結末の行方
「はぁ!?引き分けってどういうこと!そんなの納得できない!!」
ウサギが怒りをあらわにし地団駄を踏んでいる。
その怒号は控室に反響し儚く消える。
まぁそれはしょうがないだろう。
事の発端は数分前に遡る。
ユキとの戦いを終えたキョウヤ達の前に現れた担任の玉木により引き分けを告げられた。
「残り人数で勝ちを決めるんでしょ?だったら残ってるのはどっちも二人じゃない。だから引き分け」
とのことらしいがどうやらウサギは白黒つけたかったらしくこの結果を聞いたときから不満を爆発させている。
「これで私に使える従順な下僕を作れると思ったのに…!」
時は今に戻りウサギは不穏な言葉を吐きながらキョウヤを睨んでいた。
「いや、下僕って…てか俺もこの後もずっと付き纏われるのか…?」
付き纏われることを考えるとキョウヤはとてもうんざりした気分になった。
毎日四六時中付き纏われるのであれば誰だってこう思うだろう。
「いや、別にいいや。だってさっきの戦いであんたの実力はハッキリしたし」
ウサギはあっさりとそう言った。
こんなあっけなく言われるとは思ってい無かったキョウヤはあっけにとられたように口を開けている。
「え?それホントか?」
「ほんとよ。ワタシが嘘つくわけないじゃない!」
そう言って胸を張るウサギ。
大きな二つの果実が揺れ強調されたがキョウヤはそれを気にする余裕はなかった。
付き纏われないというだけでもこんなにうれしい気持ちになるのかとキョウヤはとても不思議に思ったが愚問だと頭の片隅に寄せる。
「ありがとな!ウサギ」
「ふんっ!別にあんたの為にそんなこと言ったんじゃないんだから!ずっと付き纏っていたら私が疲れるからなんだから!」
頬を赤らめ早口にそうまくしたてる。
やけになって言うその姿がとてもかわいくキョウヤの中で何かのスイッチが入る音がした。
「あぁ、もうお前可愛いなぁ!可愛すぎるだろ!」
そう言ってウサギに抱きつくキョウヤ。
「な、何やってんの!?気持ち悪いから離れて!!」
ウサギは全力でキョウヤを引きはがすために努力してみるもその小さな容姿じゃキョウヤを引きはがすことはできなかった。
「はぁ~…ウサギの髪っていい匂いするなぁ」
「あぁ、もう!匂いなんてかがないでよ~!」
「いや、メッチャいい匂いだぞ、ウサギの髪!これをかぐなっていう方がおかしい」
「やん…ちょっとそこは…ダメダメ…キョウヤ、もうやめてよぉ~…」
ウサギは赤みをさした頬、大粒の涙をためた瞳でキョウヤを見上げながらそう言う。
キョウヤはそんなウサギを見てドキッとした。
普段の強気な感じとは違う弱々しい姿にギャップを感じたからだ。
もっとかわいい姿を見たい、もっといじってみたい…キョウヤの中でそんな欲望が渦巻く。
そしてその欲望はキョウヤ自信を飲み込みいけない方向へと向かわせる。
「ねぇキョウヤ、いる?ちょっと話があるんだけど…?」
突如として開いたドアの向こうからユキが姿を現す。
瞬間時が止まったように凍る現場。
キョウヤはとても間の抜けた顔で凍りつき、ウサギは半泣き状態でユキを見つめる。
ユキはというと肩をわなわなとふるわせ拳に力を込めて少しうつむいている。
「ユキ!助けてよぉ…キョウヤが、キョウヤが…」
ウサギはキョウヤに抱きつかれた格好のままユキに助けを求める。
瞬間ユキが顔を上げキョウヤを見据える。
その瞳が赤くきらめき獲物を狩る獣のように鋭く見えたのはキョウヤの気のせいではないだろう。
「キョウヤ!何してるのっ!?そんな小っちゃい娘に手を出すなんて…!この変態!ロリコン!街中で幼女襲って捕まってればいいんだ!」
ユキはキョウヤに怒涛の罵声を浴びせる。
キョウヤの心にその言葉たちは深く深く突き刺さり立ち直れないほどの傷を与える。
「ユキ!私は小っちゃくないよ!!てーせーを要求する」
「小っちゃいのは事実なんだから訂正する必要はないよ。それにウサギもウサギだよ!なんですぐにキョウヤから離れようとしないの!?」
「いや、だって…キョウヤがすごい力で抱き着いてきたし、それにやめてって言ってもやめてくれなかったし…」
それを聞いた瞬間鋭い視線がキョウヤに飛んでくる。
その視線はキョウヤを射抜くように鋭く強烈だった。
「い、いや…ホントゴメンな…こ、こんなことするつもりじゃ…」
キョウヤはしどろもどろになりながらも頭を下げる。
それで許されるとは思っていなかったがとりあえずは反省の色をいせておかないといけないと判断した。
「はぁ…もぅ、いいよ。どうせウサギだし」
ユキはやれやれというように首を振りあきれた声でそう言った。
「どうせウサギって!?私って何なの!?」
ウサギがツッコんできたが放っておこう。
「本当にいいのか?」
キョウヤはすがるような瞳をユキにぶつける。
「反省してるなら許すしかないじゃない。…でもね…こんなことはね、次からはね…わ、私だけにしてほしいなぁ…なんて…」
ユキが目を逸らしながら赤くなった顔でそう口ごもる。
「ん?なんていったんだ?最後の方は聞き取れなかったんだけど…」
「う、うるさい!べ、別に何にもないんだから!!」
ユキは真っ赤な顔でそう言ってくる。
キョウヤはその剣幕に押されとっさに謝ってしまう。
「あ、あぁ…なんかごめん…」
「はぁ…もぅ、キョウヤのバカ…」
ユキはため息をつき誰にも聞こえない声でそう言った。
「そういえばユキは何しに来たの?私を助けに…ってことじゃないよね?」
ウサギは場が一段落したと感じ取りユキにその質問を投げた。
「あぁ、そうだった。いろんなことがあって本題を見失うところだったよ。キョウヤ、あとで一人で屋上に来て、大事な話があるから」
「え?…まぁ、いいけど…」
「ありがと、それじゃあまた後でね」
そう言ってユキはドアに手をかける。
キョウヤの中では色々な疑問が渦巻いていたがまぁもう少ししたらわかるだろうと楽観的にとらえた。
「きゃんっ!」
ドアを開けたユキが妙な声を上げたのでキョウヤはドアの方を向く。
ドアの前ではユキが倒れてしゃがみ込んでいる。
その先にはちょうど部屋に入ってこようとしていたのであろうイツキが入りもちをついていた。
「イテテ…もう、気を付けてよユキ」
「えへへ、ゴメンね」
ユキの表情はここからでは後ろ向きなので見えないがたぶん可愛く舌を出していることだろう。
「おい、二人とも大丈夫か?…ん?」
倒れた二人に駆け寄るキョウヤだったがふとイツキを見たことによりキョウヤの動きが止まる。
その視線はイツキのある一転に集中されることになってしまったのだ。
そう、イツキは尻もちをついた体勢だ。当然そうなるとスカートが少しはだける。
簡単に言うとイツキのスカートからかわいらしいドット柄のパンツが覗いていたのである。
「ん?どうしたのセンパイ。そんなところで固まっちゃって」
イツキが不思議そうな顔をして尋ねてくる、もちろんしりもちをついたままの体勢で。
「い、いや…何でもない…」
キョウヤは冷静に答えたつもりだったがその視線の先にとらえた下着のせいで思考・感情を掻き乱され挙動不審に答えていた。
「ん?キョウヤ?本当に大丈夫…?」
心配したユキがキョウヤを見上げる。
ユキはキョウヤの視線の違和感に気付きその視線の先を辿る。
視線の先にあるモノを見つけてユキはまたも肩を震わせた。
「キョウヤ、ちょっと…」
ユキはふらっと立ち上がりキョウヤの方に振り向く。
そのオーラは明らかに黒みがかりところどころから殺意らしきものが滲み出している。
「え~と…あの、ユキさん…?お、俺は何も…」
「うるさい!このド変態!そんなにイツキのパンツに興奮するの!?」
やはりばれたか、キョウヤはそう思った。
キョウヤとしては見えてしまったのだから不可抗力だと言い張るつもりだったがユキのオーラがそれを許さなかった。
「キョウヤ…私だけじゃ飽き足らずイツキにまで…!?」
「おい、ウサギ。話をややこしくするなよ」
ウサギのバカな発言をキョウヤは冷静に斬りつける。
しかしそれで場が和むはずもなく余計に緊迫した空気が流れる。
「ほんと変態なんだから!もう!!」
その後数分間ユキの怒声が鳴りやむことはなかった。