いまだにユキの唇の感触が残っている唇をふにふにと触りながら俺はクロノスの寮へと帰ってくる。
「あ、お帰りセンパイ!」
「おお、キラか。…ん?忙しそうだけどどうした?」
キラはせっせと寮の壁にモールをかけているようだった。
「これ?今からクリスマスパーティーするんだけど用意に手間取っちゃってて…イツキも一緒に用意してるんだけどさ、センパイもどうですか?」
キラはそう言うと俺にクリスマスグッズの入った箱を手渡してくる。
「え?いや、俺は…」
「センパイもど・う・で・す・か?」
キラの有無を言わさぬ迫力に押されて俺はしぶしぶとその箱を受け取る。
「これひと箱だけだからな!」
「うん、ありがとうセンパイ!やっぱセンパイ頼りになるぅ!」
なんだか最近後輩からの俺への扱いが不当な気がするのだが…気のせいということにしておこう。
(まぁこれはいい気分転換になる…かな?)
俺は箱を抱きかかえて指定されたポイントまで移動した。
「あれ?キョウヤ?どうしたのかな?もしかしてサクヤさんの美貌につられて…って、あぁその箱、キラに頼まれたんだね」
そこには委員長のサクヤが脚立の上で装飾をしている姿があった。
「まぁそうだな…サクヤも手伝いか?」
「ん~、まぁそういうとこかな」
「お互い大変ですね」
俺は苦笑しながらも作業を開始する。
箱の中から適当にリースを一つ掴み壁にかける。
「ん?なんだこれ?サンタ帽なんてどこに付けるんだ?」
「あぁ、それはあそこにおいてある騎士の像の頭にかぶせるんだってキラ張り切ってたよ」
サクヤは廊下の隅に置いてある像へ指をさす。
俺はサンタ帽をかぶった騎士の姿を想像して思わず吹き出してしまった。
その姿を想像するとだんだんと実物も見たくなるもので、俺はそっとサンタ帽をかぶせてみせた。
これは…思いのほか爆笑ものだ。
「あ、キョウヤ。ちょっとその箱に入ってるモールとってくれないかな?こっちで飾っておくよ」
サクヤは俺が持ってきた箱にあるモールを指差してそう言う。
俺は脚立の下まで生きサクヤへとそれを手渡そうとして上を向く。
そして上を向いた格好のままかたまる。
何故ならこの体勢だとサクヤのスカートの中がはっきりと見えたからだ。
サクヤはもっと大人っぽいものを履いているかと思いきや白を基調としてお尻にクマのアップリケがついた何とも可愛らしいものだった。
俺はそのギャップから目が離せなくなってしまう。
「ん?どうした、キョウヤ?早くモールを渡せ」
「いや、その…クマさんが…」
「クマさん…?」
サクヤは一瞬何のことかと思っていたがやがて意図が分かると顔を真っ赤にしてスカートを押さえる。
「み、見たのか…?」
「…可愛いクマさんでしたよ」
更に顔を真っ赤にしたサクヤがバランスを崩して脚立から落ちそうになる。
俺はそれを必死に支えてどうにか倒さずに済んだ。
「ふぅ…大丈夫か、サクヤ?」
「う、うん…でも、今のでチャラになんてしてあげないんだからね!」
「え?い、いや、チャラにしてもらおうなんて…」
「~~~!!も、もういい!私ひとりでするから!あっち行ってて!」
俺は頭に疑問符を浮かべながらサクヤのいった通りその場を去ろうとする。
ここでサクヤに逆らえば後で俺の体が大変なことになるだろうと思ったからだ。
「あ、キョウヤ!用意できたらキラに呼びに行かせるからちゃんと来なさいよ!委員長命令なんだからね!」
「はいはい、わかってますよ」
俺はそれに片手をあげて了解の意を示す。
やっぱりサクヤを手伝おうかと思ったがそのまま手伝っていれば妙な空気になりそうだったので俺はそのまま部屋へと逃げることにした。
「ただいま~」
俺の帰宅を出迎えてくれたのは見覚えのない大きな一つの箱だった。
この箱について俺は全く覚えはなかった。
少なくとも俺が部屋を出るときはなかったのは確かだ。
なにせ人一人が入れるほどの大きな箱だ、そんなものがあればだれだって気付くというものだ。
試しに俺は自分の頬をつねってみる。
(痛い…夢…ではないな)
俺は意を決してその箱へと近づく。
そして一気にそのふたを開けて中を覗き見る。
「え?」
多分その時の俺は相当間の抜けた声をしていただろう。
なにせ入っていたモノがあまりにもばかばかしかったからだ。
その箱の中にはウサギが入っていた。
確認しておくが動物のウサギじゃないぞ、あのロリ巨乳のウサギだ。
箱の中ですやすやと気持ちよさそうに寝息を立てていた。
しかし全裸でだ。
いや、全裸というかほぼ全裸に近い状態だった。
生まれたままの姿にリボンを巻き付けていたのだ。
白い柔肌にピンクのりぼんがきゅっと巻き付けられていて何とも言えないエロスを醸し出す。
大事な所はちゃんとリボンで隠れているが成長しすぎた胸の先端がリボン越しに浮き出ていて卑猥さを増している。
俺の呼吸はだんだんと荒々しくなっていく。
呼吸するたびに大きく動く胸は巻き付いているリボンがちぎれるのではないかというほどであった。
そして寝息交じりの「んっ」とか「あっ…」とかいう声が俺の性欲を尋常じゃなく高めてくる。
俺は無意識のうちにその小さな体へと吸い寄せられるように近づいていた。
「ん…?ご主人しゃまぁ…?どぉしたのぉ?」
俺の気配を察知してかどうかはわからないがウサギが目を開ける。
しかしまだまだ寝ぼけているようでうつらうつらとした意識で俺を見る。
「お、おぅ…ウサギ、おはよう」
俺は背中からぶわっと冷や汗が噴き出すのが分かった。
こんな格好誘っているとしか思えないのだが実際それにのってしまうと俺にロリコンのレッテルが張られてしまう。
多分ウサギのもくろみはそこだろう。
俺は必死に平静を装いウサギと接する。
「ご主人しゃま、おはよぉ…ん…何でウサギの所にご主人様がぁ?」
「お前が勝手に俺の部屋にいたんだろ。それより何か着ろよ…とりあえず俺の上着着ておけ」
俺に何か着ろと指摘されたウサギは下を向いて自分の格好を確認する。
だんだんと意識が回復してきたらしいウサギは頬をそっと赤らめていく。
「いや…だってウサギはご主人様のプレゼントだもん」
「は?」
俺は小首をかしげた。
「だから!ウサギからのご主人様のプレゼント!ウサギを受け取ってよ…」
そう言って上目づかいで俺を見る。
知ってか知らずか胸もきゅっと寄せあげるように腕を動かしていた。
プルンとリボンに締め付けられた巨乳が揺れる。
俺はごくりと生唾を飲み込む。
が、理性をフル動員してどうにか押し倒したい衝動を抑え込む。
「と、とりあえずそこから出て来い。話はそれからだ」
「うん、わかったぁ」
ぽわぽわとした返事をしてからウサギは立ち上がる。
ビリッ
しかし立ち上がった瞬間最悪の出来事は起こった。
どうやらウサギの体に巻かれているリボンがその大きな胸の縦横無尽の動きに耐えきれなくなり千切れたのだ。
はらはらとただのごみと化したリボンがふわりと床に落ちる。
俺はそのザマを呆然と見ることしかできなかった。
だんだんと幼いすべすべとした肌が晒されていき恥ずかしさからか赤みを帯びていく。
大きく揺れた胸は俺にはなぜかスローモーションで動いているように見えた。
一瞬時が止まる。
俺の視線はウサギのその大きな胸の先端のピンク色のぽっちとまだまだ幼い無毛の割れ目、そしてだんだんと恥じらいに顔を歪めるウサギを交互にとらえる。
もうそれしか視界に入ってこなかった。
「センパイ!パーティーの準備できたよ!」
バタンと後ろのドアが開きキラとイツキの二人が部屋へなだれ込んでくる。
俺はその瞬間びくりと体を震わせ死を覚悟した。
イツキもキラも俺の部屋へ入ってくるや否や硬直する。
「…センパイ…まさかとは思ってたんですけど…ロリコンだったんですね…」
イツキがユラリと俺の方へと威圧感たっぷりに近づいてくる。
「ユキちゃんもいるのにウサギちゃんにも手を出すなんて…不潔ですね」
キラもイツキにならい俺の方へと近づく。
二人とも汚物を見るような目で俺を見つめていた。
「ちょ、ちょっと待てよ…俺は、その、被害者だっての…」
『問答無用!』
俺がパーティーの間も二人にいろいろと訊問されたのは言うまでもないだろう。
俺の誤解が解けたのはそれから3時間後の事だった。