少し昔の話をしよう。
俺達が学園で出会ったところからかな。
俺達というのは俺ことナイト、ユラ、そしてアインのことだ。
俺たち3人は学園でも類を見ない実力の持ち主だった。
そして俺たちが出る戦いは一度も負けなし、それも死傷者0でだ。
学園の奴らは俺たちのことを無敵の3人組なんて変な呼び方をつけてたっけ。
俺たち3人は様々は戦いを繰り広げていき功績を手に入れ富も築いていった。
卒業すれば確実に騎士団に高い地位で入団することを約束されていた。
でも俺たちはそんなことを気にすることはなくひたすらに戦場に出て敵を倒していった。
しかしある時事件が起こった。
「え?黒の国が攻め入ってくる?」
俺たちの前にそんな依頼が舞い込んできた。
黒の国が大軍をひきつれこちらへと攻め入ってくるというものだった。
俺達はそれを食い止めろってことだった。
もちろんこの3人だけではなくほかの精鋭の騎士たちも参加する。
「もちろん参加しますよ!」
ここで俺は選択を誤ったのかもしれないな、いや、それ以前にもう選択を誤っていたのかもしれない。
この一言が後の俺たちの命取りになった。
「くっ…ヤベェな、こりゃ…相当な数だぞ?」
戦場に立ち戦闘を繰り返しているうちに俺は気付いたのだ。
全く敵の数が減らないことに。
多分捨て駒戦法だろう。
前衛に捨て駒となる雑魚を敷き詰めておき相手が疲弊したところに本命の騎士などが攻めてくるという戦法だ。
しかしこの戦法には多数の穴がある。
一つは捨て駒となる雑魚を統一するだけの指揮者がいることだ。
これだけの数を統一した目標を狙わせるというのは相当難しいことだ。
そしてもう一つは本命の投下タイミングだ。
雑魚がやられたからって言って相手が疲弊しているとは限らない、選択をミスればその本命さえ軽く倒されてしまう。
そのほかにも欠点があるがあげていけばきりがない。
それほどまでにこの戦法は成功難易度が高いのだ。
「はぁはぁ…これだけ倒してもまだ増えるのか…?」
もうこちらの体力は0に近かった。
疲弊しきって敵に殺されるものも数名出てきた。
これ以上の戦闘は得策ではなかった。
「おい、撤退だ!一度体勢を立て直し援軍とともに討つぞ!」
俺はそう叫び部隊を撤退させる。
部隊は蜘蛛の子を散らす勢いで交代する。
しかし俺はそこで一つの違和感に気付いた。
敵がおってこないのだ。
普通ならば敵が逃げるのならばそれを迫撃するのが筋ってものだ。
しかし全く何もしてこない、それどころかその地点でずっととどまっている。
まるで何かのタイミングを待っているように。
「う、うわぁぁ!?」
俺がそんな思考を巡らせている中俺の前方にいた兵士が突然声を上げた。
「うっ…なんだこれ…!?あ、熱い…!」
その方向を見るとその兵士は体に炎がまとわりつきじわじわと燃やされているところだった。
それだけではなかった、ほかの兵士も同じように炎がまとわりついていたのだ。
「な!?これは…」
俺は隣にいたユラと顔を見合わせる。
多分ユラも俺と同じことに気が付いたのだろう。
「あぁ、間違いない…アインのモノだ…」
パチパチパチ
その瞬間後ろから拍手の音が聞こえてくる。
「ご名答だね、二人とも」
アインはいつも通りの笑みを向けて俺たちを見る。
しかしその笑みもつかの間突如顔を歪めて両手を上に振り上げる。
「燃え死ね!」
その瞬間兵士たちを包んでいた炎が大きなものとなり跡形もなくそれを消し去る。
「はは、どうだい?俺のこの綺麗なステージは?」
「お前…何してるんだよ…?仲間殺してどうしちゃったんだよ…?」
俺は震える声でアインにそう言った。
心の中ではもう答など出ているはずだった、こいつは敵だと。
しかしこいつの口からきかない限りは俺は信じたくなかった。
「仲間?こいつらがか?はは!そりゃユカイだ!今まで俺の仲間ごっこに付き合わされてさ!こいつらは敵だよ、俺にとってはね…」
アインはそのセリフを言い終えるや否や即座に後ろを振り向き雑魚の群れに命令をする。
「お前ら、こいつらもう殺しちゃえよ」
そう言ったアインの声はとても冷酷なモノだった。
俺達はそれからどうなったのか覚えていない。
敵を全て片づけたのか命からがら逃げだしたのか、真相は闇のなかだ。
ただ一つ分かっていることはアインが裏切ったってことだけだった。
いや、あいつは元からあっち側の軍勢だったのかもしれない。
その後も戦場でたまにアイツを見つけることがある。
その度に勝負を挑み挑まれそして俺たちが負ける。
その繰り返しだった。
しかしそれも今日で終わり、ここでピリオドを打つ!