終焉ペレストロイカ   作:如月ライト

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第36章「再開」
ナイトの帰還


「さぁて…いっちょやってやりますか!」

月の光を浴びたナイトが不敵に微笑む。

その笑みに応えるようにユラもサクヤも敵に目を向けた。

かくいう俺たちはどう反応していいかわからずにぽかんとしているしかできなかった。

だって考えても見ろよ、今まで居なくなってたやつらとこんなところで出会えるなんて誰が思った?

それにピンチに劇的に登場して…

信じられない光景の連続に頭がショートしてしまいそうだ。

もしこれが思考の炎上が魅せた幻だって言われても納得してしまいそうだった。

しかしこれは全く幻ではなかった。

なぜなら…

「よし!あと一撃か…!燃え散れ!」

激しい爆音とともに顔にかかる熱風、その熱さが何よりの証拠だった。

ナイトはお得意の炎の異能で敵をどんどん追い詰めていく。

(あいつの力…俺が最後に見た時より強くなってる…?)

そう、ナイトの力は格段に前よりパワーアップしている。

それはナイトだけではなかった、ユラもサクヤも格段に強くなっているようだった。

「ナイト下がれ!サクヤ!あいつの傷口を広げてくれ!そこに雷撃を放つ!」

「もう…人使いが荒いんだから…!」

ナイトが下がると同時、すきを与えないように素早くサクヤがそのカバーに入った。

そして彼女の手に握られたレイピアがきらりと青白く輝く。

「はぁっ!」

勢いのいい掛け声とともにレイピアが傷口の奥深くに刺さっていく。

ドラゴンは耐えられないといった風に悶え暴れる。

「さ、サクヤ…!」

このままじゃさっきのイリヤの二の舞に…!

「大丈夫…私はそんなに柔(やわ)じゃないから!」

暴れまわる龍の上、サクヤはまるでそれを乗りこなすかのようにバランスを取っている。

アレの上でバランスを取れるなんて…

「ユラ!今よ!」

グイッと奥底に刺さっていた得物を抜き出してサクヤが叫ぶ。

どうやらとても深く刺さっていたようでそこから止めどなく赤黒い血が噴き出していた。

「言われなくても…!」

ユラは自身の身の丈ほどもある巨大な大剣を構えてドラゴンに突進していく。

突進する途中、その剣に雷(いかずち)がうずめき始めた。

刃を全て包み込んだ雷はそれだけでは収まらないとでもいう風に地面に飛び跳ね焼跡を作っていく。

それはまるで雷神のようだった。

雷ですべてを潰すような…そんな勇ましさが今のユラにはあった。

「おらあぁぁ!」

地面が震えるんじゃないかというほどに吼えるユラ。

その手に握られていた剣が一直線に傷口に振り下ろされていた。

バチバチとそこから青白い稲妻が飛び散る。

それに混ざって真っ赤な血液も飛び散っていた。

青と赤の壮大なコントラスト、それは俺たちの目を奪うには十分なモノだった。

雷撃はドラゴンの身を焦がしているようで辺りに異様な焦げ付いたにおいが充満する。

それと同時に暴れまわるドラゴンは静止した。

どうやら死んだようだ。

その死骸からはただ焼け焦げた匂いしか残らなかった。

そいつの血液は多分ユラの一撃で蒸発してしまったのだろう。

それほどまでに強力な雷撃だったに違いない…

俺の背にぞくりとした感じが走る。

俺は…ビビってるのか…?

格段に俺たちとは天と地ほどの差の実力を持つアイツらに自然と俺の体は震えていたのだ。

「ふぅ…あと2体だな…」

「速攻で決めちゃおっか」

「もちろんだ…」

さっきまでの戦闘がまるで準備体操だったかのようなそぶりを見せるナイトたち。

そしてそのあとは一瞬だった。

気が付けば俺たちの前には3匹のドラゴンの屍。

その死にざまは人間の俺が見ても同情を誘うようなものだった。

「ふぅ…とりあえずひと段落ついたかな?」

「おいおい…あのドラゴンたちをこんな短時間で…」

「やっぱり…ナイトたちってすごいです…」

ケントたちは感嘆の声を漏らした。

俺も言葉には出さないだけで内心ではとても驚いていた。

「ナイト先輩たち…生きてたんだ…ほんとよかった…よかったよ…」

少し離れたところから援護に回ってくれていたキラが戻ってくる。

さっきの戦いで少し消耗したのか足取りが何だか重たそうだ。

俺は手を貸してやろうと思い彼女に近づいた。

が、その瞬間気づいてしまった。

死んだと思っていた一匹が死力を振り絞りブレスをはいたことに。

そのブレスの先、そこにいたのはキラだった。

「き、キラ!早くアイギスを…!」

「え…?」

突然のことにキラは反応が遅れてしまった。

このままじゃ間に合わない…!

くそ…これじゃナイトたちが助けに来てくれた意味がなくなるじゃないか…!

誰も死なせたくないのに…!

「キャッ!」

キラの悲鳴と辺り一帯に広がった閃光、そして熱風。

そのあとには濃厚な煙が視界をくゆらせるだけだった。

「キラ…おい、キラ!」

「ちっ…この死にぞこないが…!」

キラに駆け寄る俺とは逆にナイトはそのドラゴンにとどめの一撃を食らわせにかかる。

今度こそそれは完全に息の根を止めた。

「キラ…!」

煙が…晴れる…

俺は覚悟を決めて目を凝らした。

俺の目に映ったそれは煙の中輝く何かだった。

「え?」

自分の見間違いかと思ったが眼を擦ったところで何も変わらない。

じゃああの輝くものはなんだ?

疑問はどんどん濃くなっていくが煙は着々と晴れていく。

そして完全に煙が無くなった時だった。

「お、お姉…ちゃん…?」

それはキラの声だった。

「うん…ただ今、キラ…」

そしてもう一つ彼女に似た声が。

煙の奥、そこにいたのは同じ顔をした二人。

互いが互いと同じ存在。

「お姉ちゃん…お姉ちゃん…!逢いたかったよぉ!」

「私も…私もあいたかったよキラ!」

そう、キラの双子の姉、イツキだ。

彼女たちは再びの再開を祝うようにぎゅっと抱き合った。

「お姉ちゃん…!お姉ちゃぁん…」

「よしよしキラ…お姉ちゃんはもう離れないからね…」

再会を喜び合う二人の頬に一筋のきらめきがこぼれ落ちていた…

 

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