ウサギの想い
「ん…もう朝か…」
俺は寝ぼけ眼をこすりながら上体をおこした。
やけに朝日が眩しく感じた。
「こんなすがすがしい朝なんて初めてだな」
俺は感傷に浸りながらそうつぶやく。
一度大きな伸びをし気を緩めるとふと昨晩のことが脳裏をかすめた。
「俺…実の妹から告られてそれに応えて…キスまで…」
そう考えた瞬間顔が火を噴いたのが分かった。
勢いだったとはいえ実の妹にあんなことをしたのに気恥ずかしさを感じないと言えば嘘になる。
「あぁもう!俺ったら何してんだよ!?相当キザなセリフはいてさ…」
そこで俺は考えを止めた。
いつまでもこうネガティブにならずに今を楽しもうと思った。
その時急に部屋の中にノックの音が響く。
そいつは俺の返事も待たずにドアを開け部屋に入り俺の顔を見るなりすごい勢いで言葉を浴びせた。
「ちょっとキョウヤ!前々からシスコンだとはおもってたけど本当に手を出しちゃダメでしょ!?それになんでユキなの!ここにはこんなにもぷりてぃーできゅーとでらぶりーなウサギちゃんがいるのに!」
俺はさっきまでの空気はどこへやら一転してうんざりした調子でそいつに文句を言った。
「あのなぁ…俺の朝を壊してくれてるんじゃねぇよ!それにあと自分でプリティーだのなんだの言うな。お前はロリウサギで十分だって」
そいつ、ロリウサギことウサギは頬を膨らませてそっぽを向きながらも反論を続ける。
「ロリいうな!ウサギちゃんはおっぱいばいんばいんなんだぞ!」
ウサギはその巨大な胸を見せつけてくるも俺はそれにまったくの興味も示さずに適当にあしらう。
ウサギは俺のその動作にカチンときたらしく少しむっとした表情をつくるもすぐに俺の方へ向き直り真剣な声音を発した。
「ねぇ、何でユキにしたの?なんでユキとキスまでするの?…ワタシの思いも知らないで…」
俺はウサギの最後のセリフを聞き取れなかったがしかしそれ以外の言葉にはこう答えた。
「人が人を好きになるのって理由がいるか?例え実の妹だとしても俺はアイツが好きだからそれに応えたんだ」
俺はそれを言った途端急に恥ずかしくなりたぶん赤面もしていただろう。
「へぇ…そう…なら私も、私なりの思いを伝えるよ…」
ウサギは唇をきゅっと固く結びこちらに少し近づく。
「ねぇ…こっち見てよ、キョウヤ…」
俺はそう言われて素直にウサギの方を向く。
刹那俺の呼吸が止まる。
口に押し当てられた甘くやわらかく温かなモノによって。
「んっ…」
俺の目前には頬を赤く染めたいつもとは違うウサギの顔。
俺には何が起こっているかわからなかった。
頭が判断に追いつかなかった。
「ぷはっ…私ね、キョウヤが大好きなんだよ…」
それを聞いたとき今までのことが理解できた。
ウサギが俺にキスをした、ただそれだけだった。
いや、それだけだったですませるのはよくないな。
だって俺の鼓動はこんなにも高まっているのだから。
「えへへ…キョウヤの唇、固そうってイメージだったけど柔らかくって甘くって…くせになりそう」
そこには無邪気ながらも少し妖艶に微笑むいつもとは違うウサギの姿があった。
「ウサギ…俺は、その…」
言葉を発そうとする俺の口をウサギは人差し指を添えて静止させる。
「何も言わないで…答えなんていらないから…もう、わかってるから…だからユキのこと、私の分まで愛してあげて…」
そう言ってウサギは俺に背を向けその場を去った。
その背はとても寂しげに見えた。
「そういやアイツ、俺がユキとキスしたこととか何で知ってたんだ?」
少し落ち着いた頭が出したのはそんなことだった。