終焉ペレストロイカ   作:如月ライト

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自己紹介

「それではわたくしから自己紹介いたしますわ…わたくしはイリヤ・ドール。まぁ皆さん知っていると思いますわ」

「やっぱりあなた…イリヤだったのね…似てると思ってたけどまさか本物だったとはね」

と、イリヤを睨むサクヤ。

元々敵対していた相手出し簡単に信用できないようだ。

それに初めて出逢った時あんなにも言い争ったのだから…

仲良くしろという方が難しいか。

「で、キョウヤはこの子をどういう風に落としたのかな?」

「落としたとか人聞きの悪いこと言うな。後俺限定かよ」

「だって女の子を落とすっていったらお前しかいないし」

なぜかナイトに変な烙印を押されてしまったようだ。

俺…そんなに女の子落としてる…?

「なぁイリヤ、お前からも何か言ってやれよ」

「お兄様ったら恥ずかしがって…ちゃんとわたくしを落としたって言ってくれてもいいのですわよ?なんならお兄様が夜な夜なわたくしをめちゃくちゃにしているお話だって…」

いや、そんなことは一切していないぞ。

そんな虚言を頬を染めて言うな、勘違いする奴が…

「おーにーいーちゃーん?」

「キョウヤ…まさか…」

「ほんとセンパイって見境ないですよね…」

「ま、待て待て待て!これはイリヤの嘘だ!だから…!」

ユキを筆頭にウサギとキラがだんだんと迫り寄ってくる。

俺は必死に嘘だと説明しようとするが…

どうやらこいつらの耳には聞こえていないようだ。

「ねぇお兄ちゃん?妹の私がいながらこんなエセ妹に手を出すなんて…お兄ちゃんは本物の妹よりこっちのどこの馬の骨かもわからない女がいいんだ…」

「ほんと妹に手を出しちゃうなんて…残念なキョウヤ…目の前にこんなに可愛いウサギちゃんがいるのに…その女に手を出すなんて…」

「センパイの変態、シスコン、犯罪者!道端歩いてる妹系幼女に手を出して捕まっちゃえ!」

あぁ…俺の心に言葉の刃が突き刺さる…

3人は無遠慮に俺の心を傷つける。

俺のライフはもう0よ!

「はぁ…こいつってこんなにモテてたのか?」

「モテる…?これが?例えモテてたとしても…こんなモテ方俺嫌だなぁ…」

「それにケントにはマリナちゃんがいるです!もしマリナちゃん以外の女の子が好きになっちゃったりしたら…どうなるかわかってるです?」

「あ、はい…」

「ケントも大変だな…」

 

なんとかその場を落ち着けて自己紹介の続きに漕ぎ付くことができた。

その間に俺の心は何回死んだことか…

「どうしたのお兄ちゃん?何かを悟ったような顔しちゃって…」

誰のせいだと思ってるんだよ…

今の俺にはそう言いかえす気力もなかった。

「じゃあ次は…ボク…えと…ハルカって言います…ヨロシク…」

「ハルカちゃんかぁ。そのローブ可愛いね、まるで魔女みたいだ…俺の心はキミの魔法にかかっちゃったみたいだ」

「はぁ…ゴメンね。このバカの言うことは気にしないで。もし不快に感じちゃったら私がぶん殴っておいてあげるからね」

「はぁ…」

いつも思うけどナイトって不憫だよなぁ…

けど同情はしない、だってナイトだもん。

「それでハルカちゃんはどうしてここに来たの?あんまり戦うってイメージがわかないんだけどさ」

「それは…ボクの…お姉ちゃんのため…お姉ちゃん…この学校にはいろうとしてた…だから…ボク…その思いを継ぐ…それだけ…」

やっぱりハルカの入学理由はそうだったか…

「やっぱり…俺のせいなのかな…」

隣を見るとケントが忌まわしそうに唇をかんでいた。

「俺のせいで…あの子がこんな戦場に…」

そうだった…ケントはハルカの姉、ナミを殺している。

それは仕方なかったこととはいえ人殺しは人殺しだった。

「俺…その時の記憶が曖昧なんだ…俺が殺したってのは覚えてるんだけど…顔までは覚えてないんだ」

墓参りの時ケントからそんなことを聞いていた。

だから俺はこいつの想いがよくわかる。

自分で殺しておいて顔も覚えていない、それがどんな重圧になるかは想像するのも容易だ。

「あんまり気負うことはないんじゃないか?」

「え?」

だから俺はこいつの心を軽くしてやらないとな…

こいつがいなかったら多分今の俺はいないのだから…

「ほらみろよ、ハルカのあの笑顔。あいつは俺たちと出会えてあんなにも嬉しそうだ。お前はあの笑顔までなかったことにしたいって思うのか?」

「ハルカの笑顔…そうだな…あんなに嬉しそうなんだから…いいよな…ナミ…」

ケントはさっきまでの苦悶の表情はどこへやら、今はすっきりとした笑顔を浮かべていた。

 

「次はわたくしマヨですわ」

「おいおい…また変なキャラが増えてるな。それに口調がイリヤとダブってるし」

その瞬間目に見えないほどの速度でナイトのこめかみに銃が突きつけられていた。

「どうされたい…ですの?」

「え、え~と…とりあえずそれをどけていただけると助かる…」

「それじゃ今度から口を慎むことね」

口調は笑っているものの目は笑っていない。

明らかに殺意のこもった眼だ…

「ま、口調なんて作ってたものだし…それにもうあんな喋り方する必要もないか…ん~!疲れた~!」

え…?何あの豹変ぶり…?

「ねぇあのコってあんな感じなの…?」

「う~ん…分かんないけど…少なくとも私の前じゃあんな姿見せてくれなかったなぁ…」

「マリナちゃんもあんな猫被った子見たことないです…」

どうやらほかの面子も知らないようだ。

マヨは情緒不安定だし仕方ないか…

だって銃を使っている時はなんだかあらぶった性格が出てくるし…

「昔っからお嬢様みたいな教育されててあんな喋り方を押し付けられてたんだけど…そういやここにはもうわたくしを縛る人間はいないしおもいっきしのびのびできますわ~!」

できますわって…結局身に染みているんじゃないか…

「それで…マヨ様はなぜこの学校に…」

ナイトは恐る恐るマヨにそう尋ねた。

てかマヨ様って…仮にも年下相手に様付けするって…

あ、でもケントもしてたし不思議でもない…いや、あいつは例外だな、うん。

「もう一人のわたくしを制御するため、ですわね。自分の中の人を傷つけて悦びを得る感情、放っておいたらその感情がだんだんとわたくしを飲み込んでいきますの…」

こいつもわけありだったか…

「だからわたくしはその感情を時々表に出すためにこの学校に…」

「戦闘でみせたあの豹変ぶりって!」

と、ネムがそう声を出した。

確かネムとマヨは一緒に戦ってたし戦い方を見ていたのか。

「そう…それがわたくしの中に抑え込んだ負の感情、負の人格…まぁ普段はこの表の人格だから安心して接してくださいまし」

「それじゃ最後は俺っすね!」

「あ、男には興味ないんで」

速答するナイト。

「ひどいっす!」

「ちょっとナイト!ゴメンね、あとでちょっと絞めておくからね」

ホントナイトって懲りないよなぁ…

「あっ、俺はリュウセイっす!この学校には世界中の子供たちが幸せに暮らせる世界を作るために来たっス!」

「それってどういう…?」

「俺って戦争孤児なんすよ…それでここに来るまではスラム街で盗みとかして仲間たちと暮らしてたんっすよ…あの地獄みたいな日々、ほかの子供たちに送ってほしくないんす…俺がこの戦争を終わらせるんす…絶対に…」

決意のようなまなざしを向けるリュウセイに俺の心は打たれていた。

こんな理不尽な世界に終止符を打つ、その存在はとても大きなものに見えた。

見ると周りの奴らも感心したように彼を見ていた。

「え、え~と…俺、なんか変な事いったっすか?」

「いや、全然!むしろいいこと言ったよ!私たちは全力で君をサポートする!私達と一緒に頑張ろうね!」

サクヤは笑顔でそう言った。

仲間たちはみんなこくりと頷く。

「うぅ…感激っす…!」

「はは、泣くにはまだ早いぜ、ちゃんと目標を達成してから好きなだけ泣け」

「はいっす…!」

そうしてその夜は過ぎていった。

次の朝にはどうしようもない絶望が口を開けて待っているのも知らずに…

 

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