「出でよ、氷女王の槍(ブリザード・スピア)!」
イツキがユキに向かってかけてくる中ユキはそう言い放った。
その瞬間ユキの右手に冷気が絡みつきその手に氷の槍を形成し始める。
ユキの持っていた剣はついさっき弾き飛ばされている、その状態でイツキと戦うにはあまりにも不利だった、なのでユキは槍を形成し臨戦の構えを取ったのだ。
「へぇ、やりも使えるんだ、でも私に攻撃できるかな!」
イツキは勢いよくその手に握ってある剣と、剣の鞘を構えた。
「私のブリザード・スピアの攻撃範囲は自由自在に変えられるんだよ?例えばここからイツキを貫くことも可能なんだよ」
「え?」
イツキが不思議そうな顔をすると同時、ユキの持っている槍の先端にさらに冷気がまとわりつく。
そしてすぐにその先端があらわになる。
先端は冷気がまとわりつく前より確実に伸びていたのだ。
ユキは氷の槍を力を込めてイツキに突き出す。
「そういう意味だったの…でも、この攻撃ならアイギスを使わなくても防げるっ!」
イツキは両手にかまえていた武器をクロスさせ、槍の先端を防いだ。
「これで私のブリザード・スピアを防げたと思ったら大間違いだよ?」
槍の先端が振れたところがピキピキと音を立てて凍りついている。
「早くしないと体まで凍っちゃうよ?」
ユキは笑いながらそう言った。
着々と凍りついていく剣から手を離し即座に横に転げる。
次の瞬間イツキがさっきまで居た場所に氷の槍が放たれていた。
「間一髪だったね、でも次はそうはいかないよ!」
ユキはそう言いもう一度槍を突き出す。
イツキはそれを避けようともせずにその場で拳を構えた。
「ふぅ…はっ!」
イツキは勢いよく拳を突き出し槍を受け止める。
イツキの攻撃により槍の先端が折れる音がした。
「どうやら私の拳の方が強いみたい。で、どうするの?そのやり、もう先端が折れて使い物にならなくなってるんでしょ。降参するなら今のうちだよ」
イツキは挑発するようにそう言い放つ。
「誰が降参なんてするもんか。それに先端が折れたからって私の槍はどうってことないことぐらいわかってるでしょ?」
俺た槍の先端にまた冷気がまとわりつき折れた部分を修復し始めた。
イツキはこうなることを予想していたが本当にそうされると少し危機感をおぼえた。
それは槍を折っても無意味なこと、そしてあの槍がある限りイツキの勝率が限りなく低くなること。
「ほら、まだまだいくよ!」
ユキは槍を連続してイツキに叩き込む。
その都度イツキは槍の先端を折る。
折られた先端を修復してもう一度イツキを襲う。
その繰り返しだった、軽く10回は超えているだろう。
「はぁ…はぁ…」
イツキはもう限界だった。
槍は折ってもトカゲのしっぽ切りだということが分かっていたが折らなければ自分を貫かれる、アイギスを使いたいが長さを変える槍によって適切な位置に張ることができないでいた。
「もう限界みたいだね。じゃあとどめの一撃いくよ!」
ユキはいったん槍を手元に引き寄せ力を込める。
力がこもると同時に槍の先端に歪なほどの冷気がまとわりつく。
イツキはその時をチャンスとしアイギスを展開させる。
「アイギスを展開させても意味ないと思うけどそれでも張るの?」
「私のアイギスに防げないものはない!そんな挑発に乗るわけない!」
イツキは全力を注ぎ込みアイギスを展開させた。
「ふふ、じゃあ防いで見せてよ!貫け!氷竜王の咢(ブリザード・ドラグ・ジョー)!」
勢いよく突き出される冷気を纏ったやり。
それをアイギスが受け止める。
しかし受け止めたアイギスに異変が生じた。
アイギスが凍り始めているのだ。
「え?」
イツキが素っ頓狂な声を上げてその場に膝をつく。
絶対無敵のアイギスが凍りついていく、その情景が信じられないのだ。
「私のアイギスが…凍ってる…?」
イツキの声からはもう戦意を感じ取ることができない。
そうしている間もどんどんとアイギスは凍りついていく。
「さぁ!貫いちゃって―!」
ユキがやりに力を込めて放ったところでアイギスの凍った部分が砕け散った。
そして障害物を無くした槍がイツキを貫く勢いで放たれた。
キンっ!と鈍い金属音を立て槍が止まる。
ユキは期待の眼差しでその先を見据えた。
そこにはキョウヤが地面に大剣を差し込み槍を防いでいるところだった。
「キョウヤ!やっと来てくれた…!」
「ユキ、お前の相手は今から俺だ!」