終焉ペレストロイカ   作:如月ライト

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Another Story ver.マリナ・M・ヒメア「少女の本心」
約束の時


私、マリナはクロノス郊外にある公園でずっとたたずんでいた。

話は昨日に遡る。

 

「ねぇケント。明日はお休みだけど用事あるですか?」

学園では珍しい休みが出たので私はケントにそう話しかける。

「ん~…別に用事はないけど…どうした?」

私は内心そう聞いて喜んでいたがそれを悟られないようにしないと…。

(ケントはマリナが嬉しそうにしたらおかしくなるですから…)

そう、おかしくなる。

何度私がそれを体験してきたことか。

まぁ今はその話はどうでもいいですね。

「じゃ、じゃあ暇ってことでいいですか?」

「まぁ必然的にそうなるよな」

心の中でガッツポーズを決める私。

「マリナ様!?少し顔がにやけていますが大丈夫ですか!?」

(マリナとしたことが気持ちが顔に出てたみたいです)

私は嬉しすぎて喜びの感情が隠し切れなかったようだ。

「じゃあ…明日一緒にお出掛けするです!」

「おう、もちろんいいぜ!」

この男、私が勇気を出していったことにあっさりと答えた。

私の緊張を返してほしいものだ。

(まぁ何はどうあれ結果オーライです!)

「で、お出かけとはいってもどこに行くのか決めてるのか?」

私としたことが肝心なところを決めてなかった。

ケントと遊びにいければどこでもいいと自分では思っていた。

しかしケントは何か目的がないとあんまり遊びに行かない派の人だった。

私は思考を巡らせる。

どこかいい場所を探すために脳細胞がフル回転する。

「とりあえず公園ってことでいいです?」

それが私の出した答えだった。

「そんなところでいいのか?」

「これでいいのです!ケントは文句なくついてくるのです!」

そのあと少し話し込みケントと別れた。

 

これが昨日の話だ。

そして今に至る。

(ケント遅いです!何分待たせてると思ってるんです!)

私は怒りながら時計を見やる。

現在の時刻は9時30分。

私が到着したのは9時だから30分は待ったってことになる。

あまりにも遅いので連絡してみようかどうかを迷っている最中遠くから聞きなれた声がかけられる。

「す、すいませんマリナ様、遅くなりました!」

ケントが息を切らしながらこちらに走ってくる。

「遅いのです!今まで何やってたのです!?」

「マリナ様と一緒に食べるお弁当を作ってて…」

少し恥ずかしがりながらそう言うケント。

「そ、そんなことに時間を割かなくていいのです!ケントはマリナちゃんと一緒にいる時間だけ作ってればいいのです!」

私はそう言った後にしまったという顔をした。

今のケントを聞いて照れ隠しに言った言葉だったのにもっとすごいことを言ってしまったのだ。

「ま、マリナ様…。申し訳ありません!このダメなわたくしに罰を!さぁはやく!」

ケントのMのスイッチが入ってしまったようだ。

私の元にかしずき期待の眼差しを向ける。

いつもはそうされるといじめるのだが今日はそんなことをしている余裕はなかった。

「もうそんなことはどうでもいいです!早くお散歩するです」

「いや、私は罰を受けないと気がすみません…早く、早くわたくしに罰を…!」

今日のケントは一味違っていた。

いつもならすぐに引き下がるところだがやけに喰いつきがいい。

「今日は罰をしないです!だから早くくるです!」

「あぁ、マリナ様、待ってください!」

私は少し呆れながらすたすたと歩を進める。

ケントがそれに続くように慌てて私の傍へ駆け寄ってくる。

 

「マリナ様、どうしたんですか?いつもと少し違いますよ?」

「何でもないって言ってるですよ!」

既に10分は経過したであろう二人きりの散歩。

しかしケントはさっきからそう言う事しか言わないのだ。

(もっと別の話をしてほしいのに…)

私は内心そう思っていた。

しかし私自身変える話題が思いつかない。

「ねぇマリナ様ってば!」

そうだ、この話題があった。

私が最近すごく気になりだしたこと。

それがこの話題からそれる唯一の私ができること。

「ねぇケント…」

「ん?なんですマリナ様?」

「そのマリナ様っていうのやめてほしいです。マリナの事はちゃんとマリナって呼んでほしいです…」

いざ言ってみるとこれがなかなか勇気が必要な事だった。

私は途中から下を向くことしかできなかった。

「え!?なんでですか!?」

ケントは意味が分からないといった感じでそう尋ねる。

全く乙女心というものが分かっていない奴だった。

「その感じは嫌いじゃないです、でもやっぱりちゃんとマリナって呼んでほしいのです…」

ケントは一瞬考える素振りを見せた後口を開いた。

「マリナ…」

私は一瞬で顔が熱くなるのが分かった。

改めてそう言われるととても恥ずかしかったのだ。

「なんですケント?」

私は別に応えなくてもいいとわかっていたがそう言った。

何か別の事をしないと恥ずかしさで押しつぶされそうになったからだ。

「マリナ…マリナ…!」

ケントは確認するようにそう呼び続けている。

その顔は心なしか少し赤くなっている気がした。

 

さっきの出来事から約20分後。

ケントは私のことをマリナと呼んでくれるようになったがたまにマリナ様と言ってしまう。

その度私はちゃんとマリナというです!という流れを幾度となく繰り返した。

しかしいつまでたっても言われ慣れないものだ。

マリナと呼ばれるたびに胸がドキドキするのだ。

私は平静を装っていると自分では思っているがはたから見ればかくせているかどうかは微妙な所だ。

顔がにやけているかもしれない、落ち着きなくそわそわしているのかもしれない。

ケントはもう慣れたのか最初のような反応はもう見せなくなっていた。

それが慣れで見せなくなったのか、もしくは私と同じで隠し通しているのかそれはわからなかった。

ただもう私のことをマリナと呼ぶのには少なくとも抵抗はなくなっているはずだ。

「なぁマリナ、あそこにいるのって…」

私の思考はそこで一時中断される。

ケントが指をさした方向を見るとそこにはガタイがいい金髪の見知った少年、ユラがいたのだ。

「あれはユラですね、ユラがこんなところにいるなんて珍しいです」

ユラは基本ナイト以外とはあまり親しくない、それに教室ではずっと寝ている奴だ。

こんな公園には場違いな存在。

そしてそんな場違いを強調する要素がもう一つ。

慌てているのだ。

いや、正確に言えば必死で何かを探しているというところだ。

あんなに必死に何かをしているユラというのを私は初めて見た。

多分クラスの誰もそんな姿を見たことが無いはずだ。

「まぁマリナ達には関係ないです、いくですよケント」

そう、今日はユラにかまっている時間はないのだ。

大切なことがあるからだ。

そう言ったマリナはケントの方を見て固まる。

ケントがさっきまで居た場所にケントはいなかったのだ。

私は前方に目をやる。

そこにはユラと話しているケントの姿が目に入る。

(マリナをおいてユラと話すなんて…!また後でお仕置きです!)

マリナはあふれ出る怒りを抑えてケントに近づく。

「どうしたです?」

「なんか人を探してるらしいぞ」

ユラが人捜し…。

私は笑いをこらえるので精いっぱいだった。

「なぁマリナ、手伝ってやろうぜ」

「なんでそんなことするです!?」

私としてはそんなことをされてはたまったものじゃなかった。

この後の予定を立てていたのにそれが台無しになるではないか。

「なぁいいだろ?それにクラスの奴が困ってるのに俺たちだけ遊んでるっていうのもさ」

ケントの言葉は一理あった。

しかしそれでも予定を崩されるのは厄介だった。

「なぁマリナお願いだ。本当に頼む!」

そう言ってケントは頭を下げる。

そこには誠心誠意意思がこもっていた。

「はぁ…分かったです、ケントがそこまで言うなら手伝ってやるです」

「ありがとな、マリナ!」

ケントは顔を上げて私に笑みを向ける。

この笑顔を見れただけで収穫としようかと私は思った。

「で、そう言うことだユラ。俺たちにも手伝わせてくれ」

ユラは一瞬考える素振りを見せたがすぐに了承した。

あの人づきあいが出来ていないユラでも今は人に頼らないといけないとわかったのだろう。

「そう言えばだれを探すか教えてほしいです、それがないと探せないですよ?」

私がそう言うとユラはポケットから一枚の写真を取り出した。

私とケントはその写真に目を向ける。

そこに移っていたのは何と幼女だった。

可愛げのある大きな瞳が特徴だった。

「おいユラ…お前…」

ケントはそれを見て驚愕に声を震わせユラにそう言った。

まぁ普通の反応はそうだろう。

あのユラが幼女を必死で探しているのだから。

「勘違いするな、これは俺の妹だ」

ユラの口から衝撃の一言が発せられる。

ユラの妹がこんなに可愛いわけがない!

多分ケントも同じことを考えていたのだろう。

「言っておくが義理だからな」

それを聞いてとても納得した。

(そうですよ、こんな可愛い娘がユラの実の妹なんて…)

「じゃあ探すとするです!」

「そうだな、俺は他に手のあいてる奴に連絡入れて手伝ってもらえるかきくからマリナはそこで待っててくれよ」

人手は多い方がいいと判断したのだろうだ私にとってはそれはすごく嫌な事だった。

(そんなことしたらケントと二人きりでいる時間が…)

私はそんなことを想いながらケントを止めることも出来ず虚しく立ちすくむしかなかった。

 

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