俺はその事実をきいた瞬間体の奥から未知の力が溢れだしてくるのが分かった。
その原因は俺にも本当の家族がいたとわかったからなのか、本当にユキが俺の妹だっただからなのか、もしくはそれ以外なのかわからなかった。
しかしこれだけは言えることがあった。
「必ず帰ってユキに再開するんだ!キョウヤとしてではなく兄として、家族として…」
言葉にするとそれだけでも実感がわいた。
あいつに会うためなら何でもできると思った。
「ありがとなヒカリ。お前のおかげだよ」
「へへへ、ヒカリお兄ちゃんの役に立っちゃった!」
俺はイリヤの方へと視線を向けた。
「お前が俺の妹だと言い張るのは構わない、でもな俺の本当の妹はユキだけだ!あいつに会うためにお前にはここで消えてもらうぞ!」
「何わけのわからないことをおっしゃってるんですの、お兄様?第一ユキって誰のことですの?」
「俺の大事な家族だ!」
俺はそう言うとその手に握りしめてあった剣をもう一度深く握りこみ駆け出した。
そしてその刃を少女に向けて振るう。
金属がぶつかる鈍い音が響く。
俺の攻撃を巧みにその鎖で塞いでいるようだ。
「お兄様がそう言う態度なら仕方ありませんわ。私も本気を出させてもらいますわよ」
イリヤは手に持っていた鎖を投げ捨て何もない空間から深紅の剣を取り出す。
「その能力が使えるのはお兄様だけじゃありませんの!」
そう言ってイリヤはその剣を振るう。
そこからは必死の攻防戦だった。
俺が剣を振るえばイリヤが受け止め、イリヤが振るえば俺が受ける。
その堂々巡りでお互い体力を消耗しあっていた。
「さすがお兄様ですの…記憶を無くしてもお強くいらっしゃる…ですがわたくしのこの一撃を受け止められますか!?」
イリヤの周りに漆黒の闇が集まる。
多分これがイリヤの本気の攻撃なんだろう。
「さぁお兄様!私の愛を受け取って!」
「そこまでよ、イリヤ」
その瞬間サクヤが魔法銃片手にイリヤの元へと詰め寄った。
「サクヤ!?」
「キョウヤ、あなただけに頼るわけにはいかない。ワタシは私なりの方法で戦わせてもらうよ!」
イリヤは舌打ちをして冷ややかな視線をサクヤに送るがサクヤは一歩も引こうとしなかった。
「援軍を呼んだわ。もうすぐこの場に来てくれるはずよ。いくらあなたでもオシリスの精鋭である私達には勝てっこないわよ。だから逃げるなら今のうちよ」
サクヤの言葉通り向こうから援軍がやってくる気配が見て取れた。
さすがのイリヤでもこの数を相手にすることはできないだろう。
「ちっ!今日の所は逃げといてやりますわ。ですが次の機会はのがしませんわよ!必ず近いうちに逢いに行きますわ、お兄様」
イリヤはそう言って踵を返すと闇の中へと消えていった。
「おーいお前ら!無事か!?」
ちょうど援軍が到着した。
その中にはナイトやユラ達もいた。
「いや、ケントが…」
俺は悔しさに唇を噛みしめた。
「早くクロノスへ連れて帰れ!援軍のみんなに連れて帰ってもらえ」
「援軍と一緒に…?それにお前らは?」
俺はナイトたちにその疑問をぶつけた。
「俺達はこのまま元の任務を全うする。幸いこの場にいる奴らのダメージは少ないようだからな」
「なるほどな。じゃあ俺も用意を整えないと…」
俺が用意をしようとするとサクヤが止めに入った。
「キョウヤ、あなたはいったん帰った方がいいわ。精神的に疲れ切ってるはずよ。それにあの子にもあっておいた方がいいわ」
サクヤが言っているあの事は多分ユキの事だろう。
「でも…」
「これは委員長命令なんだからっ!あなたは帰って休みなさい!」
「はい、じゃあ・・・ご武運を…」
俺はそう言ってサクヤ達と別れてクロノスへと帰還した。
この戦いでは様々なことがあったことを俺は思い出していた。
しかし一番印象的だったあの事だけが油断していると頭を占めてしまった。
「ユキ…俺の本当の妹…」
私はお兄ちゃんの帰りをひたすら待った。
「早く帰ってこないかな…私の本当のお兄ちゃん…」
それで帰ってきたら絶対に言うんだ、私がずっと心に溜めていたモノを…。