終焉ペレストロイカ   作:如月ライト

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黒い食事情

俺達はラーメンをすすりながらイリヤがくるのを待っていた。

ハルカにイリヤがくると話すと大喜びだった。

どうやらそれほどまでに親しい仲らしい。

しかし…ケントと会わせるのはあんまり好ましくないな…。

ケントの腕を切り落としたのは紛れもないイリヤだし…。

それにいろいろこいつには悪いことしてたような…。

「お兄様!」

がたんと店の扉が勢いよく開けられイリヤが入ってきた。

あれから10分もたっていないのにな…。

早すぎだろ…。

俺はとうとう何の解決策もなくイリヤとケントを会わせてしまった。

「あら?お兄様たちは何を食べているんですの?」

「ラーメンだけど…」

「へぇ…それはラーメンという食べ物なのですね…おいしそうですのぉ…」

だが俺の考えも杞憂だったようで…。

イリヤの目はラーメンに釘付けだった。

「食べるか?頼んでおくけど…」

「い、いいんですの?ならお願いしますわ!」

「はいよ…大将!もういっぱい追加で!あと俺替え玉!」

ケントはイリヤを憎む様子もなくそんな会話をしていた。

「はぁ…待ち遠しいですの…」

「待ちまくった後のこいつは痺れるぜぇ?腹いっぱい味わえよ?」

「当たり前ですの!」

ってこいつら仲よさそうだし…。

あんなことがあったのにこれだけ仲良くできるってのはどうなんだろうか?

頭のねじが一本や二本飛んでいるのではないのかとさえ思えてしまう。

「イリヤちゃん…ゴメンね…いけなくなって…」

「いいんですのよ、理由はちゃんとお兄様から聞きましたの」

ハルカとも楽しそうに会話を交えるイリヤ。

てかこいつらどこで出会ったんだ?

「なぁイリヤ、お前らってなんでそんなに仲がいいんだ?」

「それはですね…」

イリヤはコホンと咳払いを一つして言葉をつむいだ。

「私とハルカが特別クラスの説明会を受けたからですの!そこで意気投合しましたの!」

「うん…イリヤちゃん…優しい…それに面白い…だから…僕たち…友達…なったの」

特別クラスの説明会?

確かイリヤから俺たちが休んでいた一週間の間にそんなのを受けていたと話をきいていたが…。

まさかこいつも…。

「あ…ボク…言い忘れてました…ボクも…明星君とヤマイ君と…同じクラス…です」

やっぱりか…。

ハルカが上の手違いで遅れて編入してくるというやつだったのだ。

それも最後に姉の波とかかわった俺たちと同じクラスになるとは…。

それは偶然ではなく運命なきがした。

また個性的なメンツが増えてしまったなと俺は内心で苦笑いを浮かべていた。

 

「おいしいですの!このラーメンというモノは初めて食べましたけど…わたくしの好きな食べ物ランキングベスト10に入れてやりますの!」

「そんなに気にいったのか、ラーメン…ってもしかして黒の国ってラーメンないの?」

イリヤの口ぶりだとそう推測できる。

彼女も一応はオシリスと対立している黒の国、アンラマンユの人間なのだ。

こちらとは文化が違うとは思っていたが…まさか食文化まで違うのか?

「えぇ、こんなおいしいものなんてありませんの。あっちで人気があった食べ物といったら悪魔の血のスープだのケルベロスのステーキだのガルーダの焼き鳥だの…おいしいんですけど見た目が最悪なモノが多いんですの」

「そ、そうか…」

気になるけどあんまり食べてみたいとは思わないな。

他の奴らも想像を膨らませているようで皆一様に不安そうな顔を浮かべていた。

「こちらみたいにおいしそうな見た目の料理なんてほとんどありませんでしたの…」

「なら何食べてたんだ?やっぱり悪魔の血のスープ?」

ケントが目をキラキラとさせながらそう聞いていた。

「う~ん…血のスープというより悪魔の脳味噌汁の方がよく食卓に出てた気がしますの…」

「い、いやいや普通のやつで、ゲテ物系は無しな」

さすがに悪魔の脳味噌汁は…。

想像しただけで吐き気を催しそうだった。

「あ!ギョーザ!」

「ギョーザ?」

「はいですの!ギョーザはあっちでもあの形でしたの!中身はちょっと違いますけど…でもとってもおいしかったんですの!」

へぇ…あちらにはギョーザがあるのか…。

中身がちょっと違うっていうのに引っかかるがツッコむのはやめておいた。

これ以上は鼻からラーメンが出てきそうだった。

ハルカも同じようで聞きたそうにしていたがぐっとこらえていた。

「大将!ギョーザちょうだい!」

「え?ギョーザ!?こ、ここでも食べれるんですの!?」

「当たり前だろ。ラーメン店にギョーザがないとかラーメン店失格だろ」

「うん…それ…常識…ラーメンとギョーザ…一緒に食べたら…幸せ」

「ハルカも知ってたんですのね…」

適当な会話をした後イリヤが唐突に声を上げた。

「ケント!あとでちょっとわたくしの部屋に来るんですの!ちょっと用事がありますの!」

「は?用事?…まぁいいけど」

イリヤがケントに用事?

それはなんだか珍しいな…。

そうしてオレたちは料理を食べ終えたのちその場で別れた。

俺は自室に、ハルカは何でも寮への引っ越しがまだ終わっていないから帰るらしい。

そしてケントはイリヤの部屋へと行くのだった。

 




「マリナの解説コーナー始まりです!」
「おう!今日は何を解説するんだ?」
「今日は…黒の国の料理事情についてです!」
「ウゲ…それにはあまり触れたくなかったんだけどなぁ…」
「ケントのくせに口答えするなです!マリナちゃんがしたいんだからするのです!」
「はいはい、わかったよ…」
「じゃあまずはこれ!この料理!なんだかわかるです?」
「え~と…これ…真っ赤なスープ…?トマトスープか何かなのかな?」
「じゃあ飲んでみるです!」
「…い、いただきます…ごくっ…」
「ドキドキ…」
「ぶふっ…!こ、これなんだよ…スゲェ鉄臭い…それに口の中で暴れてる感じがする…」
「これは悪魔の血のスープです!」
「な、なんて物飲ませるんだよ!?」
「いいじゃんです!これ飲めばお肌つるつるになれるですよ?それに健康にもいいらしいです」
「それでも飲みたくはないな…」
「じゃあ今度はこれです!」
「へぇ…肉…いい感じに焼けててうまそう…けど普通の肉じゃないよな?」
「まぁ食べてみたらわかるです」
「じゃあ…あ~む…もぐもぐ…んっ!これ…上手い!口の中で脂がとろける!それに噛めば噛むほどおいしくなってくるな!」
「ケントはそれがお気に入りです?」
「あぁ、これ結構好きかも…う~ん…牛肉でも豚肉でもないし…羊…?いや…それも違うな…」
「これはサラマンダーのお肉です!」
「サラマンダー?」
「はいです!目を見た相手を石にする能力を持つモンスターです!」
「へぇ…」
「ゲットするのが難しいからこのお肉は希少なのです!あっちでは100gで3000~5000ぐらいするです!」
「ま、マジで…!?」
「マジです!…じゃあ次はこれです!」
「コップに注がれたこれは…ジュースか?いや、でも色が…真っ黒だし…」
「つべこべ言わずにグイッといくのです!」
「むぐぐ…ま、マリナ…苦しい…!」
「はいはいおいしいから全部ごっくんするですよ~」
「ごくごく…んっ…ぷはぁ…なんだこの味…磯臭いけど飲みやすい…不思議な味だな…」
「これはタコ墨とイカ墨を黒の国伝統の方法で熟成させた栄養ドリンクです!」
「へぇ…そうなのか…ってなんだか体が熱くなってきたぞ…」
「もちろんです!これを飲むとしばらくの間ムラムラがおさまらなくなるのです!」
「ま、マジかよ…あぁヤベェ…ムラムラがおさまんなくて辛い…」
「け~んと…マリナちゃんとイチャラブするです?」
「え!?ま、マジ!?」
「マジ…なわけないです!バカじゃないです?ケントのくせにマリナちゃんとイチャラブできるわけないのです!」
「そ、そんなぁ…」
「ケントは置いておいて…じゃあまた次回です~」

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