「そういう経緯で私は初めての友達をゲットできたってわけ。名前は…思い出せないや」
「おいおい、そこ肝心だぜ?」
「だってしょうがないじゃん、あの時の記憶はちょっとごちゃごちゃしてて…でもその子たちの事をツキくん、ツキちゃんって呼んでたのなら覚えてるよ」
「二人とも同じあだ名だとしたら…名字からもじったんですわね」
「そういやその子たちの身体のアザって結局どうなったんだ?」
「私にもわからないの…結局私が最後に遊んだ時まで残ってたから…今も残ってるんじゃないかな?」
「そうか…でも蛇が巻き付いたようなあざって…」
「えぇ…わたくしも心当たりがありませんの…」
「もぅ!そんなことはどうでもいいから早く続きをきくの!」
「うーちゃん!早く早く~!」
「もぅ!待ってよツキちゃ~ん!」
「はぁ…あんまりはしゃぐと危ないよ~!」
「大丈夫だよお兄ちゃん!」
「そうだよ!ツキくんは心配しすぎ!」
あの日から私たちは毎日のように遊びまわった。
公園に行ったり森の中に入ったり、河原で水遊びもした。
彼らの蛇のようなあざ、それを見て気味悪がる人もいたがそれは私が許さなかった。
少なくとも私がいれば彼らも黙って私たちの事を見ているだけだった。
この二人と遊んでいると毎日が楽しかった、輝いていたんだ。
私は一人っ子だったから妹とお兄ちゃんが一気にできた気分になっていたんだ。
「うーちゃんうーちゃん!見てみて!ちょうちょさん!」
「あ!ホントだ!可愛いねぇ」
私のことをうーちゃんと呼び慕うのはツキちゃん。
小っちゃくて泣き虫で、でもそんなところが可愛くって…
「ねぇツキちゃん、ウサギの事、好き?」
「好きだよ!けどね…私お兄ちゃんの方がもっと好き!おっきくなったらね、お兄ちゃんと結婚するの!」
この言動からわかるとおり相当のブラコンである。
お兄ちゃんが大好きで私がいないときはず~っとお兄ちゃんにくっついてるぐらい。
それに何か怖いことがあったら真っ先にお兄ちゃんに泣きついちゃうような、そんな娘だった。
「お前はずっとそればっかりだなぁ、おっきくなったら考えてやるからなぁ」
そうやって妹の頭をポンと優しくなでるのはツキくん。
本物のお兄ちゃんみたいに優しくって頼もしい子だ。
それに私と同じくらい強かった。
ずっと妹を守ってきたんだと感じさせる、優しい強さだった。
ただツキくんもちょっとアレな子で…
まぁ要するに妹のブラコンに負けず劣らずのシスコンなのだ。
ツキちゃんのお願いには逆らえずにずっとききいれたり普通なら怒ることも笑って許してるし…
とにかくおかしなところもある二人だけど私の最高の友達だった。
私達が友達となって2週間ぐらいが過ぎたころ、誰かが唐突に森の奥に行ってみようと言い出した。
いつもなら危ないからと入口近くで遊んでいたのだが…やはり幼少期の興味はとどまることを知らなかった。
もう私たちはすっかり森の奥への興味で他のことなどどうでもよくなっていた。
「じゃあウサギちゃんが先頭だから二人ともついてきてね!」
「うん…うぅ…どうしよ…怖い動物さんが出てきたら…お兄ちゃぁん…」
「大丈夫、その時は俺が助けてやるからな」
「ありがとお兄ちゃん!大好き!」
「あはは、ホントお前は甘えんぼだなぁ」
「ツキちゃんもツキくんもウサギ抜きでイチャイチャしないでよぉ!」
ほんっとこの二人は…
まぁそんなやり取りがあるから私も安心して奥へと進めるんだけどね。
そして歩くこと数十分、ようやく森の中心部へ着いた。
ちなみにこの森はあまり大きくなくよく散歩道として使用されることが多かったのだ。
だが子供の足では大冒険だ。
私達は達成感のあまり大声を出して騒いだ。
「ねぇうーちゃん…あそこ、家があるよ?」
「ほんとだ…うわぁ…豪華な家…」
そこで私たちが見つけたのは大きくて真っ白な豪邸だった。
そこは何者も通すまいと柵で囲まれていた。
柵の奥は大きなお庭、家と同じく真っ白な色のブランコ、滑り台、ベンチがそこに見て取れた。
そしてそのベンチの上、そこに私達と同年代くらいの女の子が2人、本を読みながら座っていた。
その女の子たちは姿形がそっくりだった、いや、同じとでも言うべきか。
まるで鏡に映した存在のようにその少女たちは存在した。
「お~い!そこの二人~!そんなところで何してるの?一緒に遊ぼうよ!」
「ちょっとウサギちゃん!急にそんなこと…」
「ねぇうーちゃん、やめようよ…あの子たちも怖がってるよ?」
けど私はやめられなかった、あの鏡写しの二人がどうしても気になったからだ。
だがその二人は違っていた。
私が声をかけるとびくりと肩を震わして庭の奥へと隠れてしまった。
「う~ん…どうしよっかなぁ」
「だからやめろって…」
「そ、そうだよぉ…ほら、あっちいこ?」
二人が止めようとするけど私はそれを無視して彼女たちをどうにか誘い出そうと考える。
だって彼女たちを放っておくことはできなかったからだ。
理由?そんなものは簡単だ、彼女たちの顔、そこにはある種の寂しさがうつっていたからだ―