死神の御出まし
俺こと焔ナイトはユラとデンシと共にあいつらを見送る。
事の発端は…まぁ言わないでもわかるだろう。
今はユラが魔方陣の解析を完了するのを待っている。
「なぁ?こっちにスゲェ強い殺意みたいなのが向いてるんだけどさ、俺の気のせいかな?」
俺はさっきから待っている間ずっと誰かに見られている気がしていた。
もしかするとてきかもしれないとさっきから緊張の糸をぴんと張っていた。
「あぁ、俺も感じるぞ、ナイト。多分すぐそこにいるんだろうな」
「いるって何がですか?」
デンシが不安げな顔でそう尋ねてくる。
「あいつがいるんだよ…最悪で最強の死神様がな…」
俺は顔を歪めてそう言った。
多分傍目から見れば俺の顔は相当ひどいものに映っただろう。
それもそうだ。
そいつには俺の仲間が何人も殺されているからだ。
「おい、ユラ!解析はもう終わるか!?」
「もうちょっと待て。こいつ、前より格段と構造が複雑化してやがる…」
ユラは苦虫をかみつぶしたような顔をし舌打ちをする。
「おい、デンシ…お前はユラの解析が終わったら速攻で魔方陣を壊せ。そしてあの森の中に逃げ込め、お前はこれからの戦いに交じっちゃいけない」
デンシは大きくうなずき魔方陣を即座に破壊できるようにとユラの元へと駆け寄る。
俺はそれを見届けた後大げさな身振り手振りを加えながら叫ぶ。
「おい!いるのはわかってるんだぞ、いつまでも隠れてるってのはフェアじゃねぇな!」
俺はどこかに潜んでいる相手に声をかける。
ジャリッ…
その瞬間どこかで誰かが動いた。
俺はそれを逃すまいと耳を澄ます。
「そこかっ!ファイアボール!」
俺は音のする方向へと炎の魔法を撃ちこむ。
それは順調に標的の方へと向かっていき爆ぜる。
「ククッ…この程度か、ナイトは?」
その玉は着弾して爆ぜたのではなく標的の攻撃によって爆ぜたのだった。
「へっ…これくらいじゃあんたを倒せるとは思ってなかったけどな、アイン!」
「よう、久しぶりだなナイトにユラ。元気にしてたか?」
アインはそう言いながらユラリとこちらへと歩を進めてくる。
アイン・ベルグ、それが彼の名前だ。
漆黒のマントを身に纏い女のように長い白い髪を持ち赤い瞳、そしてその手には鎌が握られてい、まるで死神を思わせる容姿の男だ。
黒の国に属している最強最悪の存在だ。
「うるせぇな…テメェにそんなことを話す気はねぇよ…!」
俺は怒りをあらわにしアインに喰いかかる。
「おぉ怖い怖い。おや、ユラはそこで何をしているのかな?まるで動物園の猿みたいだな」
アインはユラを指差し笑った。
その笑みはあまりにも人間離れして歪んだものだった。
「ちっ…誰のせいだと思ってんだよ…」
ユラは思いっきり顔をしかめてそう言った。
しかしその手はひたすらに魔方陣の解析を行っている。
「はぁ…俺はこうも歓迎されてないとはな…悲しいぜ旧友」
「誰がお前と旧友なんだよ!」
俺は怒りをあらわにした。
今までのが嘘のような怒りをだ。
「忘れちまったのか?思い出してくれよ、俺たちで笑いあった日々をさ…!」
「うるせぇっつってんだろ!」
大袈裟な身振りをして訴えかけてくるアインに俺は腰に据えていた剣を引き抜き思いっきり斬りかかった。