終焉ペレストロイカ   作:如月ライト

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開始

「センパイ、一緒にがんばりましょうね!」

イツキはそう言ってキョウヤの手を取る。

「そこ!イチャつくなです!早く作戦通りの場所に移動するです!」

マリナがそう急かす。

キョウヤとイツキは相手チームの懐へともぐりこみケントはマリナの前方に立つ。

マリナは静かに目を閉じ何か呪文のようなものを発する。

マリナの詠唱を気にかけていたキョウヤだったが前方からの攻撃を察知し退く。

「何よそ見してるんですか、キョウヤさん。あなたの相手は僕ですよ?」

そう言ってヨウは両手に持っているダガーで猛攻を仕掛けてくる。

キョウヤはそれを必死に剣で受け止めるが攻撃速度の速いダガーとでは分が悪い。

戦闘に支障が出るほどではないが傷を作っていくキョウヤ。

ヨウにできた一瞬の隙を突き一発攻撃をしてから飛び退いて距離を取る。

「へえ、キョウヤさんって意外とやるじゃないですか」

「はは、お前もな。相当な太刀筋だぞ」

お互い軽口を叩けるほど余裕なのかそれとも強がっているのかはわからないが両者とも笑顔だった。

「じゃあ行きますよ!」

そう言ってヨウはキョウヤの懐に突っ込んでくる。

キョウヤは剣を構えそれに対応すべく臨戦態勢を取った。

 

「お前の相手は私だ、ミン!」

そういいミンに攻撃を仕掛けるイツキ。イツキの手にはバトルグローブがはめられている。

どうやらイツキは肉弾戦を好むらしい。

しかしミンはそれに動じることなくイツキをにらみ呪文を詠唱し始める。

「させるかっ!」

イツキはミンの詠唱が終わる前に一撃食らわそうと飛びかかった。しかしミンの詠唱の方が早く呪文を完成させたミンが得意げにイツキを見る。

「アヤカシの炎!近寄るモノを燃やせ!」

ミンの周りに無数の火の玉が現れる、そしてそれをイツキめがけて撃ちこみ始めた。

イツキめがけて飛んでくる火の玉、しかしそれをイツキは華麗に避ける。

「遅い、遅すぎるよ!」

「なら、これはどうですか!」

飛ばしてくる火の玉の数を一つではなく二つ、三つと増やしたミン。

しかしそれをイツキは拳で撃ち落とす。落とせずに飛んでくる火の玉をかわし、また撃ち落とす。

イツキはこの動作を繰り返しながらも一歩、また一歩とミンとの距離を詰めていった。

「なんで撃ち落とせるの!?しかも拳で!意味が分からないよ!」

「まぁ強いて言えば私が強いからかな」

イツキは笑いながらそう答えた。もちろん火の玉と格闘しながらだ。

「ならばこれならどう?全弾発射!」

そう言った瞬間ミンの周りを漂っていた火の玉がすべてイツキ向かって飛んでくる。

「こんなの楽に潰せるね」

「強がりはいいよ、さっそくリタイアしてもらいます!」

イツキは少し目を閉じ呼吸を止めてから両腕を前に突き出した。

「アイギス!」

イツキがそう叫んだ瞬間イツキの前方に巨大な魔方陣が広がる。

「今更魔法を展開しても遅いよ!」

「私のアイギス舐めるなよ」

イツキがそう言ったのと同時、魔方陣に火の玉が当たる。

しかしそれは魔方陣に当たると消え去ってしまった。

「え?なんで…?」

ミンは納得できないという顔をしイツキを睨む。

「私の異能はこのアイギス。絶対防御の盾を作り出すこと。アイギスの前ではどんなに強い攻撃も無意味」

そう言いながら指の関節を鳴らすイツキ。

「これだけで終わりってわけじゃないよね?もっと遊んでよね」

 

ネムはひたすら歌っていた。戦わずに歌っていた。

歌うこと、それが彼女の異能である。

歌によって能力を向上させたり、攻撃したり、使い方は様々だ。

今回は能力向上の異能を歌っている。

小型マイクに向けて小声で歌い、同じパーティのメンバーがつけているイヤフォンから音が流れる、こうすることによりほかの相手に聞かれることはないからである。

ネムは歌いながら闘技場を見渡した。

キョウヤとヨウ、イツキとミンがそれぞれ交戦している。そしてケントはマリナと共に呪文完成を待っている。

そこである物を目にしネムは思わず笑みがこぼれた。それはマリナの後ろに忍び寄る影、レイである。

レイは自在に存在を隠す超人的な能力を身に付けているのでこんなことが可能なのだ。

「久しぶりにあれが見れるのかな」

あれとはレイの異能のことである。

レイの異能は実態のある霧を操ること。その影を使った攻撃法である。

「お、始まったみたい」

レイはマリナの真後ろちょうど10mぐらいの距離に付く。そしてその体から黒い霧を発する。

それが十分に満たされるとその霧を一つの腕のようにしてマリナに近づいた。

「そんなに焦らさないで早く!」

ネムは目をキラキラさせながらその瞬間を待った。

 

キョウヤは少しの異変に気付いた。

ヨウとの戦いに集中しすぎていたためあまり周りを見れてい無かったキョウヤだったが少し落ち着いてきたため周りを気にかけたのだ。

「レイがいない…?」

そう、レイの姿が見当たらないのだ。

「またよそ見か、相当余裕なんだな!」

「くっ…」

ヨウの素早い連続攻撃を受け流しながらレイの姿を探す。

「見つけた…!」

マリナの後方、黒い腕を操る青年を見つけた。

その黒い腕は今にもマリナをのみ込まんと迫っている。

キョウヤはマリナを助けに行こうとするがヨウの攻撃が激しくて動けない。それにヨウの攻撃を振り切っても到底助けられる距離じゃないだろう。

「イツキ、ケント、マリナを助けてやってくれ!」

ミンに迫りよっていたイツキだったがキョウヤの声を聞きすぐさまマリナの方を見る。

ケントもマリナの後ろを振り向き敵の姿を確認した。

「マリナ様、申し訳ありません!敵の接近を許してしまいました。どうかこの使えない騎士にお仕置きを…!」

「あぁ、もう!お仕置きなら後でしてやるから今は黙ってるのです!あとちょっとで完成するですから!」

ケントは影の主、レイを攻撃するため走る。

「ケントセンパイ!ここは私に任せて! アイギス!」

そう言うと同時にマリナと影の間に魔法の盾が現れる。

アイギスがマリナを阻んだと同時に影が消滅した。

「どうなってるんだ?」

ケントがそうイツキに尋ねる。

「レイの能力は狙った敵に影で攻撃するっていうもの。だから対象の間に遮蔽物をおけば影は消滅するってこと」

「あぁ、なるほどな」

「よしっ、できたです!さぁ、さっきのお返しですよ!」

マリナが腕を振り上げる。するとマリナの周りが輝きだす。

「奇跡の魔法(ミラクル・マジカル)!」

マリナがそう叫ぶと何もない場所から炎が現る。そしてその炎は縦横無尽に駆け回りレイを拘束する。

「今です!とどめです、ケント!」

「おう、任せろ!」

そう言いケントは鞘から刀を抜きだす。

「地裂斬(ちれつざん)!」

抜き出した刃を地面に沿わせながらレイを目指す。ケントの通った後には刃で鋭くえぐられた後だけが残った。

地裂斬、それはケントが編み出した技だ。地面を裂く簿度の切れ味を持つ刃、そしてそれを実現させるための技術と力、すべてがそろわなければできない技である。

その一撃はどんな大型の魔物でも一太刀で切り伏せる。

「これで終わりだ!」

レイの目前まで来たケントは地に刺していた刃を引き抜きレイを斬りつける。

加護があるので致命傷には至らないといったがこの攻撃は相当なモノである。レイは切られた瞬間意識を失った。

 

「やってやったですよ!マリナちゃんをこそこそ攻撃しようとするから悪いのですよ!」

マリナは満足そうにほほ笑みイツキとケントにピースサインをして見せる。

イツキとケントも誇らしげにそれにかえした。

 

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