「私の曲を聞いてくれてありがとー!」
ネムはそう言い手を振った。
ブロンズ色の髪をショートカットにした髪型、大きな瞳は海のようなきれいなブルー、身長はイツキよりやや小さめだがそれでも大きいほうだ。胸は踊る時にじゃまにならないぐらいの小ぶりなサイズだ。
「じゃあ次の曲、いっくよ~」
ネムはそう言い構える。まだ歌うのかとキョウヤは少し苛立った。
「それぐらいにしておいてよ、僕らは曲を披露しに来たんじゃないんだよ」
入口から突如声がしたのでその方向を向いてみるとそこには黒いフードをかぶった小柄な少年が立っていた。
マリナより少し大きめの身長、フードから少し覗くブロンズの髪、射抜くように鋭い瞳はブルーであった。
「スイマセン、自己紹介がまだでしたね。僕は涼風 羊(スズカゼ ヨウ)です。こっちの身長の高い人が四ツ夜 零(ヨツヤ レイ)、でこっちの女の子は九尾 眠(キュウビ ミン)。覚えれましたか?キョウヤさん、ケントさん」
少年は淡々とそう紡ぐ。全く年相応の喋り口調ではなかった。
レイと呼ばれた青年は軽くお辞儀をした。
やせ形で色白、特にこれといった身体的特徴はない。しかし彼から発せられる威圧感は相当なモノであった。
ついでミンと呼ばれた少女がこちらに歩み寄ってくる。金色の髪をなびかせながら歩いてくる少女。
顔はまだ幼く可愛げの残る顔立ち、身長は小柄だがマリナより頭一つ分ぐらいは大きいはずだ。服装は巫女装束に似た衣装を纏い、そして頭には帽子をかぶっている。
ミンがこちらまであと数歩のところで転んだ。何もないところで転んだのだ。
キョウヤ達はあっけにとられ、そしてある一転に視線が集まる。
「ニャっ!?いたた…ってみんなどこ見て…」
ミンは全員の視線が自分の頭に来ているとわかり、頭に手を置く。
その瞬間絶叫
「ニャニャニャ!?私の帽子がない!って見ないで~!」
頭を必死に隠そうとするももう手遅れである。
その頭からは帽子が消えそしてあるはずの無い物があったのだ。
耳である。ネコミミである。
「なぁ、イツキ。あいつネコミミなんだけど…知ってたのか?」
恐る恐るイツキにそう尋ねてみるキョウヤ。
「いいや、初めて知ったよ。教室じゃずっと頭巾してたし…」
イツキが知らないのだからほかのクラスメイトも知らないであろうとキョウヤは思った。
ミンが泣きながら帽子を探しているところへケントが近づいて行った。その手には帽子が握られている。
「はい、これ。大切なんだろ?」
「ニャっ!?アリガトウなの!」
満面の笑みを見せる二人。しかしケントの笑いにはなぜか不安要素が残った。
「返してあげるからおねだりしてみせて。例えば…ニャー、ケントたま、ミンのお帽子返してほしいニャン…ってさ」
その瞬間マリナがケントめがけて思いっきり突っ込んでいきそして蹴り倒した。
「どうしていつも変態行為に走るですか!?バカですか死にますか?そうなりたくなければさっさと返してやるのです!」
マリナの一言によりケントはしぶしぶ帽子を渡した。
「って私より目立たないで!」
急に大声を出したネムにみんな注目する。
「もう!私より目立つなんて100億光年早いんだから!」
「100億光年は距離だぞ」
キョウヤは冷静にそう指摘する。
「ま、まぁワザと間違えただけだし!それよりもう一回私も目立つ!ミュージックスタート!」
赤い顔をしそう叫ぶネム。しかしそこで冷静にヨウが静止の声を出す。
「姉さんは少し黙ってて。僕らは目立つ勝負をしに来たんじゃないんだから」
「ね、姉さん…?」
ケントは素っ頓狂な声を出した。まぁそりゃそうだろう。
まず名字から違うのに姉弟なんてことは無いはずである。
「あぁ、姉さんの名字の咲神っていうのは芸能界での名前で本名は僕と同じ涼風…」
「あぁー!あぁー!聞こえなーい!何も聞こえなーい!」
ケントは耳を抑えてそんなことを言った。その横ではなぜかネムも同じことをしていた。
ネム自身自分の本名を知られたくないんだろうかと思った。
「まぁそんなことはさておき早く始めましょう」
ヨウはそう言い自分のチームをまとめる。
「じゃあ今回のルールはどうしますか?」
突如謎の声が上がったので声のした方を向いてみるとそこにはキョウヤ達のクラス担任の玉木 魅闇(タマキ ミオン)がいた。
いつの間に現れたのかわからないがにこにこしながら立っていた。
「ルールはどっちのチームが決めますか、キョウヤさん?」
ルールというのはこの模擬戦での決着方法を決めるために作るものだ。
制限時間や武器の縛りなど勝負に関することを自由に決めていいのである。
「あぁ、構わないよ。なぁお前ら?」
キョウヤは確認のためにみんなに問いかける。全員問題ないというようにうなずいた。
「じゃあ制限時間は30分、戦闘不能者が2名出た時点で強制終了、30分以内に戦闘が終わらなかった場合は戦闘可能者が多いほうが勝ち。武器の縛りはありません」
「では、試合開始~」
玉木先生のゆるい号令と共に試合が始まった。