終焉ペレストロイカ   作:如月ライト

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二人の妹

「お兄様!」

「お兄ちゃん!」

どうしてこうなった…

さっきから俺は二人の妹に板挟みにされている。

物理的な意味でも、だ。

右腕にはユキが思いっきりぎゅっと抱き着いてきている。

もはや好き好きお兄ちゃんオーラが全開である。

左腕にはイリヤが控えめだがきゅっと抱き着いてきていた。

敵対している俺たちだがなぜかこういう状況に陥っていた。

イリヤも微弱ながら好き好きお兄ちゃんオーラを放っているように見えた。

「お兄ちゃ~ん…ユキはお兄ちゃんの妹だよねぇ?こんな中二病全開の子なんて妹じゃないよね?」

ユキが上目使いがちに俺にそう尋ねてくる。

「お兄様?イリヤがお兄様の妹ですのよ?こんなおバカな子がお兄様の妹なんてありえませんの」

イリヤは嘲るような笑みをユキに向けながらそう言う。

二人の間で激しい視線の争いが繰り返される。

「え~と…御二方、そろそろ…」

「そろそろ何かなお兄ちゃん?ユキが妹だってことを証明する気になった?」

「え?あ、いや、そんなことは…」

俺は言葉に詰まってしまう。

さっきから俺の言葉はこんな風にして二人に打ち消されてしまう。

何故だろうか、こういう時だけ二人の息がぴったりな気がするのは。

そろそろ俺のライフもピンチだ、身体的にも精神的にも。

例え妹だと言っても女の子、女の子の柔らかな体が、しかも二つずっとくっついていれば健全な男子としてはもう限界なわけでして…

我慢も限界を迎えその糸がプツリときれそうな、その瞬間声が響く。

「キョウヤ!ウサギちゃんを放っておいてイチャイチャするとはいい度胸だよね!」

ウサギの声が聞こえるが姿は見当たらない。

俺は辺りを見渡すがやはりどこにもその姿は見当たらない。

その場にいた二人も同じようできょろきょろと辺りを見渡しては頭に疑問符を浮かべる。

「ねぇお兄様?このユキにも勝るとも劣らないバカ声は誰ですの?」

「むっ…またバカって言った…」

ちょっと不機嫌そうな表情を浮かべたユキ。

唇をちょっととがらせて釣り目がちな表情、それもまたたまらなく愛らしい。

「え~と、こいつは…」

と、俺が説明しようとした途端右腕にいたユキが唐突に俺の腕を離す。

いや、ユキの様子を見ればわかるが意図的に外したのではなくはがされた、といえばいいのだろうか。

「お、お兄ちゃん!?あ、もしかしてウサギ!?…あとで覚えてなさいよね…!」

ユキがみえない何かに引きずられていく。

その様子をぽかんとした様子で見ていたイリヤだったが次の瞬間自分もそれと同じように引きずられていく。

「お、お兄様~…ちょっと、どこまで連れていく気ですの!?ふ、服が伸びてしまいますの!」

やっと解放された俺は一息つく。

が、俺の安息もすぐに終わりを迎える。

俺の右腕が何かに引っ張られる間隔。

抵抗する気力さえ起きない俺はそれに導かれるままに腕を引かれる。

(ん…待てよ、ちょっとこれやばいんじゃ…)

頭の中で危機を察知した俺だったが時すでに遅し。

俺の右手は柔らかいものにくっつけられていた。

ふにゃりとした感触で柔らかくてハリのある…まさかこれは…。

「ふっふっふ…キョウヤは妹萌えだけど、でもやっぱりウサギちゃんが好きなんだから…これを見ればわかるよ!」

ウサギは俺の目の前に姿を現す。

やっぱりインビジブルによって姿を消していたかと俺はあきれる。

異能をこんなことに使っていいのかと頭を悩ます。

が、そんなことも今のこの状況じゃどうだっていい。

なんせ俺の右腕はウサギの豊満な胸を触っていたのだから。

もにゅりもにゅり

自然と右手が俺の意思とは裏腹におっぱいの感触を味わう。

「あんっ…ちょっとキョウヤ…みんな見てるから…んっ…な、なんか激しっ…」

「い、色っぽい声出すなって…それに止めようとしてるけど右手が…」

そう言い訳する俺を白い眼で見てくる妹二人。

「どう?これでわかった?キョウヤはおっぱいがおっきいお・ね・え・さ・ん、が好きなんだから!」

お姉さんという部分を強調したウサギだったがこの幼女のどこにお姉さんの部分があるのかわからなかった。

おっぱいが大きいというところは頷けたが。

てか大きいどころの問題じゃないな、大きいでは形容できないような、そんなおっぱいの持ち主なのだ、ウサギは。

「うん、よ~く分かったよ…」

「ええ、わかりましたわ…」

二人の視線がギラリと輝き俺にゆったりと近づいてくる。

「お兄ちゃんが…」

「お兄様が…」

俺の目の前に立った二人からは明らかにさっきに近いオーラが漂っていた。

冷や汗が体全体からあふれ出る。

喉も渇き心臓の鼓動の音がやけに大きく響いた。

『幼女好きの変態だってことを!』

二人の息の合った言葉とともにおれの顔面にふたつの硬い塊が。

それがユキとイリヤの拳だということは俺が宙を舞い地面に落ちた時に分かったことだった。

「ちょっと!なんで私が幼女なの!?どう考えてもおかしいよね!ほら、見てよおっぱい!ぼいんぼいんのたゆんたゆんなんだから!」

「そんなのおっぱいだけですわ。身長もわたくしより小さいし…幼女ですわ、幼女!」

「そうだよ!ウサギは完全に幼女だよ!そのおっぱいだってどうせ何かつめてるんだから!」

(え~と…あの、俺のことは…)

去りゆく意識の中三人の幼女が言い争っている姿が目に映った。

 




「さて…今回こそはわたくしのオンステージですわよね?…えぇ、えぇ、もちろんちゃんと尺内には収めてみせますわ…」
「イリヤの…」
「マリナの異能解説コーナー!」
「ちょっとまたあなたですの!?」
「マリナちゃんがいて何か悪いですか?…それはさておき、前回はお見苦しいところを見せてしまって申し訳ないのです…責任はこの金髪が全部…」
「幼女!何勝手なこと言ってくれてるんですの!?私に責任を押し付けないでいただけます!?」
「…それはさておき」
「さておかないでいただきます!?」
「金p…あ、え~と、イリヤの異能を紹介するです」
「今さっき金髪って言いかけましたの?まぁいいですけど」
「それで、金髪バカの異能を見せてほしいのです」
「バカって何ですの!?…来なさいわたくしの従順なペット!この幼女を踏み潰してしまいなさい!」
「おぉ!なんかおっきいドラゴンが来たのです!」
「そうですわ、これがわたくしのペットですの」
「へぇ…名前はなんて言うんです?」
「名前…?え~と…その~…」
「そ、そこは触れちゃいけなかったです?」
「そ、そうよ!だって名前は一度も本編で触れられてないじゃありませんの!ついてない名前なんてわたくし知りませんのよ!」
「え、え~と…これがイリヤの異能です?」
「そう、これがわたくしの能力。人形を自由自在に操ることができますのよ」
「へぇ…でもなんだか言葉で言われても納得できないのです。実際に見せてほしいのです!」
「いいですわよ…ほら、お手…お座り!…え~と…おかわり!…よしよし、よくできましたの」
「な、なんかドラゴンがわんちゃんみたいな扱いを受けてるのです…」
「私の異能があればどんな人形だって意のままに操れますのよ!でもたくさんの人形を操る際は簡単な命令しかできませんの…わたくしもまだまだ精進が必要ですの…」
「ちょっと動かしてほしい人形がいるのです…いいですか?」
「もぅ…しょうがないですわね、みせていただけます?」
「これです…マリナの宝物だから大事にしてほしいのです…」
「これは…!何この妙な人形は…?男、ですの?それにところどころほつれてますの…」
「マリナちゃん渾身の自信作、ケント人形です!」
「へ、へぇ…これ、作るのに結構苦労したのですね…」
「ううん、すぐできたのです」
「へ?じゃあ何でこんなにほつれてるんですの?」
「そんなことはいいのです!早く動かしてほしいのです!」
「う~ん…じゃあ、えい!」
「わぁぁ!動いたのです!凄いのです!・・・自由に命令とかもできるのですよね?」
「ええ、いけますわよ」
「じゃあ…マリナちゃんがいじめたら鳴かせてほしいのです」
「え?」
「だーかーらーマリナちゃんがいつもみたいにケント人形をいじめるからそれに合わせて鳴くようにしてほしいのです!」
「え、えぇ…できますけど…はい!」
「これで終わりですの?…試してみるのです…えいっ!」
「あ、あぅぅ…」
「うわぁぁ…これ凄いのです!えいっ…えいっ…!あはは、楽しいのです!」
(あのほつれ目にはこんな意味があったのですのね…この幼女、侮れない…!)
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