突然のこの急展開に俺は声も出せなかった。
だって考えてみろよ、突然剣が光を発したと思ったら謎の女の子がいて、その娘がとても強くてエンドを倒して、その上過去に封印された青の国の建国者で、さらにさらに実はケントが異能をつかえるって…
ヤバイ、この展開にほとんどついていけない…
ユラが死んだショックも吹き飛んでしまうほどに俺の頭は困惑していた。
「おいおい、なんだよこれ…」
「うぅ…頭がこんがらがってパンクしそう…」
隣にいたユキもちんぷんかんぷんだという表情を浮かべて頭から湯気を漏らしていた。
「けど、これからどうするの、お兄ちゃん?結局まだこの先への道とか見つかってないし…」
「あ…」
確かにそうだ。
エンドとの戦いが壮絶すぎて本来の目的を見失いかけていた。
俺たちの目的はこの国に潜入して王手をかけること、だけどこの先の道のりを探さなければ意味がない。
またこの洞窟内をさまようのかよ…
そう思うだけでずんと気分が重くなった。
「道なら、レイヤ知ってるかも…」
と、控えめに少女はそうつぶやいた。
「ここ、見覚えあるの。多分ここは昔と変わってないはず…」
「お前、記憶が無いんじゃ…」
そうケントが訪ねると彼女は心配ないという風に笑って答えた。
「確かに記憶は抜けちゃってるけど…でも断片的になら覚えてるよ!」
まぁとにかくだ、道が分かるなら俺たちにとってこれほどありがたいことはない。
「王宮への道でしょ?だったらこっちだよ」
とレイヤが歩を進めようとしたその時、サクヤが呼び止めた、それも涙交じりの声で。
「ちょっと待って…先に進む前に…ユラを埋めてあげよ?こんな敵地の真ん中に置いていっちゃ、可哀想でしょ…?」
「それは、俺も賛成だ…ユラの事、ゆっくり寝かせてやりたいんだ…」
ナイトまで涙声でそう言った。
そうだな…こんなところに吹きっ晒しじゃユラもかわいそうだ。
俺達は地面に墓を掘り、ユラを埋葬することにした。
ざくざくと、冷たい土を掘っていく間、皆無言だった。
終始何も話さず、黙々と手を動かす。
仲間の墓を掘る、その作業の辛さに皆口がきけなかったのだ。
一掘り、また一堀り、穴を掘り進めていくたびにユラへの想いが溢れては消えていく。
もうこの世にはいない仲間を思い頬に熱いものが伝った。
この穴はまるで俺たちの心に開いた穴そのものだ。
そこだけぽっかりと歪に開いた穴、心に開いた仲間の穴…そこにユラを埋めるなど皮肉にもほどがある…けれど、そうしないといけなかった…
「ねぇ…イツキも、一緒に眠らせていい?」
キラはポケットから小さな銀色に光る何かを取り出してそう言った。
よくみるとそれはペンダントだった。
「これはイツキが…お姉ちゃんが私にくれたもの…私が唯一今持ってるお姉ちゃんのモノ…だからこれがお姉ちゃんのかわり…」
「それならなおさらとっておけ。大事なモノなんだろ?そんなものを手放すってイツキが知ったら悲しむぞ?」
俺はポンとキラの頭に手をのせて撫でてやった。
なぜそうしたのか俺自身もわからない。
身体が勝手に動いていたのだ。
もしかするとこれは妹を思うイツキの心が俺に乗り移ってそうさせたのかもな…
「せんぱぁい…うぅ…グス…」
キラのふんわりとした髪をなでていると自然と俺の頬にも涙が伝っていた。
「ありがと、ユラ…あなたは最後まで仲間思いの優しい人だったよ…ゆっくり休んでね」
「ユラ…ずっと一緒だったお前が先に逝っちまうなんて考えたことも無かったよ…すっげぇ悲しいし、辛い…けど、泣いてる暇なんてないよな、俺がお前のかわりにみんなを支えるようにならないとさ…だからユラ…お前の勇気、俺がもらうぞ…お前の想い、しっかり受け継いだからな…」
「バイバイ…ユラ兄ちゃん…ヒカリ、ユラ兄ちゃんがいなくても大丈夫になるから…だから天国でヒカリの事見守っててね…」
息を無くしたユラの上に一人ずつ言葉と土をかけていく。
俺たちの仲間が、ゆっくりと冷たい土の中に消えていく…
これが…永遠の別れなんだ…
確かに今まで仲間が死んだところを見ていた、だけどこんな気持ちになるのは初めてだ。
多分、死者を送るという儀式に立ち会っているからだろう…
「ユラぁ…何で…あなたが最初に…うぅ…」
「サクヤ…泣くなよ…くそ…俺まで…涙が…この戦いが終わるまで泣かないって…決めてたのに…!」
ユラとの付き合いが長いサクヤとナイトが最後にユラに寄り添った。
彼らが一番つらいはずなのに、今すぐにでも泣き崩れてユラの遺体にすがり付きたいはずなのに…
必死にそれをこらえて永遠の別れを済ませた彼らを見るのは、心が潰れてしまいそうでつらかった。
なぜ俺達がこんな思いをしなければいけないのか…
これも、すべてこの戦争が悪いのか…?
それとも、この世界を作った神サマか?
とにかく…この理不尽な悲しみを生み出した諸悪の根源にあいたくなった…