このアリアハンで一番の勇者であるオルテガが魔王討伐に出たのは、もう随分昔の事になる。 まだ私こと、レイスが生まれる前のことだ。
しかし、オルテガが火山に落ちて亡くなったとの知らせが王国に知れ渡ったのは、つい最近。 とある
遊び疲れて眠りこける姉弟とアルス。
昔から寝付きが悪い私の耳に馬の嘶きが聞こえてきたのは、日を跨いで少し経った時だろう。
少しの間を置いて、涙を流したアルスのお母さん、つまりはオルテガの奥さんが私達のいる寝室に現れた。
真夜中に悲痛な顔で自宅を飛び出していったオルテガの父親と奥さん。 そして寝ぼけ眼をこすって、母と一緒に王宮へと向ったアルスが戻ってきたのは、実に明け方の事だった。
幼いながらも、何か重大な事が起きたのだと理解していた私は、到底眠りにつける状態では無く、ただ彼らが戻ってくるのを夜の中ただ一人起きて待っていたのを覚えている。
目を腫らした彼らが戻ってきた後、ポツリとアルスが言葉を漏らした。
『お父さん、闘って、火山に落ちて、死んじゃったみたい』
私や、隣で眠る姉弟と対してかわらない5歳の子どもが、父の死をキチンと受け止めている。 そう理解せざるを得ない程に悲痛で、そして何かの意思が込められた言葉だった。
『僕は、強くなる。 テリーよりも、ミレーユよりも、レイスよりも、そしてお父さんよりも』
言葉と共に、涙を流す悲壮の少年。 私の瞳に張り付いて離れなかった。
『僕は、絶対に、ムドーを! 魔王ムドーを倒すよ!』
その瞬間だ。
どうにもならない、どうしようも無いほどの違和感に私が襲われたのは。
何かが違う。
何かが噛み合わない。
頭が割れるように痛み出す。 違う、違う。
訳の分からない情報が頭に溢れてくる。
『ゲーム』『神様』『転生』『ドラクエ』『女賢者』『女僧侶』『バラモス』『3』『6』
イミガワカラナイ。
絶え間ない情報が頭の中で行き来する。 自問が溢れて、更なる混乱が訪れた。
何が違う? アルスが違う。 ムドーが違う。 私が違う。 テリーが違う。 オルテガが違う。 アリアハンじゃ無い。 コレじゃ無い。
気づけば私は自宅の自室。 ベッドの上に横たわっていた。
眠ってしまったのか、それとも気絶をしてしまったのか。 分からない事だらけの中で1つだけ、ハッキリ分かる事、否。 思い出せることがあった。
要は、