「やつもこちらに気付いたようだ…やつとの戦闘間合いまではまだ余裕があるな」
キョウヤはやつとの距離を測り自身の愛用であろう鋭い刀身の刃を構えた。
ドラゴンとの戦闘間合いに入るまでにはあと十秒ほど、といったところか…
だったら…
「キョウヤ、私に任せて!」
私は背中に背負っていたスナイパーライフルを下ろす、そしてポケットに隠し持っていた秘密のパーツでコーディネートしていく。
「なにをしてるんだ、ウサギ?」
キョウヤも、それに他のみんなも不思議そうに私の作業を眺めていた。
けれど私はそれに構うことなく銃のデコレーションを行っていく。
時間にしてみればほんの5秒程度、その間に私はスナイパーライフルを自身最強の武器へと変容させてみせた。
両親の復讐のため、ドラゴンを根絶やしにするために考えた私の最強の銃、ドラゴ・イーター。
作ったはいいものの私の精神が弱すぎてドラゴンと対峙して直ぐに気絶しちゃって結局お蔵入りしちゃったっていう恥ずかしいエピソード付きだけど…
けど…今の私は違う、みんなを守るために力を使う、あのドラゴンを倒すために、この子を使う…!
「みんな!私の周りから離れて!こいつの反動は周り一体に影響するから!」
何度か試し撃ちをした時にこいつの反動がすさまじいことが発覚した。
私の周りの地面を抉ったほどの反動、それに私の腕の骨まで砕いてしまって…
まぁ腕がやられたのは最初だけ、今は私自身反動を軽減させるぐらいのテクニックは持ち合わせている。
けれど周りに出る影響は抑えきれない、なのでみんなには退避してもらっておかないと…
「ドラゴ・イーター…私に力を貸して…!」
私はドラゴ・イーターを構える。
ずっしりと重い銃身が私の心を落ち着かせる。
そのままスコープを覗き込む、だがその瞬間私の心にばくんと大きな拒絶反応が起こった。
「ど、ドラゴン…はぁはぁ…怖い…はぁはぁ…」
スコープで改めてドラゴンを見ると私の心に恐怖が流れ込んできた。
もし失敗したら、私達はみんなやられてしまう…
無惨に食い殺されてしまうんだ、両親みたいに…
恐怖が全身を包み込んでいく。
歯がガタガタと震え、手は痙攣して銃を落としそうになる。
心臓は今にもはちきれんばかりに激しい鼓動を打ち全身からは嫌な汗が噴き出して私の服を冷たく濡らした。
「はぁはぁ…んっ…はぁはぁ…」
呼吸が乱れてつばを飲み込むことすら困難な緊張が精神をむしばんでいく。
今すぐにこの場から逃げ出してしまいたい、けれど足はがくがくと震え金縛りを受けたように自身の意思を受け付けてくれない。
アイツに一発をぶち込むだけ、なのに、それなのに、私は…
「ウサギ…大丈夫、俺達がついてる…」
震える私の手に、キョウヤの大きくて暖かい手のひらがかぶせられた。
手と手が触れ合っただけなのに、なぜだか安心できる…
心の中の恐怖が抜け落ちていくようだ…
「大丈夫だ、ウサギ…お前は強い、だからあんな奴なんてすぐに倒せるさ。それにもし失敗しても俺たちがいる、何も心配することなんてないんだ」
「うん…ありがと、キョウヤ…やっぱり私、キョウヤのこと大好きだ…キョウヤがいてくれるだけで勇気が出てくる、心がポカポカぁってしてくる…」
これが本当の恋って奴…?
キョウヤがいてくれるってだけで、私は何でも出来そうな気になる。
その証拠に体の震えはもうおさまっていた。
「もう大丈夫だよ…だから離れて…このままじゃ大好きなキョウヤがケガしちゃうから…大好きな人がケガしちゃったら、悲しいもん…」
「わかった…ウサギ、ガンバレ…!」
キョウヤのガンバレだけで私の心に100%の力が充填された。
これはもうがんばる以外ほかないよね!
「覚悟してよね!この一発は痛いよ!」
もう一度銃を構えなおしてスコープを覗く。
ぐおぉぉという腹の奥まで響くドラゴンの咆哮、それと同時にアイツの口にはエネルギー波がたまっていく。
もしかして、ブレスを使う気…?
それにだんだん近づいてきて…
もしかして、相打ちを狙っている…?
いや、相打ちじゃないな、ドラゴンは本来ぶあつい鎧のような皮膚を持っている、だから自身のブレスを浴びようとも死に至るほどのダメージを負わない…
「けど…そうはさせないよ!」
ドラゴンが近づいてくる。
奴の身体に焦点を定めゆっくりと引き金に手をかけていく。
まだ体の奥底にはドラゴンへの恐怖がくすぶっている。
けれど私の心は最高に爽快だった。
だってキョウヤがついていてくれるから…
私が大好きな人がついていてくれるから…
だから私は頑張れる、あいつだって倒せる…!
奴が最高の間合いに入るまであと3秒…
スコープ越しにのぞいたアイツの姿が昔の弱虫な自分と被る。
アイツと一緒に弱虫な自分を殺すんだ…
「2秒…!」
この一撃は過去への決別、そして未来への第一歩だ。
弱虫で逃げてばっかりいた私自身を糧にして、前に進むんだ…!
「1…!」
見ててキョウヤ…私、やるよ…
もう、誰も失わないために…!
「ファイヤ!」
ドラゴンのがエネルギーを完全に溜め終わりブレスを発しようとした直前、私は引き金を引いた。
バン!というよりどぎゃん!と表現した方がいい程の轟音が洞窟内に反響して耳をつんざく。
そしてドラゴ・イーター最大の欠点である反動が周囲一帯を襲う。
バゴン!と地面が音を立て私の周囲2~3メートルがえぐり取られた。
そしてその襲いくる衝撃は持ち主の私にも例外はないことで…
「ウサギ!」
キョウヤが焦りの声をあげる、だけど私は大丈夫、なぜなら…
おっぱいの谷間に銃を挟んだからなのだ!
私が編み出した最強の防御法!おっぱいガード!
ウサギちゃん特性ぷにふわもちもちマシュマロデカおっぱいはもはや天然の衝撃吸収材!
クッションの役割を担うおっぱいは衝撃を吸収しておっぱいをプルプルと色っぽく揺らすのだ!
そしてその衝撃はおっぱいにとって良い刺激となってウサギちゃん特性巨乳をさらに大きくする役割を…になっているかもしれないのだ…
そう!このおっぱいガードは衝撃を吸収しさらにおっぱいを大きくするという一石二鳥な能力を持っているのだー!
「う、ウサギのおっぱいが…揺れてますの…!あの衝撃をおっぱいでガードしましたの!?」
「いやいや…無茶苦茶だろ、それは…」
「確かに無茶苦茶ですわ…ってそんなことより!ドラゴンのほうですわ!どうなりましたの!?」
私が放った弾丸は空気を切り裂きドラゴンの巨体へと一直線に進んでいく。
そしてアイツがブレスをはく前に着弾、やつの身体を抉りながら突き進んでいく。
そのダメージに耐えきれなかったやつは思わず痛みにのけ反った。
その瞬間、やつのブレスが放たれた。
対象をとらえずに天井に放たれたブレス、その威力は天井を破壊するのには十分すぎるほどだった。
ガラガラという激しい音、崩れ落ちる天井、そして落ちてきた岩に体を埋められていくドラゴン…
私は、勝ったんだ…
ドラゴンに…いや、過去の自分に…