「くそ…ユラ!お前…なんてことしやがったんだ…!」
「なんであんなことしたのよ…ユラぁ!うぅ…ユラがいないと…私たち…」
「ユラ兄ちゃん…ヒカリをおいていかないでよ…!」
ナイトにサクヤ、ヒカリはユラの亡骸に縋りつき泣いた。
彼らは特にユラとの付き合いが長いからな…
いや、付き合いの長さなんて関係ないか。
俺だって今すぐにユラの亡骸に縋り付いて思いっきり泣きたいよ。
だってユラは俺たちの仲間で、頼りになるセンパイだったんだ…
普段は無口だけどいざとなれば熱い闘志で敵をなぎ倒していくユラの姿に、俺は憧れさえ覚えていたのだ。
けど今は仲間の死を悔やんでいる時ではない。
今は…仲間たちを殺したエンドに引導を渡してやることが先決だ。
ユラの一撃をくらい相当なダメージをくらっているはずだ。
今ここでとどめを刺さなければ、ユラの死が無駄になってしまう…!
「テメェ…いい加減にしろよ…これ以上俺の仲間を傷つけさせはしない…!」
闘志むき出しの声でそう言ったのはケントだった。
ケントは瞳いっぱいに涙をためて、けどそれでもキッとやつを睨みつけていた。
その表情はまさに鬼気迫るところがあった。
「貴様は俺が…ぶっ殺す!」
俺は地面に転がった龍殺しの剣を拾いそれをきつく握りしめた。
エンドはユラを、イツキを殺した…
こいつは…俺が絶対に…許さない!
「なぁドラゴン・スレイヤー…力を貸してくれ…やつを倒せる力を…!」
ぎゅっと柄を握りしめて俺は祈った。
(我の力が欲しいのか?)
その時頭に響く声のようなものを感じた。
その声に一瞬戸惑ったがそれはドラゴン・スレイヤーの声だと頭が無意識に判断していた。
「あぁ…欲しい…俺は、お前の力が欲しい…!」
そして俺はその声に…応えた。
(ほう…ならば…我が力を貸そう…!)
「頼む…!ドラゴン・スレイヤー!あいつを…殺せぇ!」
その瞬間剣がすさまじい光を放った。
その光に目がくらんだ俺はきゅっと目を瞑った。
しかし目を瞑る一瞬前、俺は見てしまったのだ。
ドラゴン・スレイヤーから何かが飛び出るところを…
「この…光は…?」
光はようやく収まり俺はゆっくりと目を開いた。
まだ目にはゆらゆらと黒い影がただよっているが関係ない。
俺は今目の前に起こったことを確認しないといけないんだ…
「え…?お前は…誰だ?」
俺の目の前にはなぜか一人の人間が立っていた。
背丈で言うとウサギより少し大きめだ、中世的な顔立ちだが纏っている巫女装束のような真っ白な服から女の子だと推測できる。
髪の毛は綺麗な栗色で頭の少し上のほうできゅっとポニーテールにくくっていた。
なぜか俺の目の前に突然女の子が現れた。
俺は訳が分からずに混乱する。
これは俺の目の錯覚かと思ってキョウヤ達を見てみるがアイツらも同じように何が起こったのか驚愕した瞳で女の子を見ていた。
その少女は突然俺のほうに振り返った。
綺麗なサファイア色の瞳が俺をとらえた。
その時ドキリと俺の心臓が高鳴ったのを今でも覚えている。
そしてその少女はゆっくりと口を開いた。
「ご主人様~!」
「はい?」
可愛らしいその声とともに彼女は俺に抱きついてきたのだ。
小っちゃくてぷにっとした女の子の身体が…俺に急接近!?
こ、これはどういう状況だ…!?
しかもご主人様だと…!?
「ご主人様~…すりすりぃ」
「ちょ、くすぐったいからやめろって」
は…!な、なんだか背中に物凄い殺気を感じる…!
「け~ん~と~!これはどういうことです!やっぱり浮気です!?こんな小っちゃな娘を…しかもご主人様って呼んでもらって…うわぁぁん!やっぱり浮気です~!」
「い、いやそういうのじゃなくてだな!てか俺とこいつは初対面で…ってそうだ!お前名前は?」
「ん?名前…?」
正体不明の女の子は小さく小首を傾げて考える動作をしたのち
「わかんない!」
そうきっぱりと答えたのだ。
おいおい、そりゃないぜ…
「名前はわからないけど…ご主人様の願いはわかるよ…アイツを、殺したらいいんだよね」
その瞬間彼女の雰囲気は一転した。
さっきまでのほんわりとした感じはどこへやら、今はすべてを凍りつかせることのできるような殺気を放っていた…