「それで、あいつはどうする?」
「エンド、か…」
奴の死体もここに放置していくわけにはいかないだろう。
俺たちを散々苦しめたけど、あいつだって生きていたのだ。
ちゃんと埋葬してやらないと生を冒涜するというモノだろう。
「また穴掘るのか…?俺疲れたぞ…」
「ウサギちゃんももう掘りたくないよぉ…」
「マリナもしんどいです~…」
「お前らなぁ…」
「はぁ…お兄様、どうします?この怠け者たちをムチ打ちしてでも働かせます?」
イリヤのその問いに答えたのはまさかのレイヤだった。
「その必要はない、かな」
「どういうことだ、レイヤ?」
レイヤはゆっくりとエンドの亡骸のほうを向いた、そしてそのまま頭上を仰ぎ見た。
「来た…」
「来たって何が…え!?ど、ドラゴンがいっぱい…!?」
「またドラゴン…?それもいっぱい…!?うぅ…怖いよぉ…けど…もう克服したんだから!」
俺もつられて空を見上げる、そこには空の青を塗りつぶすほどの多数の龍の群れが接近しつつあった。
さすがにあの数じゃ太刀打ちは難しいぜ…
「待って…あれは敵じゃない…」
戦闘態勢を取っていた俺たちをレイヤはさっと制止させた。
彼女はただずっとその龍の群れを見ていた。
「もうすぐ始まる…龍人の、最後…龍と人と中途半端な位置づけだった存在が、最後は龍になる…」
物凄い勢いで迫った来た竜の群れ、やつらが目指していたのは、エンドの遺体。
彼の亡骸めがけてまっすぐに飛来してきた龍たちは綺麗な円状に集まる。
何が始まるのか、そう思っていると一匹の龍が咆哮をあげた。
それは敵を威圧するようなものではなく、悲しみを孕んだ声色だった。
そう、まるで死を悲しむ人間の叫びのような、そんな声だった。
その一匹を合図に他の龍たちも声をあげる。
洞窟内にドラゴンの鎮魂歌が響き渡った。
ドラゴンたちは皆空を仰ぎエンドの死を嘆き歌う。
中には目から涙のようなものをこぼすものさえいた。
数分も続いた嘆きが終わるとドラゴンたちはいっせいにエンドの死体へと貪りついた。
無茶苦茶にされるエンドの身体、体内に残っていた血液が飛び散り龍の身体を真っ赤に染めていく。
「ど、どういうことだ…?さっきまで悲しんでたように見えたのに…今度はアイツを、喰ってる…?」
「それが、龍人の最後だよ。人と龍、どちらの血も受け継いだイレギュラーな存在が、最後には体内で龍として永遠に生きる…彼の魂は今あの龍たちに受け継がれているんだよ」
歪だ…歪すぎる…
けれど、なぜだろう…美しいとさえ思えてしまう。
その最後は、命の終わりは、幻想的すぎて俺は目を背けてしまった…
ぎゃぁぎゃぁと叫ぶ龍の声は、大切な命を亡くした悲しみと、永遠の命を紡げるという嬉しさの声が、混じっているような気がした…