終焉ペレストロイカ   作:如月ライト

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エンド

「くっ…!こいつ…強い…!」

「ふん!我はまだ本気など出してないぞ!期待外れにもほどがあるな、そんな奴に我らが伝説の剣を引き継がれたとは…」

このエンドという男、相当の手練れだ。

隙というモノを見せないし攻撃から攻撃への連携も早い、防御も最小限の力で受け止めているように見える。

とにかく相手の方が実力は格段に上、戦術も何もまだ修行中の俺とは相性が悪すぎる。

「ケント!サポートするです!」

「これがサポートだと?笑わせる!」

マリナの魔法をおのれの腕で受け止めそして爆砕させる。

(おいおい…こんなのチートすぎだろ…)

魔法も聞かない、攻撃は躱される、仮に攻撃が入ったとしてもその硬い鎧にすべてはじかれる…

今の俺たちではこいつへの勝ち目はほぼ0に近い…

だがこいつを倒さなければ先へは進めない…

俺たちに残されたのは進むという選択肢だけだったのだ。

「ねぇケント…次も私が囮になる…だから、一撃でもいい。攻撃を決めてくれる?」

「だけどもサクヤ、あいつの鎧で…」

「あいつだって身体全てを鎧で覆っているわけじゃない…ほら、あそこ…肩と腕のつなぎ目の所」

サクヤが指差したそこは確かに鎧が途切れていた。

そこに攻撃をねじ込めれば何とか…

「どう?できそう?」

「あぁ…だけど隙なんて…」

「私が作るって言ってるでしょ?私の神装、これを使えばやつと互角に戦えるかもしれない」

神装、それはオシリスの人間しか使うことができない奥義。

一説にはオシリスの神が与えた奇跡の力だとか言われているが真相は不明だ。

今分かっている情報といえば16を超えたオシリスの人間が使えるということと使えば心身に相当な負担がかかるということだ。

神装を身に纏った瞬間体が耐え切れず全身から血を噴き出して死んだということもあるし、仮に生きて使えたとしても帰投後に心が壊れてしまったという人間もいる。

今戦場で戦っている人間でもごく少人数しか使うことが許されていないもろ刃の剣なのだ。

「サクヤ!お前…死ぬ気か?こんなバカなこと…」

馬鹿なことするな、俺がそう言おうとしたところサクヤが口を挟んできた。

「でもこうしなきゃみんな死んじゃうんだよ!?私ひとりの命でみんなが助かるならそれが一番いいんだよ…それにもしかしたら死なないかもしれないでしょ?私はその万が一にかける…だからケントも信じて!」

「でも、俺は…」

「サクヤがそこまで思ってるならマリナちゃんは賛成です」

「私も賛成かな。じゃないとお兄ちゃんにあえないもん!けど!むちゃだけはしないで…」

「そうですよ!サクヤセンパイがいなくなったらみんな悲しみます!それに誰がこのクラスをまとめるの?」

「はは、確かに私以外誰もみんなをまとめられるわけないか…約束する、私は必ず生き残る!」

「あとは…ケントだけです」

マリナに指をさされてびくりとする俺。

確かに俺はサクヤを信じたい…

けれどこうも都合よく奇跡が起きるというのは…

「大丈夫…私、過去に2回成功してるから…ほら、見たでしょ?ここでケントたちを助けたときに使ってた、だから大丈夫…私は死なない」

でも過去に神装を扱うのに一度は成功したモノの二回目に死んだという事例もある…

「ね?ケント…お願い…私にみんなを助ける資格を、ちょうだい…」

サクヤの瞳には涙がたまっていた。

こうまでしてみんなを救いたい、それが力を持つ者の覚悟なのかもしれない…

「サクヤ…分かった。けど一つ条件だ。必ず生き残る、いいな?」

「ありがとう、ケント…」

 

「さぁエンド…お前のエンドももうすぐだ!」

「ふっ…つまらぬことを…貴様らが私に勝てるわけなかろう!」

「それは…どうかな…神装発動!私に力を貸して!」

サクヤが叫んだ瞬間彼女の身体は光に包まれた。

目映い光、目もくらむようなそれだが、不思議と温かかった。

まるで母親のようにやさしく包み込んでくる光の中心で、彼女は変容を遂げていた。

紅白の衣装、そう、まるで巫女装束に似たような衣装に身を包み左手には鋭い刀が握られていた。

なめらかで、綺麗で、まるで魅了されてしまいそうな刃だ…

長い彼女の髪の毛は後ろで真っ白なシュシュでポニーテールのようにきゅっと束ねられていた。

そして極めつけは頭の上にぴょこんと飛び出た狐のような耳だ。

今のサクヤの姿、それを一言で表すと、神話で言う天女だ。

人の世に降りてきた、天女、そう表現するしかできなかった-

「貴様…それは…」

「神装【木の葉】私の最終奥義…これでお前を…倒す!」

「ならば我も本気を出そうぞ…!」

エンドはそういうと腰に下げていた剣を引き抜いた。

真っ白な刀身、それはまるで龍のしっぽのように巨大で太かった。

その剣は切る、というよりは壊すことに特化しているのではないかというほどのモノだった。

それに合わせてサクヤも剣を構える。

彼女の剣はエンドのそれとは違い細く短い、だが鋭利な刃はすべてのモノを切り裂くほどに見えた。

「私は…負けない!」

そうしてサクヤの戦いが始まった―

 

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