出撃前
「はぁ…いくら人手が足りないって言ってもこりゃないぜ…」
ケントはため息交じりに肩をすくめた。
現在は国境付近の小さな町、その門の前に小さな人だかりができていた。
傍目から見ればざっと40人くらい、その全員が武装をしていた。
その場にいるものはまだ20にも満たない学生たちだ。
これから始まる戦いに怯えただ祈るモノ、まるで仇でも見るかのような目つきで門の外を睨むもの、様々な思いで満ちていた。
だがその中でも全く余裕な表情を見せているものが数名。
彼らはオシリス誇る軍事学校・クロノスの生徒、その中でも特殊なクラス・ストレンジナイフのメンバーだ。
彼らは余裕な表情を見せているもののその瞳には明らかに強い意志がこもっていた。
「不満をぶつぶつ言ってもしょーがねぇですよ、ケント」
「そうだよ、いつもどーりやればだいじょーぶ!」
このクラスで1,2を争うちびっ娘、マリナとウサギがケントの元へとトテトテとやってくる。
「しょうがないのはわかってるけどさやっぱりこの人数はな…あ、あとウサギ、俺まだこれで出撃2回目だぜ?いつもどおりも何もないっての」
ケントはそう言ったのちウサギの頭をわしゃわしゃと撫でる。
「でもウサギはえらいなぁ。俺を元気づけるために言ってくれたんだろ?いやぁ嬉しいなぁ」
ニヤニヤしながら撫でるのをやめないケント。
「あぁもう!なでなでするなぁ!髪が乱れる!このバカケントぉ!」
ケントのなでなでから逃れようと必死でじたばたするウサギだがその小さな腕と身体じゃ全く抵抗することができず。
「ははは、可愛いぞウサギ!じたばたするたびにおっぱいがばいんばいんするのもたまらないぞ!」
ケントはさらに手の動きを速める。
同時に顔も余計ニヤける。
「うぅ~!おっぱい見るなぁ!このヘンタイ!」
ウサギはさらにじたばたともがくがそれも全くの無駄に終わる。
ウサギの今の行動はその大きな胸をたゆんたゆんと揺らしているだけだった。
「ウサギってホントここだけは大人だよなぁ。ほら、そんなに揺れてるんだったら俺が固定してやるよ」
「けーんーとぉ―!」
ケントは背中に感じた殺気にびくりと肩を震わせる。
恐る恐る振り向くと鬼のような形相でケントを睨みつけるマリナの姿があった。
「マリナという可愛い彼女がいながら浮気なんていい度胸してるです、ケント。たっぷりお仕置きが必要みたいですね」
ケントは恐怖に体を震わせるもその瞳の奥は期待の色でいっぱいだった。
「ま、マリナ様…早く!早くこの浮気者のケントを!マリナ様しか愛せなくなるぐらいに調教してください!」
するとマリナはどこに隠し持っていたのかムチを取り出しケントの身体に振り下ろし始める。
「自分からおねだりするなんて相当ヘンタイです!でもマリナちゃんはそう言うの嫌いじゃないですよぉ。ほら、ケント!もっとなくです!」
「あ、あぁ!マリナ様!イ、いい!もっと!もっとケントを叩いてください!」
マリナからのムチ打ちを食らい無様に叫ぶケント。
「ふふ、マリナちゃんみたいな小っちゃい娘にこんなことされちゃって気持ち良くなってケント恥ずかしくないですか?気持ち悪すぎです、死んじゃえばいいのです」
「ま、マリナ様!もっと罵ってください!もっと痛めつけてください!」
ケントたちが盛り上がっている中さっきまでいじられていたウサギはどうすることも出来ずただそれを眺めるしかできなかった。
「ほら、ウサギもケントをいじめるですよ。大丈夫です、今のケントは何をされても気持ち良くなるだけです」
「本気でやっちゃっていいんだよね…?」
ウサギは一瞬ためらいの表情を見せたがすぐにケントを見下ろす体制を取り脇腹に足を落とす。
「ケントぉ、どうかなぁ?ウサギみたいな小っちゃい娘に足で踏みつけられる感じは?」
ケントはさらに恍惚な笑みを浮かべてそれを受け止める。
「あ、あぁ!う、ウサギが侮蔑の眼差しで俺を踏んでる…!も、もっとふんで!」
「ふふ、変態、もっとふんであげるからウサギちゃんのことをありがたく思いなさい!」
「案外ウサギってすじがいいです。ほら、ケント!マリナのお仕置きはまだ終わってないですよ!」
「は、はいぃ!もっと!もっとケントをいじめてくださいぃ!」
「ねぇ、センパイ、あれ止めなくてもいいの?」
遠目からケントたちを見ていたキョウヤにキラは心配そうに声をかける。
「キラは心配性だなぁ。あいつらはアレが普通だからなぁ…」
キョウヤは苦笑交じりにそう言ってみせた。
結局その後出撃する時までケントたちは騒ぎ続けていた。