終焉ペレストロイカ   作:如月ライト

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作戦会議

「大丈夫かツクヨミ?」

私は部屋に入るなりそう声をかけられた。

どこか威厳のある女性の声だ。

その声は部屋のわきに備えられている大型のモニターから発せられる。

(今回の話は特別作戦なのかぁ…)

特別作戦。

それはこのクラスにのみ伝達される任務だ。

もちろん部外秘である。

そしてそれが行われる前は必ずと言っていいほどこの部屋に集められこの女性の声、つまり上官のブリーフィングタイムが設けられるのだ。

「大丈夫ですよ」

私は軽く返事をして空いている席に座った。

底から軽く見渡すもお兄ちゃんの姿はなかった。

(もうお兄ちゃん、どこ行ってるの!?)

こんな会議まで用意されて私の当初の目的は完全に水泡に帰した。

私は肩を落として画面をにらむ。

もちろんこの会議に非はない、しかしタイミングが悪かった。

(もぅなんで今日はこんなに運が悪いのぉ!?)

私は今日の行動を振り返ってみる。

朝は髪がうまく結べなかった、それに朝ごはんもあんまりおいしく作れなかった。

それに勉強にも集中が出来なかったしお兄ちゃんはいないしお兄ちゃんはいないし…!

(ホント最悪だよぉ)

「おいツクヨミ、聞いてるのか?」

上官からそんな声がかかり私は妄想から帰ってくる。

どうやら何度も名前を呼ばれていたが私はそのあいだ呆けていたらしい。

「え~と…なんでしょうか?」

私は恐る恐るそう尋ねてみる。

この人を怒らせると相当面倒だ。

それはウサギが過去に身を持って体験している、まぁ今はそんなことどうでもいいか。

「今から今回の作戦の概要を説明したいんだがアケボシはいないのか?お前仲がいいから知ってるんじゃないか?」

「いいえ、知らないです。でも部屋に書置きを残したのでそれを見れば多分来てくれますよ」

そう、私はお兄ちゃんの部屋から出てくるときにメモを残しておいたのだ。

私がそれを言ったタイミングと同時、作戦室の扉が開かれお兄ちゃんが入ってくる。

「はぁはぁ…遅れてすいません…ちょっと買い物に出かけてたら遅れてしまって」

お兄ちゃんは申し訳なさそうにそう謝り私の隣に座る。

「置手紙、ありがとな?」

「え?」

お兄ちゃんは座るなり私に小声でそうささやいてきた。

それにしてもなぜお兄ちゃんはあの手紙が私のだとわかったのだろうか。

あの時は急いでいて自分の名前を書き忘れていたのだ。

だからお兄ちゃんはアレが誰が書いたかはわからないはずである。

「筆圧、あれ確実にオマエのだろ?伊達にお前の兄貴(仮)をやってないぜ」

「ふふ、お兄ちゃんったら…そうだよ、あれは私が書いたんだよ」

私は頬を緩めて笑う。

(やっぱりお兄ちゃんといると落ち着くなぁ…)

「それはそうとさ、俺のワイシャツ知らない?確かベッドの上に置いておいたんだけど…」

「い、いや…知らないよ…?」

あの話題が出て私はびくりと肩を震わせる。

(うぅお兄ちゃん、やっぱりわかったんだ、私がワイシャツ持っていったこと)

仕方がないのであのワイシャツは私が預かることにしたのだ。

(べっ、別に変な事に使うとかそういう事じゃないんだからねっ!?)

頭の中でそう反復する。

そうしないとやましい自分の心に潰されかねないからだ。

「そうか、ユキも知らないか…う~ん、俺が置いた場所間違えてたのかな…?」

「そ、そう言えばさ、お兄ちゃんは何買いに行ってたの?」

私は思いっきりたじろぎながら話題を変える。

これ以上詮索されるとばれかねないと思ったからだ。

「あ、あぁ。今日の晩御飯のカレーの材料を買いにな」

「カレー!?ねぇお兄ちゃん、今日一緒に晩御飯食べていい?」

「うん、いいぞ。そうか、ユキはカレーが好きなのか」

「うん!」

まぁ理由はそれだけではなかったのだがあえて口にしないでいた。

(お兄ちゃんの作ったものなら何でも好きなんて言えないよね…)

「そういやさっきからずっともぞもぞしてるけどどうしたんだ?」

お兄ちゃんが私にそう言い私は改めて自分の態度を確認した。

どうやら無意識に疼いていたようだ。

まぁそれは仕方のないことだろう。

さっきまで大好きなお兄ちゃんのワイシャツをいじっていたのだから。

それに中途半端な快楽で快楽の波がなかなか引いていないのだ。

(むぅ…これはお兄ちゃんのせいなんだから…!でもこんな恥ずかしいこと言えないよぉ…)

「べ、別に大丈夫だって…それにお兄ちゃんには関係ないじゃん」

「ん?その言い方だと俺に関係することなのかな?」

(!?…お兄ちゃんのくせに私の考えをよむなんて…)

「何を隠してるんだ?俺に聞かせろよ?」

お兄ちゃんが意地悪モードに入ったのが分かった。

たまにお兄ちゃんはからかう度が過ぎるのだ。

こうなったら誰も止められない。

(お兄ちゃん、その目はホントにヤバいよぉ~。でも絶対にお兄ちゃんには言えない!)

「なぁなぁ?誰にも言わないからさ、教えてくれよぉ」

「うぅ…!…もうお兄ちゃんのバカ!」

私は声を荒げてお兄ちゃんの頬を打った。

 

そして全員そろった作戦室で特別作戦のブリーフィングが始まる。

何でも今回の作戦は完全隠密だという事らしい。

銀の国の近くの廃工場が何やら動いているらしいのだ。

廃工場をもう一度動かすなんてことは銀の国ではめったにしない。

そう言うことで私たちに偵察兼破壊の任務を下したのだ。

「今回は偵察任務だ、なのでメンバーは少ない方がいい。今から呼ぶやつはここに残りあとは解散だ」

まずはリーダーにユラ、そしてリーダー補佐にナイト、サクヤが選ばれる。

まぁこの3人がメンバーになるのは当然だろう。

数々の戦いを制してなお生き残っている強者、このクラスのエース的存在だからだ。

その次にヨウ、ミン、レイが選ばれる。

この3人は実戦での戦闘経験が高い。

あらゆる状況に対処できるほどのテクニックの持ち主だ。

「今回の作戦は新人3人も連れていく。今回の作戦で戦場っていうモノを理解しろ」

新人は必ず初めての作戦に駆り出される。

これはこのクラスのきまりでもあった。

「アケボシ、ヤマイには期待しているぞ。普段の実力を出し切れ。フタボシ、お前の実力は未知数だ、私達にその実力を見せてくれ」

選ばれたお兄ちゃん、ケント、イツキは真剣な面持ちになり画面を見据える。

イツキは常にキラに戦闘を変わってもらっていたので今回は新人扱いとしてこの作戦に参加させるらしい。

「メンバーは以上だ。では解散」

(え?これだけ?ちょっと待ってよ!)

「なんでこれだけなんですか!?私も参加します!」

私は声を荒げて画面に向かって叫んだ。

「残ったメンバーにはいざという時に出撃してもらう。いざという時に強い奴がいなかったら困るだろ?」

「そ、それはそうですが…」

「これ以上反論はないな?では、解散しろ」

私は反論することが出来なかった。

こういわれては打つ手なしである。

それに私のわがままで迷惑をかけるのも嫌だったからだ。

「じゃあお兄ちゃん、ワタシ先に帰っておくね」

「おう、じゃあまた7時に俺の部屋に来いよ。カレー食わせてやるから」

私はそれをききさっきまでの気持ちを改めうきうきした気持ちで部屋を飛び出した。

 

それから7時になりお兄ちゃんの部屋に行けば他にもクラスのメンバーがいたことは言わなくてもわかるだろう。

(ほんっとお兄ちゃんはお人好しすぎるんだから…!)

 

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