敗者の集い
キョウヤ達は今胸躍らせていた。なぜなら次の対戦相手はウサギたちだからである。
ついに決着をつけるときが来たようだ。
だが彼らの表情は少し固まり気味だ。1戦の時のように簡単には終れないだろうと思ったからだ。
1戦が楽だったかというとまた別の話ではあるが。
「暗い顔をしてどうしたの、愚民ども?この私に勝ったんだからもっといい顔をしてなさいよ!」
唐突に声がしたのでその方向を振り向いてみるとそこにはネムとヨウが立っていた。
「すいません、姉がバカげた発言をして。ですが皆さんのその顔は僕も気に入らないです」
ネムとヨウは不満げな顔をしそんな言葉を漏らした。
確かにそうだ。彼らに勝ったのだからもっと嬉しそうな表情をするのがいいだろう。
次の対戦相手の事に気を取られ過ぎていたらしい。
「そうだよな!次の対戦相手のことばかり気にして沈んでてもダメだよな!アリガトよ」
「ケントのくせにマリナちゃんより先に良い発言をするのは許さないですよ?」
ケントの一言とマリナのいつもの調子によりキョウヤ達の表情は和らいでいった。
「で、次の対戦相手っていうのは誰かな?」
と、ネムが尋ねてきた。どうやら彼女たちはキョウヤ達の対戦カードを知らないらしい。
「あぁ、ウサギとユキとサクヤのチームだ」
「え!?あの3人と!?で、でもまぁ、ワタシに比べれば劣るし…うん、ワタシの能力が覚醒したら絶対に5秒で勝てるし!」
音夢はそう言っているが実際ネムの口調からして3人の強さを物語っていた。
「姉さん、適当なこと言ってないでちゃんと話してあげなよ」
「ヨウのバカ。ワタシ適当なことなんて言ってないもん!ホントのことしか言ってないもん!」
「はぁ…分かったよ、じゃあ僕から話すよ」
ヨウはやれやれと首を振りながらそう言った。
バカな姉を持つとこんなにも苦労するものかとキョウヤ達は思った。
「あの3人は並大抵のチカラじゃ太刀打ちできません。個人の能力が高いうえにそれが3人も集まるともう誰も手を付けられません」
「そ、そんなになのか…?」
静かに語るヨウを前にキョウヤはつばを飲み込んだ。
「あの3人が組んだらほとんど敵無しですよ、センパイ。あの3人に勝てるとしたらヨイザキ先輩とホムラ先輩のチームぐらいじゃないかな」
そこでイツキがヨウの説明の補足を話す。
ユラとナイトの実力はキョウヤは知らないがあの二人が発するオーラを見ていると只者ではないということが分かる。
「でもそんな三人にも勝てる方法があるんだよね~。知りたい、知りたいよね?」
そう言い嬉々として迫ってくるネム。
「ウザいよ、姉さん。もっと普通に言えないの?」
そう言われた途端一気に不機嫌になるネム。
「ぶぅー!もう教えてあげないんだから!泣いたって教えてあげないんだからね!」
ネムはそう言いそっぽを向いた。
ネムって情緒不安定なんだろうかとキョウヤは思った。
「ゴメンよ、姉さん。僕が悪かったよ、だから教えて…お願い」
いつもの調子とは変わってとてもかわいらしく言うヨウ。
それは年相応のかわいらしさであった。
「も、もう…しょうがないなぁ。ヨウの可愛さに免じて教えてあげましょう!」
そうネムが言った途端ヨウが唇の端を釣り上げちょろいなと呟いたことは聞かなかったことにしておこうとキョウヤは思った。
「あの3人はチームだから勝てない、だから別々に戦えば問題ないんだよ!」
「そうか!この模擬戦のルールで戦える人数を制限できるルールを設ければ…」
「へぇ、キョウヤって案外賢いんだ。まぁワタシほどじゃないけどね!」
キョウヤはそれを聞いて殴ってやろうかと思ったが、助言してくれている相手に失礼だろうと思いやめた。
「そろそろキョウヤさんたちの試合の時間ですね。それでは姉さん、僕たちはこの辺でおいとましましょうか」
チラリと時計を見たヨウがそう告げる。
「じゃあがんばってね!この私に勝ったんだから次の試合も勝ちなさいよ!」
「珍しく僕も姉さんと同じ意見ですね。頑張ってくださいね」
そう言い残し二人は去っていった。
「じゃあ俺達もそろそろ行くか」
仲間たちがキョウヤの言葉にうなずいたのを確認し一歩を踏み込んだ。