それは私が12歳の時に起こった。
だけどその前にウサギちゃんの武勇伝を話しておかないとね!
その日、私は街にお肉を売りに行っていた。
12になってやっとお父さんたちは私が一人で街に行くことを許してくれた。
やっと訪れた一人の時に私の心は舞い上がっていて…
いろんなところに顔を出したり街の公園で遊んだり…
何もない日にも街に出て遊びまわってどろどろになって帰ってお母さんに呆れられたり…
とにかく遊びが大好きな娘だった。
だから私はその日もお肉が全部売れるとたかが外れたように遊びまわった。
「今日は何をしようかなぁ?ブランコかな?それとも滑り台?」
だがその日の公園はいつもと違っていた。
普段のような楽しそうな雰囲気はなくどこかピリピリしたムードが漂っていたのだ。
私はその空気が何処から出ているのか周りを見渡して、そして気付いた。
公園の真ん中で輪を作るように並んだ少年たち、その輪の中央には私と同じぐらいの年の男の子と、小さな女の子がいた。
これはいじめだ。
私は瞬間的にそう思った。
理由は明確だ、いじめられているであろう二人の子が泣いているから、いじめているであろう子たちが木の棒や爆竹などを持っているから…
「うわぁぁん…お兄ちゃぁん…!」
「大丈夫…兄ちゃんが守ってやるからな…ぐすん…」
「カッコつけてるのに泣いてるのかよ!ダッセぇ!」
どうやらあの子たちは兄妹のようだ、お兄ちゃんのほうは妹を守ろうとしているけどその小さな体で何ができるのか…
「これは…ヒーローの出番だよね!」
その時の私は憧れていたのだ、ピンチの時に現れてくれるヒーローのような存在に。
絵本で見た正義の味方に…
「待て!」
「あ?なんだよ?」
だから私は立ち向かった、そのいじめっ子たちに。
その子たちは私より年上のようで身長も頭一つ半は飛び抜けていた。
元々小さかった私を見下すようにその少年たちは睨みつけてきた。
だけど私はひるまなかった、ひるむなんてヒーローのすることじゃないから。
「いじめはダメなんだよ!」
「はッ!別に俺はいじめてないよ!こいつがいると悪いことが起こるんだ、だから退治してるんだよ!」
「それはいじめっていうんだぞ!そんなの正義の味方のウサギちゃんが許さないんだからな!」
どういう理由があれども許されないこと、私は怒りに身を任せて正義の鉄拳を放った。
そこからはすぐだった。
いじめっ子たちは私の拳を受けてしっぽを巻いて逃げていったのだ。
おあつらえ向きに最後に覚えてろと叫びながら。
「キミたち大丈夫?」
「うん、大丈夫…けど…君、俺達が怖くないの…?」
「ん?どういうこと?」
「だって…俺達、こんな体だよ?」
「え?」
私は改めて二人の身体を眺め見る。
「それ、どうしたの!?病気!?」
そう、彼らの身体、正確に言えば腕や首元にまるで黒い蛇が絡まっているようなあざが出来ていた。
そんな症状、今まで見たことがない。
こんな蛇が絡まっているような病気なんて…
「みんなが言うんだ、これは不幸の象徴だって。だから君も俺たちに近寄るとだめだ」
「そんなの関係ないよ…困ってる子がいれば助けるのはウサギちゃんの役目だもん!」
「え?でも別に俺たち困って…」
「友達、いないんでしょ?だからウサギちゃんが友達になってあげるの!」
こんな上から目線の言葉だけど実際には私にも友達と呼べる子がいなかったのだ。
だから私にも、この兄妹にも、初めての友達が出来た、そんな日だった―