終焉ペレストロイカ   作:如月ライト

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第20章「さらなる日常へ」
人形遣いの編入生


さて、1週間の休学が明けた。

俺は今職員室から姿を現した。

隣には金髪のゴスロリ少女。

イリヤである。

この前の事でこちらの仲間になってくれた少女だ。

さっきまで俺はイリヤの事を職員室で話していたのである。

「お兄様、教室の場所はどこですの?」

イリヤは俺の隣で小さな微笑みを作りながらそう言ってきた。

「あぁ、俺についてくれば分かるよ」

「はぁ…お兄様と同じ教室で授業…これだけでドキドキが止まりませんの…」

そう、この会話からわかるとおり俺とイリヤは同じクラスになった。

元々俺のクラス、ストレンジ・ナイフには少し複雑な事情を抱えたモノが多い。

なのでイリヤがここに入るのは当然といえば当然である。

しかし…俺には一つ心配があった。

「なぁイリヤ…お前、クラスではその名前伏せろよ?」

そう、イリヤの名前である。

入学の際にも教師どもから言われていたことだ。

学園側からは黙認すると言われていたがクラスなどになると別だ。

元々敵国だった存在がこちら側に来るとなると恨みを持った奴らに襲われかねない。

そのため名前だけでもいいから伏せておいた方がいいというのが学園の見解だった。

「いやですわ!お兄様に付けてもらった名前を伏せるなんてできませんの!」

「そこを何とか…」

って…あれ?今お兄様に付けてもらったって…もしかしてオレがつけたってこと?

「なぁ…イリヤって名前ってもしかして…偽名?」

「偽名じゃありませんの!これはれっきとした名前ですわ!お兄様がわたくしに付けてくださったのですから!」

「それが偽名っていうんだよ!」

ぷんすかと怒るイリヤ。

とりあえずこの話は平行線を進みそうだ…。

俺は少しだけ会話の軸を逸らすことに。

「えぇと…何でイリヤって名前を付けたんだ?」

するとイリヤは悲しそうな表情で俺を見た。

「本当に覚えていませんの…?」

イリヤの綺麗な瞳が俺の顔をとらえて離さない。

俺は気まずそうにこくりと小さく首を縦に振ることしかできなかった。

「…お兄様が覚えてないならい方ありませんわ…いいですの、教えてあげますわ」

そしてイリヤは淡々と昔を語り出した。

「それはわたくしとお兄様が初めて戦場に立つ1週間ぐらい前の事ですの…わたくしは怯えていましたわ、戦場という場所に…」

イリヤでも戦場に怯えていたのか…意外だな…

「私の頭の中は真っ黒い考えでいっぱいになっていましたの…でもそれをお兄様がふり払ってくれましたの」

「へえ…」

「“お前は今からイリヤ・ドールと名乗れ、このハデスの従順な妹になれ”ってお兄様は言ってくれましたの…」

うわぁ…昔の俺(たぶんだが)恥ずかしい…

「私が何でそう名乗らないといけないのかと聞いたらお兄様ったらなんか強そうだからって済ませましたの。ほんっとお兄様はおちゃめさんだったんです…でも、そんなことで喜ぶわたくしもわたくしですが」

イリヤは昔に思いをはせ少し笑った。

「なんだかイリヤって名乗ってるともう一人の強い自分になれた気がしましたの…だから、今までずっと使ってきましたのよ」

なるほど…要するにおまじないみたいなものだろう。

自分はイリヤという別の人間だと思い込むことで強くなろうとしたんだろうな…

まぁ真意はわからないが俺はそう思っている。

「で、お前のホントの名前って何だよ?」

「…お兄様だけに特別ですわよ?」

そして一拍開けた後イリヤは口を開いた。

「…明星伊利(あけぼし いり)…」

伊利、か…だからそこから「ヤ」をつけてイリヤ…納得だな。

ドールは人形を使うからそうつけたんだろうな。

って…明星…?

俺はイリヤ…イリの名字に疑問符を浮かべる。

俺と同じ名字だ…。

俺が何故アケボシという苗字を持っているのか…その答えがイリに隠されているはずだ。

「なぁ…イリ…そのアケボシって…」

「お兄様!わたくしの事は今まで通りイリヤって呼んでほしいですの」

俺の言葉を遮ってイリがそう言ってきた。

「え?なんで?」

「そっちの方がいいですの…それにイリって名前よりイリヤって名前の方が気に入ってるからですわ」

「そうか…ならイリヤ…」

「なんですの?」

「その苗字って…」

しかしその言葉はイリヤの言葉に遮られてしまった。

「お兄様、教室ってここじゃないですの?」

イリヤはひとつの教室の扉を指差した。

確かに俺たちのクラスだった。

話しながらで気づかなかったがもう着いたのか…。

続きをききたかったが教室についたのなら仕方ない。

また今度きけばいいか。

「じゃあイリヤ、お前はここで先生がくるまで待ってろよ?」

「わかりましたの」

イリヤの事は朝のホームルームで説明すると教師から言われていたので俺は彼女をおいて教室の中に入る。

少しさびしそうな視線を後ろに感じたが気にしたら負けだ…

イリヤには我慢というモノを知ってもらわないとな…

そして俺は教室の中へと足を踏み入れた。

 

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