「うわぁっ!…はぁはぁ…夢、だったの…?」
飛び起きてみると空から雫が落ちてきていた。
まるで私の心が流した涙と同じように…
「はぁ…寝ちゃってたんだ…それにしても…服びちゃびちゃ…くしゅんっ!うぅ…体も冷えちゃってる…どこか雨宿りできるところ探さないと…」
私はその場をうろうろしながらさっきの夢、過去の記憶について思い出していた。
「えへへ…ありがと、ユキ…ごぷっ…」
「ダメ!これ以上喋らないで…!」
「いや…だってここでしゃべっておかないと…げふっ…もう喋れなく…なっちゃう…」
私は倒れているノノにすり寄って必死に止血を試みる。
隣ではあの男が絶命していた。
私はあの瞬間、引き金を引いた、友達がいるにもかかわらずに。
そして引き金を引いた瞬間から心が凍結した。
私の心は何も感じなくなっていた。
だが今は違う。
血まみれで倒れたノノを見て私の心は再び人の心を取り戻したのだ。
ノノは比較的少ない被弾で済んだが漏れ出す血の量が尋常ではない。
このままいけば…本当に…
「ユ…キ…」
「な、なに…ノノ…」
ノノが死力を振り絞って私の頬に手を当ててくる。
その手はとても冷たく血でぬめっていた、それに今もだんだんとさらに冷たくなっていく。
その手の温度に嫌でも命の終りを感じ取ってしまう…
「今度も…あんなことになったら…ごふっ…ためらわず…撃って…」
ノノが喋るたびに口から血がこぼれ落ちる。
それでもまだ話そうとするノノに痛々しさをおぼえずにはいられない…
「ユキは…生きて…どんなことがあってもユキには…げふげふっ!…幸せに…なって…欲しいから…ごぽっ…!」
「わ、わかった!分かったから…もう喋んないで…」
さっきより激しく吐血するノノ。
彼女はもう助からない。
ぽとりと彼女の頬に涙がこぼれる。
つつぅと垂れるそれを嬉しそうに感じるノノ…
「ユ…キ…ごぷ…ちゃんと…げふっ!ごほごほっ…!友達…作るん…だ…よ…私と…やく…そ…く…」
そう言って彼女の手から力が抜けた。
命の終末、こんなにもあっけなくて…そして…こんなにも悲しい…
「ノノ…ノノぉ!うわぁぁぁん!」
熱を失った彼女の身体に抱きつき泣き叫ぶ。
大事な友達の最後に、私は人間らしく、涙を流すことができた…
そこから私はどうにか生き残った。
だが生き残れたのは私だけだった。
生き残った私は第二次の戦いのメンバーに加えられた。
そこでも同じような状況に陥り、私は躊躇いなく引き金を引いた。
そのことが問題になり私はウサギと同じ特別クラス落ちに、そして今に至るというわけだ…
「あの時ノノが助けてくれなかったら私、もう二度とお兄ちゃんと会うことができなかったんだよね…」
これはなんという奇蹟だろうか。
命が繋ぐ奇跡の輪、それを実感して涙がこぼれ落ちた。
「そう…だよね…これはノノがくれた奇跡なんだ…だから…もう一回お兄ちゃんにあって…絶対に謝るんだ…これじゃノノにも顔向けできないし…」
あの時にノノに出会っていなければ今の私はいなかっただろう。
特別クラスに入った時にもノノの最後の言葉を守って友達をいっぱい作った。
今ではもうクラスのみんなはかけがえのない友達以上の関係だ。
「あれ?滝の裏に洞窟…あそこで雨宿りしよう…」
ねぇノノ…?私、頑張るね。
この雨が止んだら、お兄ちゃんともう一回仲良くなるからね…