終焉ペレストロイカ   作:如月ライト

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第24章「絶望前夜祭」
バトルシップ


「確か…ここら辺ですの」

俺達がイリヤに連れてこられたところ。

そこはオシリスから少し離れた場所にある海だった。

確かここはオシリスの漁場だと黙認されているところだ。

こんな場所に何が…?

俺の不安を映すように海はどす黒い波をたてた。

「ここに何があるんだ?」

「そうです!ただの海ばっかりです!」

ケントとマリナは不安そうにそう尋ねた。

口には出さなかったが誰しも皆そう思っているところだった。

イリヤは少し視線を宙に彷徨わせると突然海へ向かって歩き出した。

ざぁざぁとうごめく波の中にイリヤの白い足が浸かる。

だがイリヤはそんなのはお構いなしにどんどんどんどん進んでいく。

やがて今きているゴスロリ服が海水に浸るぐらいまで行ったところで彼女はこちらを振り向いた。

「今からいいものを見せてやりますの!」

そしてイリヤはにやりと笑みを漏らしたのち大きくその手を上に振り上げた。

するとざぁざぁと一定のリズムを刻んでいた波が激しくうごめき始める。

それに低かった波も今ではイリヤを飲み込まんばかりの高さにまで上がっていた。

それでもイリヤは何かを待ちわびるように手を天高く向けている。

やがてゴゴゴゴという鈍い音が俺たちの耳を襲った。

その場にいた全員は辺りを見渡す。

が、音の元凶などどこにもない。

あるのはただ大きく膨れ上がり続ける波だけだった。

「…括目してみるのですわ!」

イリヤがひときわ大きな声でそう叫んだ。

すると今までの轟音がさらに激しくなる。

海はまるで嵐が来たかのように大荒れだ。

そして高くなり続けていた波。

その波の中から黒く輝く大きな物体が姿を現した。

「あ、あれは…」

その巨大な物体は波を切り裂き徐々にその姿を白日の下にさらしていく。

ざぱぁん!と耳を裂くような波の音が聞こえたのと同時、その物体は完全な姿を俺たちの目にさらした。

「…」

その場にいた皆は俺を含め呆気にとられて何も言えなくなっていた。

なんせ海の中から巨大な船が出てきたのだから。

いや、でてきたというのは違うな…。

あれは…イリヤが引き上げたんだ。

イリヤがあの巨大な船を引きあげたんだ!

「お兄ちゃん、あれが何かわかる?」

「いいや…船だってことは何となくわかるんだが…」

「お兄様、これは戦艦といいますのよ」

「戦艦…?」

「えぇ、戦うためだけに作られた船ですの。これがあれば長距離航海も余裕ですの」

確かに…よくみると砲台が見て取れる。

それも一門二門とかではない。

機銃等を含め軽く50は超えているだろう。

それに日の光を浴びて水が反射しキラキラと光る巨大な体はどんなに遠くでもいけそうだと思った。

「でも…何でイリヤがこんなもの持ってるの?」

ユキはきょとんとした顔でそう尋ねる。

俺もちょうどそう思っていたところだ。

「あれはわたくしが独自に改造しましたのよ。過去に沈んだと言われる船をわたくしの異能の応用で動かしていますの」

「要するにあれは人形なのか?」

「人形といえばそうですけど少し違いますの…あれはいわば今のケントの腕と同じですの」

突然名前を出されたケントはバカみたいな表情で俺たちの視線を浴びた。

「あれのエンジン部分にはわたくしの人形と同じ神経を入れていますの。命令一つで自由に動かせますのよ?」

「へぇ…で、何でそんな船をイリヤが改造できた?それに過去に沈んだ船っていうが俺には心当たりがないんだが」

どうにか記憶を思い出そうと過去に歴史書をよんだことがある。

が、そのどこにもこんな船の事は載っていなかった。

「これを改造したのは黒の国にいたころ。青に攻め入る時に使うかもしれないからってわたくしが改造に参加させられましたの」

「じゃあもう一つは…」

「何故知っているのか…ですのね…それはわたくしにもわからないですの…わたくしはこの船を改造してほしいという依頼しか受けていませんの…細かい部分は教えてもらえませんでしたわ」

「そうか…」

「でも一つ、わかっていることがありますの…この戦艦は誰にも忘れ去られた島国の異物…名を“金剛”といいますの…」

 

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