汗が噴き出る。

もしあれに当たっていたらという嫌な想像が頭をかすめた。

「お兄ちゃん!伏せて!」

ユキの声が後ろから響く。

何をするかわからないがとにかく体をかがめた。

俺の頭上を風を切るように何かが飛んでいく。

あれは…氷の槍…!

槍はぐんぐんと速度を上げてヒルデの心臓を目指している。

「甘いな…ゴーレム!」

その叫びとともに彼女の目の前の地面から歪な形をした土人形が現れる。

その人形、ゴーレムと呼ばれたそれは彼女の盾になるかのように氷の槍を受けた。

カチカチと凍りついていくゴーレム。

「私の能力、それはゴーレムを作り出すこと。こんな土や岩まみれの洞窟はホームポジションってわけ…いでよシモベたち!」

そう叫ぶと周りの岩がごごごとうごめきだした。

そして次の瞬間にはかたちを持った動く石像になっていたのだ。

数にして数十体。

さすがにこの数は本当に危険だ。

何とかして逃げないと…

「みんな目を瞑(つぶ)るです!」

「マリナ…!?」

俺はとっさにマリナの方向を見る。

彼女の手には何か謎の魔法物質が。

「キョウヤ!早く瞑るです!」

何が何だかわからない…

けど今は命令に従わなくては…

俺が目を瞑る瞬間マリナは手に収まっていた何かを投げる。

次の瞬間目が潰れてしまいそうな閃光。

俺はとっさにぎゅっとさらに強く目を閉じた。

目を瞑ったのに目の前にぼぅと光の残像がみえる。

「今のうちです!早く逃げるです!」

「でも…」

逃げるにしてもアイツが…

俺は彼女のほうを見るが…

「ぐあっ…なんだあれは…!くそ…目が…!」

あの光をじかに見てしまったのだろう。

目を抑えて悶えていた。

とにかく今がチャンスなのは確かだった。

俺達は脱兎の如くその場から逃げ出した。

「あれは…閃光弾か?」

逃げながらそうマリナに尋ねてみる。

「う~ん…それに近いです。ちょっと魔法を合成して作ったオリジナルです!」

マリナの力でそんなこともできるのか…

結構万能だな…

「そうだ!イリヤ、お前の人形、確か自動で攻撃してくれる奴っていたよな?」

「えぇ、いますわよ」

「じゃあそいつを放っておいてくれ。それでいくらか足止めになる」

「わかりましたわ…さぁ突撃ですわ!」

イリヤの背に背負われていたカバンの中から人形が数十たい飛び出して俺たちが逃げるのとは逆のほうに行った。

てかそのかばんにどれだけの人形が収納されてるんだ…?

今度きいてみよう…

「あれ…出口…みたい…?」

「確かにそうっす!」

洞窟の一部、そこに開けた穴が見つかった。

俺達はそこにすかさず飛び込んだ。

が、その先の光景にまたも言葉を失った。

その先、そこには生い茂る木々が。

まるで森の中のようだ。

いや、まるでというより本物の森だ。

本当にこの要塞はどうなっているんだ…?

岩山があって森もあって…

ふと空を見上げるといつの間にか真ん丸とした月が昇っていた。

お昼を過ぎてから出撃してあの洞窟の中で相当な時間迷ってしまっていたようだ。

正確な時間はわからないがあの月の高さからしてもう結構な夜更けだろう。

「敵は…きてないみたいだな…」

「そうみたいだね…」

後ろを振り向くが何の気配もない。

「もうちょっと奥に行ってみるか…そこで何も無かったら休憩しよう…」

敵地で急速なんておかしな話だが歩き回って疲れたのは事実だ。

休めるときに少しでも休んでおいた方がいいだろう。

みんなも疲れているらしく俺の考えに賛成のようだ。

そうして俺達は森の奥地へと向かった。

 

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