終焉ペレストロイカ   作:如月ライト

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第42章「孤独に降る雨」
学園の始まり


「ユキの話をする前にまずこの学園の話をした方がいいかもしれない。彼女の過去を話すにはまずここからの方が早いかもしれないからね」

「そうか、なら話してくれ」

俺はサクヤの言葉を一言も逃さないように耳に全神経を集中させた。

 

この学校は3年前に建てられた。

いや、正確に言えば合併して作られたといった方がいいか。

クロノスという学校計画に私達がいた学校が吸収された。

それがすべての始まりだった。

私が元いた学校はもともと軍事学校だった、だから何も変わることはなかった。

ただ学校の規模が大きくなるだけ、ただそれだけだった。

元々私の学校は資金不足で存続が危ぶまれていた、だからこの計画に乗ったというわけ。

そこからさまざまな学校と合併してクロノスは出来上がったの。

だから今学校に通ってる生徒の半数は合併前から通っていた人達ってことになるね。

確か…ナイトやユラも開校前の生徒になるのかな。

 

 

 

「いや、ちょっと待てよ。その話がどうしてそこにつながるんだ?」

俺はいったん話を中断させてそれをきいた。

今の話だとナイトやユラの過去をきいているようなものだ。

全く以ってユキとは関係ない。

「そう急かさないでよ、今からが大事なところなんだから…そう、あれは学校の建設場所を決めるときのこと…」

「それって孤児院の事だよね?」

と、横からウサギが割って入ってきた。

「孤児院?」

てかなぜそんなことをこのバカなウサギが…!?

もしや…何か変なモノでも食べて…

「あぁ、ウサギもあの孤児院の出身だったね。それなら話は早い。ウサギもユキもその孤児院からの特別編入なんだよ」

「院が無くなると私たちは暮らす場所がなくなるからね。だから学園に無償で住まわせてもらってるの」

なるほど…

確かにそれなら納得するが…何故こいつらが孤児院なんかに…?

いや、今はそれを気にすると気ではないか。

「そして学校が正式に開校されてね…入学当初から注目を浴びてたのがユキなの」

「ユキが?」

「あの時のユキはすごかったもんねぇ。私といる時以外はずっと殺気立った目をしててさ。戦闘にも前衛に立って何かに憑りつかれたように敵と戦っててさ」

ウサギの言葉を疑うわけではないが…今のユキからは想像もできないな…

「あの子…いつも言ってたよ、お兄ちゃんお兄ちゃんって。たぶんキョウヤと離れたことが原因かもね」

ユキの奴…そんな前から俺のことを…

壊れるぐらいに俺のことを思ってくれてたなんて…

そう考えただけで俺の胸はぎゅっと締め付けられるようになった。

「入学してから半年ぐらいの時かな…ある戦いで…ユキは仲間を殺した」

「え?」

「ユキ本人から聞いてもあまり詳しいことは教えてくれなかったけど…さっきのリュウセイみたいな状況に陥って、それで仲間を助けるためにって…それであの子は私たちのクラスに入ってきたわけ」

ユキはアイツなりの正義を振りかざしていたというわけか…

なのに俺はよく知ろうともせずに…あんなひどいことを…

「もちろんその状況を詳しくは教えてくれなかった。けど…噂によると相当えげつなかったらしいよ…それにその戦いでユキの部隊は…彼女しか帰ってこなかったって…」

ユキのあの笑顔…その裏にどれだけの苦しみを隠してきたのか…

それは俺には分からない、いや、たぶん全人類の誰もわからないだろう。

だが…俺はその苦しみを和らげてやることができる、半分でも背負ってやることができる…

だから…早くユキにあいたい…

俺の心が叫びをあげる。

一番大事な彼女を求めて…

「ねぇキョウヤ…お願い!ユキの呪縛を解いてあげて…!」

「あぁ…分かった…俺が必ずユキを助けてやる!だから…今は一刻も早くアイツを探さないと…」

俺は力強くうなずいた。

早く妹を…

焦る心を必死に押さえつける。

そうでもしないと焦りで死んでしまいそうだったからだ。

「あ…センパイ…雨、降ってきたかも」

「え?」

「キャッ!冷たいですわ!お兄様傘持ってませんの?」

「持ってるかよそんなもの!」

俺の頬に何か冷たい液体が当たる。

空を見上げるといつの間にか真っ黒な雲が頭上に広がっていた。

これは…本降りになるとヤバそうだな…

ポツリポツリと降ってくる雨。

冷たいそれがさらに俺の心を焦らせる。

「早くユキを探さないと…アイツに風邪なんてひかせられるか!」

木々の葉に雨粒が辺りぽつんという音が響き渡る。

まだ雨は大丈夫…

俺達は雨にせかされるように大切な女の子を探した…

 

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