終焉ペレストロイカ   作:如月ライト

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2014年クリスマスの時のモノです



第X章ver.2014Xmas「聖夜に降り積もる想い」
双子姉妹とクリスマス


今日はクリスマス。

街はイルミネーションで煌めき人々は浮かれはしゃぐイベント。

俺の周りの奴らもクリスマスムード一色だ。

そんな中俺は…一人だ。

「べ、別に寂しくなんてないんだからねっ!」

と、強がって見るがやっぱりさびしいものはさびしいのだ。

ユキはウサギと一緒にケーキ食べに行ったし…

ケントは相変わらずマリナと一緒だし…

「はぁ…結局俺は一人さびしくケーキですよ…」

そうぼやいて冷蔵庫からケーキを取り出す。

クリスマスにユキと一緒に食べようと思って買っておいたのだが結局無駄になってしまったな…

しかし…大きめのホールケーキを買ってきたのが失敗だったか。

一人では食べきれないな…

「はぁ…」

俺はまたため息をついた。

その時俺の部屋のドアがノックされた。

誰だと思い扉を開けるとそこには双子少女が立っていた。

クリスマス衣装に身を包んでこちらも浮かれ気味である。

「ヤッホーセンパイ!」

「違うでしょキラ、ここはメリークリスマスセンパイっていうのが正しいと思うんだよ」

「あ、そっか。改めて…メリクリ!」

「お、おう、メリクリ…」

こいつらテンション高いなぁ…

やはりクリスマスが原因なのか!?

「センパイ、どう?暇なら私達と一緒に街に出かけない?今クリスマスセールでいろいろ安いんだよねぇ」

「そうそう、私達いっぱい欲しいものあるんだけど…センパイもどうかなぁって」

おいおい、まさかその流れって…

『荷物持ち!お願いするね!』

ですよねー…

 

「イツキ!これ可愛いよ!あ、こっちもかわいい!でも高いなぁ…」

「キラってばさっきから可愛いばっかり、もっとほかの感想はないの?」

「えぇ~!可愛いんだから仕方ないじゃん!あ、センパイこれ持ってて!落とさないでよね!」

「はいはい…」

結局することもなくついてきた俺。

現在はファンシーショップでショッピング中である。

しかしファンシーショップは今日で5件目で俺の手には今までの店で買ったものが溢れんばかりに握らされていた。

店内はクリスマス一色でBGMにもクリスマスソング、周りの人達はクリスマスを楽しむカップルたち…

「センパイ!何ぼーっとしてるの!早く次の店いくよ!」

「はいはい、わかったよ」

ホントこの双子は浮かれまくって…

でもこういう日が一日だけでもあればいいよな。

今までの辛い日常を忘れさせてくれる楽しい日が…

 

「うぅ…寒いね…キラは大丈夫?」

「私?私は大丈夫…はくしょんっ!…うぅ…」

「全然大丈夫じゃねぇじゃんか、鼻水、垂れてるぞ」

ずずぅと鼻をすするキラ、女の子なんだからそんなことするなよ…

「ほら、ティッシュやるから。これで鼻かめ」

「ありがとセンパイ…」

俺はポケットティッシュを取り出してキラに渡す。

彼女はまたも女の子らしくもなくチーン!と大きく鼻をかんでいた。

「ふぅ…すっきり。それにしても…ほんと今日は寒いよねぇ…」

「だよねぇ…町はこんなに熱々ムードが多いのにね」

と、イツキは周りのカップルたちを指差す。

確かに熱々だ…

同じマフラーを二人で分け合ったり寒い中ソフトクリームの食べさせあいをしたり…

見ているこっちが恥ずかしくなってきそうだ…

「ねぇ…センパイはあんなふうにしたくない?」

「は?」

と、イツキはいたずらっ子のような、それでいて熱っぽい視線を俺に向けた。

それに戸惑った俺は思わず視線を外してしまった。

「今日だけはね…私たちがセンパイの彼女になってあげようかってこと」

と、視線を外した先、そこにいたキラがこう言ってきた。

姉と同じような瞳で…

途端に胸がドキドキとしてくる。

この二人の熱視線にやられたかのように体が火照ってくる。

と、同時に彼女たちがとても可愛らしく愛おしい存在に見えてきた。

「ね?センパイにとっても悪い事じゃないはずだよ?…いてっ…うぅ…何もチョップすることないじゃん…」

「そういうのは好きな人のために取っておけっての」

「むぅ…」

「キラもだ」

「もぅ…センパイ!チョップはやめてよぉ!」

「お前も遊び半分でそんなこと言うんじゃないよ」

「センパイのバカ…」

俺は照れ隠しに精一杯だ。

こんなにも彼女らが美しく見えるなんて…これもクリスマスの魔法なのだろうか…

「ほんとセンパイって鈍感…」

「私たちが好きな人はセンパイしかいないのに…」

ぼそりと何かつぶやいた二人だったが今の俺の耳には届いていなかった。

 

「うぅ…なんだかさっきよりも寒くなってきてる気がする…」

「あ、あぁ…そうだな…俺もそろそろ耐えきれないかも…」

「センパイ…何かあったかいのかってぇ…」

「あったかいのって…」

俺は辺りを見渡してある一軒の店を見つけた。

「ちょっとここで待ってろよ。すぐ戻るから!」

それから数分後…

「はい、お前たちにクリスマスプレゼントだ」

「え?センパイからプレゼント?なんだろうなぁ…」

「開けてもいいの?」

「あぁ、もちろん」

そういうと二人はすぐにプレゼント袋を開いた。

そして中のモノを見て目を輝かせた、まるで子供のように。

「うわぁ…これ、マフラー?真っ白でモフモフだぁ…」

「イツキはマフラーなの?私は手袋だったよ。ほら、クマさん柄!可愛い!」

「でも…何で二人別々のモノなの?普通なら喧嘩にならないように同じものを買ってくるんじゃない?」

「確かに…」

二人が疑問めいた顔でそう尋ねてくる。

だが俺は自身を持ってこう答えた。

「だって…これがお前たちに似合うと思ったからだ。イツキは大人っぽいけどどこか幼さが残る感じだからそのモフモフマフラーで、キラはちょっと手が小さめだからそれがいいかなって…あれ?お、おい泣くなって…」

俺の話を聞きなぜか二人は泣き出してしまった。

もしかして気に入らなかったのか…?

「うぅ…センパイ…すっごく嬉しい…」

「私も…とっても嬉しいよ…」

「だからって泣くほどの事じゃ…」

涙で目をはらしながら彼女たちは嬉しそうにほほ笑んだ。

「やっぱりセンパイは私達をそれぞれ違う女の子としてみてくれてるんだね…」

「私はね、昔からイツキと同じものしかもらってこなかったの。二人でケンカしないようにって…でも私達にもちゃんと好みもあるし体型も違うところがある…それが昔から嫌だったんだ…」

双子ゆえに思うところもあったんだな…

確かに俺も一度はそう考えたことはある。

だが彼女たちはそれぞれ違う存在なのだ、同一人物として扱うのはおかしいのではないか。

「センパイ…あのね…」

「私達ね…」

二人が改まって俺のほうを見る。

彼女たちは頬を染めて切り出しくそうにもじもじしていた。

そして一呼吸置いた後に

『センパイの事が…好き…』

と、二人で言ってきたのだ。

街の雑踏に消え入りそうな小さな声、だがそれでいて力強さを持ったその言葉に俺の頭はくらくらと揺れた。

「な、何でなんだ…?」

俺は動揺を隠そうとそう言ったが声は裏返ってしまっていた。

「だって…私たち二人の事を見つけてくれた…ちゃんと私たちが双子だって言ってくれたのは先輩が初めてだもん…」

「それにさっきの事も…センパイは私たちの事を別の女の子としてみてくれてる…そんな優しい先輩が…気付いたら好きになっちゃってたの…」

二人は絞り出すようなその声で俺に精一杯の想いをぶつけてきた。

今にも泣きだしそうなその表情、がたがたと震えるその肩を見ているだけで愛おしくなってくる。

「ちょっと…考えさせてくれないか?確かにイツキもキラもかわいいし頼りがいもあって…でもいきなりの事もあって俺の頭は混乱してるんだ。だから…もう少し答えは引き伸ばさせてくれ…ちゃんと、返事はするから…」

俺はそう言って彼女たちの頭を撫でた。

二人は照れ臭そうに、それでいてどこか儚げに笑っていた。

「そ、そう…ありがとセンパイ…返事は…ずっと後でもいいから…それじゃキラ、いこっか?」

「うん…じゃあセンパイ、また明日ね…」

「え?ちょっと!もう帰るのか!?」

俺の言葉を無視して二人は駆けて行った。

まるで俺の前から早く姿を消したかったように…

 

 

 

「ねぇキラ…」

「なに、イツキ…?」

とある公園の大きな木の下、そこに彼女たちは立っていた。

ほとんど同じ顔の二人、違いといえば左右対称に入れたカラーコンタクトのみだ。

だがそれも今では意味を成さなかった。

なぜなら彼女たちの裸の瞳はカラーコンタクトと同じ赤に染まっていたからだ。

「私たち、フラれちゃったね…」

「そう、だね…センパイのあの言葉、私達を傷つけないようにって意味だったと思うけど…」

「だよね…でも、そっちの方が残酷だよ…私達に希望なんて見せちゃって…」

「もしかしたらって思っちゃうもんね…私も思っちゃったもん…センパイと一緒に生きる未来を…」

「私もだよ、キラ…」

「ほんっとセンパイってば…バカなんだから…」

涙でぬれた彼女たちの頬に小さな白いふわりとしたものが落ちてきた。

それはだんだんと量を増していき彼女たちを白く染めあげていく。

「雪、だね…」

「うん…」

「ホワイトクリスマスだよ、キラ…」

「うん…こんなのされたら…もう今日の日を忘れられなくなっちゃうじゃん…」

しんしんと雪が降る夜に、彼女たちの泣き声だけが雪と同じように溶けて消えていった…

 

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