終焉ペレストロイカ   作:如月ライト

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第41章「逃亡の果てに気付くこと」
ユキと離れ


「はぁはぁ…」

俺は足が疲れるまでひたすら走った。

もちろんあてなんてあるわけがない。

だけど走った。

理不尽な世界から逃れるために…

「はぁはぁ…」

地の果てまで逃げてやる、そう思っていたのだがどうやら俺の体力は限界のようだ。

足が重たく一歩を踏み出すたびに鈍い痛みが蝕んでいた。

これ以上は…ダメだな…

俺は辺りを見渡す。

相変わらず木々が生い茂る森の中、目に映るのは緑と茶色だけだった。

俺は大きな木の下に体を預ける。

今までの疲れが一気に出たようにその場にへたり込んでしまった。

予想以上に俺の体は疲労を訴えていたようだ。

そんなふうになるまで逃げていたってことか…

俺はこんなに憶病だったなんてな…

自嘲の笑みが自然と口元からこぼれ落ちた。

「はぁ…」

俺はため息を一つつく。

休息を挟むとさっきの光景が脳裏にフラッシュバックしてきた。

死にたくないと願っていたリュウセイ、その願いを無惨にまで打ち壊したユキ…

何故あんなことが平気で出来るのだろうか…

あんなの誰だってためらうはずなのにユキは…

思い出して背筋に嫌な汗が伝っているのが分かった。

俺は頭を振ってその記憶を引きはがそうと努力する。

が、それは思っていた以上に俺の頭の奥底へと浸透していたようだ。

どれだけ忘れようと努力してもすぐに脳裏に浮かんできてしまう。

「はぁ…」

俺はもう一度ため息をついて木に体のすべてを預けた。

するとだんだんと瞼が重くなってくるのが分かった。

もしここで眠ってしまったら…

いや、眠っている間に死ねたなら…

何も知らない夢の中で死ねるなら…その方がいいのかもしれないな…

唯一の心の支えを自分から手放した俺にはもう生きる目的も価値さえもない…

結局俺の命はアイツら、ううん…ユキのためにあったってことか…

「ユキ…」

ぽつりとそうつぶやいて目を閉じる。

閉じた瞼にユキとの今までの思い出がよみがえってくる。

初めて会った時からずっと俺と優しく接していてくれていた彼女…

記憶がない俺を心配してずっと一緒にいてくれた少女…

俺が生き別れた兄だったと知った時のあの輝くような笑顔…

俺の唯一の家族…記憶の断片…生きていた証…

そして…俺の愛した女の子…

(くそ…こんな事思い出したら…もう一回ユキにあいたくなってしまう…!)

俺は脳裏からどうにかしてユキの記憶を消し去ろうとするが…

結局その行為は無駄だった。

俺の脳裏にこべりついたユキはどうあがいても消えることはなかった。

あの嬉しそうな顔、笑顔、俺を覗くように見てくる上目遣いの表情、そして…初めて交わしたキスの感触…

そのどれもが俺の記憶の奥深く、いや、体全体に刻み込まれてしまっていた。

はは…どうやら俺は思っていた以上にユキに魅せられてしまっていたのかもな…

俺の意識はそのまま闇の奥底へといざなわれた。

ユキの記憶とともに…

 

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