終焉ペレストロイカ   作:如月ライト

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龍殺し

「くっ…こんな奴…勝てるわけがないだろ…!」

キッとやつを睨み吐き捨てるように俺はつぶやく。

こいつに攻撃を加えようとさっきから応戦しているのだがやつの硬い筋肉質な体に致命傷を与えるのはほぼ不可能だった。

「ケント…諦めちゃダメ!こいつを倒して…お兄ちゃんを助けに行くんだから!」

「そうだよ…キョウヤはいっつも私たちを助けてくれてるんだから…今度は私たちが助けにいく番…!」

「ユキ…ウサギ…そう、だよな…」

俺だってアイツに何度助けられたことか…

今までの恩をここでちゃんと返しておかないと夢見が悪いってものだ。

だけど…俺たちの行く手を阻む龍は相当な実力で…

そいつを倒すには決定打となるモノが欠けていたのだ。

「ケント!さっき拾った剣、ドラゴン・スレイヤーの出番です!その剣が名前通りの力を持ってるとしたら…そいつに勝てるかもしれないです!」

「こいつが…?いや、今は疑ってる暇はないな…こいつにかけるしかない!」

俺は腰に下げていたそれを抜き数回素振りしてみせる。

まだ一度しか使っていないがずっとこの剣を使ってきたかのようなフィット感がある。

まるでこの剣が持ち主の能力を最大限に発揮させる形に姿を変えたとでも言うべきか…

とにかくこいつは俺が愛用している刀の次にフィットするということだ。

「まずはこいつの一撃を試したい…みんな…道を拓いてくれ!」

「じゃあまずは私が先行する!私が囮になるからケントはその隙にアイツの懐まで!」

「すまんなサクヤ、囮なんてさせて」

「私のことは心配しないで!それにクラスメイトを守るのが委員長の仕事なんだから!囮なんてどーんと任せてよ」

「そうだな、頼もしい委員長で何よりだ!」

バッとサクヤが飛び出し俺もそれに続く。

目の前に迫りくるは巨大な体、だけどサクヤはそれに臆することなく突き進んでいく。

「螺旋の桜【チェリースパイラル】!」

サクヤはいったんレイピアを自身のほうに引きそしてそれを勢いよく突き出した。

突きだすその瞬間、彼女の剣先に桜の花びらが渦を巻きまるでドリルのような形を形成した。

それがドラゴンの右足に突き刺さる。

ぎゅるぎゅると回転して敵の肉をえぐり出す花びらのドリル、舞い散る花びらと飛び散る赤雫、俺は一瞬その命の乱舞に見惚れてしまっていた。

「サクヤ!危ない!」

今の彼女はすぐに体制を変えれない、なので恰好な的だということは誰の目にも明白だ。

奴もそれをわかったうえで巨大な尻尾でサクヤを薙ぎ払おうとしていた。

逃げようとしないサクヤに巨大な尻尾が襲いかかる、だが彼女は顔色一つ変えていなかった。

だがその瞳には明らかに勝利を確信した光が灯っていた。

「大丈夫だよ…ケント、みんなを信じて!」

尻尾があたる、そう思った瞬間、まさに紙一重の所で魔法陣が展開された。

しかしその魔法陣はいつもと何かが違っていた。

いつもより…分厚い?

「ふぅ…二重展開に寸止めなんて…サクヤセンパイ結構リスク高いことさせますよね…」

「けど、成功したでしょ?私はキラを信用した、ただそれだけだよ」

「ケントセンパイ!早く行って!アイギスの二重がけでもこれはちょっときついから…あんまり長く持たないよ!」

俺は走る、サクヤとキラが拓いてくれた道を…

二人の命がけの努力を無駄にしないために…

「な!?ブ、ブレスなんて反則だろ!」

だけどそれをことごとく潰そうとするのがやつだ。

足も尻尾も使えないとなると今度はブレスを吐き出そうと口元にエネルギーをためていく。

だんだんとエネルギー波がやつにたまっていくのが分かる。

「ケント!そのまま走って!私が何とかする!」

「ユキ…まかせたぞ!」

奴がブレスを吐き出す音を背中に聞きながら俺は走る。

奴の攻撃が一直線に俺を狙っている、けれど俺は振り返らない。

だって…俺には頼れる仲間がいるんだから!

「神様…今だけでいいから私にお兄ちゃんを助けられる力を頂戴…お願い!凍って!アイシクル・ダスト!」

まるで吹雪を思わせる氷の嵐がやつのブレスにまとわりつく。

そしてそれはやつの攻撃を巻き込みキラキラとしたパウダースノーと化していく。

舞い落ちる異能の雪、俺はその中をひたすら走る。

もう標的は目の前だ、あとはこの剣を振り下ろすだけ。

「ケント!いつもの準備できたです!いくですよ!」

そしてベストタイミングでのマリナのサポート。

俺とマリナの二人がそろって初めて完成する大技、炎の剣、そう、俺とマリナの愛が完成させた大技だ。

「サンキューマリナ!愛してるぜ」

「もぅ…そういうのはアイツを倒し切ってからにするです!アイツを倒せたら…いっぱいい~っぱいマリナちゃんを愛してです!」

「オッケー!…さんざんてこずらせやがって…覚悟しろよ!」

初めはこの剣の能力を試すだけだったが…

今はこの一撃でやつを屠らなければならないという雰囲気だ。

だけど不思議とそれができると思ってしまう。

この剣の能力がそう思わせるのか、それともみんなのおかげか…

どちらにしても俺はやるんだ…!

「いくぞ…!断龍斬マリナスペシャル!」

炎をまとったドラゴン・スレイヤーを俺は思いっきり振り下ろした。

仲間のすべての期待、いや、命を背負って…

 

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