終焉ペレストロイカ   作:如月ライト

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6章「因縁の対決 後篇」
開戦


「いくよっ!」

開始の合図早々飛び込んできたのはウサギだった。

前回のケントたちの試合の後間髪入れずに次の試合が始まった、それが今の試合、キョウヤ・イツキ対ユキ・ウサギの戦いだ。

ウサギの手には魔法銃が一丁ずつ握られている。

一番射撃のダメージが大きくなる場所まで移動したウサギはその照準をすぐにキョウヤに定めた。

キョウヤは背中に背負っていた剣を抜き取り応戦の構えを取る。

キョウヤが剣を抜き取った瞬間ウサギの魔法銃が火を噴いた。

魔法銃から放たれた弾丸は目にも止まらぬ速さでキョウヤを襲った。

「くっ…!」

キョウヤは持ち前の身体能力を生かしそれを避けきろうとするが一発肩をかすめてしまった。

「へぇ、このムーンアサルトの弾丸をかすめるだけで済ますなんて、結構な実力じゃない」

ウサギは右手に持っていた魔法銃を強調させるようにそう言った。

ムーンアサルト、それはウサギが改良した魔法銃の名前だ。

威力、弾丸の速度を極限まで高めた殲滅用魔法銃だ。しかし照準を定めるのは困難な作りになっている。

だがウサギはそれをさも簡単そうにねらいを合わせて的確な射撃を行っている。

「でも!ムーンアサルトを避けたからってこのルーンラビットを避けきれるかな?」

今度は左手に持っている銃を強調するようにウサギが言った。

ルーンラビット、ウサギが改良したもう一つの魔法銃の名前だ。

威力は通常の魔法銃より劣るが、射程距離が長く照準もぶれにくい。それに連射速度が速いという代物だ。

ウサギはすぐに左手に持ったルーンラビットをキョウヤに合わせて引き金を引いた。

キョウヤの読み通りウサギは連射を行っている。

勢いよく放たれた弾丸はすべてキョウヤを貫かんとする勢いで迫っている。

「アイギスっ!」

瞬間キョウヤの目前に巨大な魔法の盾が出現した。

その盾に当たった弾丸たちは虚しく地に落ちる。

「サンキューイツキ。ナイスタイミングだぜ」

「どういたしまして、センパイ」

盾の主、イツキに感謝を述べたキョウヤはもう一度ウサギに向き直った。

 

「イツキのアイギスは相性が悪いから…ユキ!イツキの動きを止めて」

「オーケー!覚悟してね、イツキ!」

声をかけられたユキは気合十分にイツキの方へ駆け出す。

その手には少し大きめの曲刀が握られている。

「ちっ、剣と戦うのは少し分が悪いな…センパイ、腰に提げてる剣貸してくれる?」

確かにイツキはグローブで剣と戦うのは分が悪い、しかしイツキが剣を振るえるかキョウヤは疑問だったがイツキを信じ剣をイツキに向けて投げ渡した。

「ありがと、センパイ」

イツキは剣を受け取るなりすぐに鞘から抜き出す。

銀色の鋭利な刃が光を反射してその姿を現す。

「イツキ!覚悟して!」

ユキは手にしていた刃を横に振るった。

「覚悟するのはユキの方じゃないかな?」

冷酷な口調でそう言ったイツキは左手に持っていた鞘でユキの剣の動きを止め弾き飛ばす。

そして間髪入れずにその鞘をユキの腹部めがけて突き出す。

「うっ…!」

ユキが顔を歪め呻く。イツキはチャンスを逃すまいと剣を振るった。

しかしイツキの一撃は突如目の前に現れた氷の壁によって阻まれてしまう。

「氷の壁(アイス・ウォール)」

ユキの異能が発動したのだ。氷の壁を出現させ相手の攻撃を防いだのだ。

「こんな氷なんて壊せば何の問題も無い…!」

イツキはもう一度剣を振るい氷の壁に攻撃を加える。

しかしその瞬間ユキが何かを叫んだ。

「炸裂!」

瞬間目の前の氷の壁は砕ける。ただ砕けるだけなら何の問題もないが砕け散った破片が四方八方にまるで弾丸のような速度でまきちらされる。

「くっ…アイギス!」

イツキはとっさに身構えアイギスを展開させる。

イツキの目の前に盾が出現し氷の破片を無力化する。

「それでガードしたつもり?」

ユキは不敵に笑いイツキに問いかける。

イツキはその言葉の意味が分からなかったが次の瞬間身を持って理解した。

アイギスが張られていない横側から氷の破片が飛んできたからだ。

氷の破片は飛び散って分散したとしてもイツキの横側に飛んでくるということはありえない、しかしそれが可能となっている。

イツキは破片になるべく当たらないようによけながらどうやって横側に飛んでくるかを観察した。

しかし全く分からなかった。なんせ氷の破片は小さく見えにくい上に高速で動いている、その動きを把握するには驚異的な動体視力を必要とした。

「答えを教えてあげるね、イツキ。この氷の破片の特殊な動きは飛び散った氷がほかの氷に当たっていることで可能となるの。氷が氷に当たり跳ね返ったり軌道がそれたり…そうやってこの動きは成立しているの」

ユキの説明が終わるころには氷の破片はすべてなくなりイツキの姿があらわになる。

服に小さなほころびを無数に作り頬からは少し血を流している。

「へぇ、この程度で済ませるなんてイツキってばすごいね」

そう、ユキにとってはこの程度なのだ。この攻撃を食らうとたいていの者はほとんど立てなくなるくらいの致命傷を負うはずなのだ。

なのにイツキはごく少量の傷で抑えたのだ。

「バカにしないでくれるかな?私だってこの程度の攻撃なら避けきれるよ」

二人は睨み合い不敵な笑みを浮かべたのち二人同時に相手の懐めざして駆け出した。

 

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