「なぁレイヤ、お前が別人格を出してくれたら昔の話できるんじゃないか?」
レイヤに先導されて奥へと向かっている途中、俺はふとそんなことを思い付いた。
彼女曰く記憶は別人格のほうに残っていると言っていた、だからその人格を呼び出せば話がきけるんじゃないか、と…
「う~ん…確かにそうかもですけど…結構体力使うんですよ?それに別人格になったらレイヤの意思が届かなくなっちゃいます…何をされるかわからないよ?」
まぁそう簡単に別人格なんて呼び出せないかぁ…
「それでも、頼めるか…?」
「どうしたケント?そんな真剣に…普段のお前のイメージと違うぜ?」
「うっせぇ…俺はな、どうしても知らなくちゃいけないんだ…この剣を引き抜いちまった以上はな…」
どうやら彼は彼なりに剣を抜いてしまった責任を感じているようだ。
レイヤは彼の言葉に少し考えを巡らせた後、深くうなずいた。
「わかった…じゃあ今呼び出すから…インストール…」
彼女はそういうとこくりと、まるでスイッチが切れたかのようにうなだれてしまった。
だがそれも一瞬だった、彼女がパッと顔をあげると今までの雰囲気とは違った存在になっていた。
「我は先の戦闘で疲れたというのに、呼び出したのは何事か…」
威厳を感じる声なのだが、どこか眠そうに感じて思わず吹き出しそうになってしまう。
だけどそんなことしてしまうと機嫌を損ねて何をされるかわからないからな…
「え、え~と…お前の事情を説明してほしくってさ…どうして剣に封印されてたんだ?」
「それを話すのは長くなるが、大丈夫か?」
「あぁ、もちろんだ」
「では、少し話すとするか…」
昔青の国に一人の王がいた、それが我だ。
我はその龍殺しの剣を携えこの国の龍を従えていったのだ。
ちなみにこの剣は特別性でな、希少な鉱石を龍の血液と錬金術で結合させてさらに呪術師による呪いも付加した。
そのせいかこの剣には意識が宿るようになり、自身が許せるものにしか扱えないようにしたのだ…
と、少し話がそれたな、我はこの剣で青の国に平和をもたらした。
国民からは絶対の王やら無敵の王などと呼ばれていたが、我も寿命には勝てなかったのだ。
次第に蝕まれていくからだ、命が終わるのを感じた我だがここで死ぬわけにはいかなかったのだ。
未来にこの国の滅亡をかけた戦いがある、とそんな予言をきいたからだ。
その予言をしたのがこの剣を作り上げるのにたずさった呪術師の一人なのだから信頼に値する。
その滅亡を防ぐのは龍殺しの力を持つ者だけだ、ということも予言された。
だから我は死ねなかった、この剣を使えるのはきっと未来永劫我だけだと自覚していたからな。
だから我は死の間際、ある異能力者を見つけ出した。
それがこの身体の主だ。
こいつは他人の意識を自分に取り込むことができるらしかったのだ、そのせいで地下に閉じ込められていたのだがな。
我の意識はその物へと意識を送り込み呪術師の力でその子の身体ごと剣へと封印した、というわけだ。
そこから先は長き眠りの時だったがようやく我は目覚めの時を迎えた、というわけよ。
「これが我のすべてだが、どうだ?」
「要するに…お前は意識だけの存在で、この子は全く無関係の人間だ、と…でもレイヤの能力は?確か武器をインストールするだのなんだの…」
「あぁ、それは我の能力だ。意識を取り込むときに異能まで取り込まれてしまったようだな」
そう言ってはははと笑う元王様。
いや、ここは笑うところじゃないと思うが…
「ふわぁぁ…我は話しすぎて疲れたぞ…少し長めの眠りが欲しい…」
「あ、スイマセン王様…」
…ってなんで俺幼女に頭下げてるんだ?
確かに中身は王様だけど声とか思いっきり幼女のそれだし…
でも今の彼女の雰囲気にはひれ伏さなければいけないと思う何かがあった…
「あ、あれ…?キョウヤ…?何ひれ伏してるの?」
しかし一転して彼女の雰囲気は緩いものへと変わった。
どうやら元王様は引っ込んでしまったらしい。
まぁなにはともあれレイヤの経緯はわかったし、まぁいいか…
しかし気になるな、この国の滅亡、か…
他国の事だがここまで関わってしまえばもう無関係じゃないと言いますか…
まぁまずは俺たちのことを優先しないとな…
「ほら、見えてきたよ!あの穴の先だよ」
「ついに、到着か…長かったな…ここまでいろんなことがあって…」
今までのことを思い出すだけで頭がパンクしそうなほどの濃い出来事たちがあったな…
ユキとケンカしたり、みんなとはぐれたり、ナイトたちが生きていたり、ケントが異能をつかえたり、元王様を仲間にしたり、そして仲間が犠牲になったり…
リュウセイ、デンシ、イツキ、ユラ…お前らの仇、絶対取るからな…
俺は今は亡き仲間の仇討を誓い力強い一歩を踏み出した…