少年の異世界戦記~ハイスクール D×D編~ 作:クロイツヴァルト
「・・・俺の事を焼き鳥・・・だと?」
顔を引き攣らせ、ライザーは戒翔を睨む。
「そう言った筈だが、聞こえなかったのか? 俺はリアスの眷族だ・・・なら主の意向に沿うのも眷族として・・・守護者として主の未来を守る。」
「・・・戒翔」
戒翔の言葉にリアスは唖然とし、ライザーに至っては顔を俯かせ肩を震わせていた。
「戒翔様、落ち着いて下さい。 ライザー様もです。 これ以上やるのでしたら私も公的な立場として介入せざるえません。 勿論の事ですがサーゼクス様の名誉の為にも遠慮などしないつもりです。」
そして険悪な二人の仲裁に入ったグレイフィアも静かな言葉とともに尋常では無い魔力を放ちリアスやライザーを始めとした面々が表情を強張らせる。 唯一、戒翔だけが涼しい顔をしてライザーを冷ややかに見ていた。
「・・・最強の女王と称されるあなたにそんな事を言われたら、流石の俺も怖いよ。 バケモノ揃いと評判のサーゼクス様の眷族とは絶対に相対したくは無いからな」
そう言ってライザーは自身の周りに出していた炎を消し、戦意が無い事を示しリアスもまた紅い魔力光を抑える。 それを見た戒翔はリアスの前から退き彼女の横に立つ。 それを見てグレイフィアは口を開く。
「・・・こうなる事は旦那様もサーゼクス様もフェニックス家の方々も重々承知でした。 正直申し上げますと、これが最後の話し合いの場だったのです。 これで決着がつかない場合の事を皆様方は予測し、最終手段を取り入れる事としました。」
「最終手段? どういう事、グレイフィア」
「お嬢様、御自分の意志を押し通すのでしたら、ライザー様と【レーティングゲーム】にて決着をつけるのは如何でしょうか?」
「ッ!?」
「・・・ほぅ」
グレイフィアの言葉に言葉を失うリアスと面白そうだと言わんばかりの声色の戒翔
「?」
「爵位持ちの悪魔達が行う、下僕同士を戦い合わせて競い合うゲームの事だよ。」
唯一、一誠だけが理解できていなかったのか木場が説明して納得していた。
レーティングゲームとは悪魔の駒を用いたチェスのゲームを模した物で【騎士】、【戦車】、【僧侶】、【女王】を用いた物である。 そしてそれぞれの役割に対して特性と言う物が付与される。 騎士ならば速さに当たり戦車は攻撃力と防御力の高さ、僧侶は治癒と特化しており女王はその全ての特性を持っている。
「お嬢様も知っての通り、公式な【レーティングゲーム】は成熟した悪魔しか参加できません。 しかし、非公式の純潔悪魔同士のゲームならば半人前の悪魔も参加できます。 この場合、多くが」
「家同士のいざこざ・・・いがみ合いの場合が多いな」
グレイフィアの言葉に被せる様に戒翔が呟く
「そして、リアスの親父はリアスが拒否した場合の事を考慮して最終的な手段としてレーティングゲームを使って今回の婚約の合否を決めるって事で間違いないな、グレイフィア」
「そう言う事になります。 それで、お嬢様はゲームを拒否なさりますか?」
「まさか、こんな好機は無いわ。 良いわよ。 ゲームで決着を付けましょう、ライザー」
挑戦的なリアスの言葉にライザーは不敵に笑う。
「へー、受けちゃうのか。 俺は構わない。 ただ、俺は既に成熟しているし、公式のゲームも何度かやっている。 勝ち星のほうが多い。 それでもやるのか、リアス?」
不敵な笑みと共にリアスと同じように挑戦的な笑みでもって応える。
「やるわ。 ライザー、あなたを消し飛ばしてあげる!」
「いいだろう。 そちらが勝てば好きにすればいい。 俺が勝てばリアスと即結婚してもらう」
「絶対に俺がリアスを護る。 守護者の名に賭けて」
リアスとライザー、そしてリアスの横に立つ三人が睨み合い、激しい眼光をぶつけ合っていた。
「招致致しました。 御二人の御意志は私グレイフィアが確認させていただきました。 ご両家の立会人として、私がこのゲームの指揮を執らせてもらいます。 よろしいですね?」
「えぇ」
「あぁ」
グレイフィアの言葉にリアスとライザーは了承する。
「分かりました。 ご両家の皆さんには私からお伝えします」
それを確認したグレイフィアは頭を下げて一礼する。
「ところで、リアス。 まさか、ここにいる面子がキミの下僕なのか?」
ライザーの言葉にリアスは片眉を吊り上げ
「だとしたらどうなの?」
そう言ったリアスの言葉が可笑しかったのか笑い出すライザー
「これじゃ、お話にならないじゃないか? キミの女王である雷の巫女ぐらいしか俺のかわいい下僕に対抗できそうにないな」
そういいながらライザーは指を鳴らすのと同時に部室の魔方陣が光りだす。 そしてライザーが現れた時と同じ魔法陣・・・フェニックス家の文様が現れ、その中から次々に人影が現れる。
出て来た人影に一誠とアーシアが言葉を失っている中で戒翔は冷静に出て来た人影を見つめていた。
「これが俺の可愛い下僕たちだ」
そうして堂々と両手を広げて紹介するライザーの周囲には総勢十五名からなる眷族悪魔らしき者達が集結していた。 鎧を着こみ騎士らしき者。 フードを深く被った僧侶らしき者。 他にも様々な格好をした者達がライザーの後ろに控えていた。 そしてライザーを含めて十六名に対してリアスの陣営はリアスを含め、騎士の木場に戦車の子猫、女王の朱乃、兵士の一誠に戒翔の七名と二倍近く違うのである。そしてそんなメンバーを見た一誠の様子を見て戒翔は少しだけ距離をとり、ライザーはそんな一誠の様子を見てドン引きした様な表情をする。
「お、おい、リアス・・・。 そこの下僕くん、俺を見て大号泣しているんだがどうしたんだ?」
「その子の夢はハーレムなの。 きっとライザーの下僕悪魔達を見て感動したんだと思うわ」
ライザーの言葉に困り顔の上、額に手を当てて溜め息交じりのリアスの言葉に納得したのか成程と頷くライザー。
「キモいです。」
「ライザー様ー、このヒト、気持ち悪ーい」
そして、そんな一誠の行動にライザーの下僕悪魔の女の子達は心底気持ち悪そうにし、まるで汚い物を見る様な目で一誠を見る。 そしてそんな下僕悪魔を宥める様にライザーは体を撫でていた。
「そう言うな、俺の可愛いお前達。 上流階級の者を羨望の眼差しで見てくるのは下賤な輩の常さ。 あいつらに俺とお前達が熱々な所を見せつけてやろう。」
そう言ったライザーは近くにいた際どい恰好をした下僕悪魔を抱き寄せて深い口づけを交わす。
「ん・・・むちゅ・・・あむぅ・・・」
そしてそれに応える様にその女性は体を使ってライザーの足を絡ませながら官能的な喘ぎ声を出していた。 そして、そんな場面を見た一誠はやや前かがみになり、アーシアは顔を赤面させて処理落ち寸前のパニック状態になっていた。
「・・・下種が」
そしてライザーは女性との濃厚なキスを終え、唇を離す。 その際に唾液の糸で銀の橋を作る。 そしてその橋がぷつりと切れると別の、今度は先程の女性と比べると幼い顔立ちの女性だがその女性と再び濃厚な接吻を交わす。 一誠が血涙を流す勢いで食い入るように見ている中で戒翔は冷めた目付きでそう誰にも聞こえない様に呟いていた。
「お前じゃ、こんな事一生出来まい。 下級悪魔君」
「畜生! 俺の夢を否定すんじゃねぇ!
とうとう一誠の嫉妬心と馬鹿にされた事により怒り心頭の状態で左腕に赤龍帝【ドライグ】を封じ込めた
「お前みたいな女ったらしと部長は不釣合いだ!」
「は? お前はその女ったらしの俺に憧れているんだろう?」
痛い所を突かれたのかウッと呻く一誠。
「う、うるせぇ! それと部長の事は別だ! そんな調子じゃ、部長と結婚した後も他の女の子とイチャイチャしまくるんだろう?」
「英雄、色を好む。 確か、人間界の諺だよな? 良い言葉だ。 まぁ、これは俺と下僕たちとのスキンシップ。 お前だって、リアスに可愛がってもらっているんだろう?」
ライザーの言葉に考える一誠の横から突如、濃密な殺気と呼べる魔力が吹き上がり、その場にいた全員が身体を強張らせる。
「英雄・・・貴様は己が英雄の器だと言いたいのか?」
「だ、だったらなんだって言うんだ!」
濃密な殺気を滲みださせながらオカルト研の前に進み出てライザーと対峙する戒翔は怒気を孕んだ言葉でライザーに問う。
「貴様は英雄に在らず! 俺の知っている者は己を偽り、王たらんとしていた。 そして、忠義に生きようとし、その忠義に殉じた騎士も知っている! 他にもいる・・・が、貴様が英雄を語るな! 貴様は英雄などでは無い! 英雄を汚すな」
「なッ!? この俺を愚弄するか、下僕悪魔の癖に!」
「俺は貴様のいう下僕悪魔かも知れんが、俺は貴様の様な志も理想も無い輩を英雄とは認めんぞ、ライザー・フェニックス!」
戒翔の言葉になんとか言い返すライザーだが、激昂する戒翔はそんな事を気にせずに腕を振るいその手に金色の剣を顕現する。
「あ、あの剣はッ!?」
そして後ろでみているだけのオカルト研のメンバーである騎士の木場は戒翔の持つ剣を見て顔色を変える。
「この剣は彼の騎士王が持っていた一振り・・・そして世界が生み出した最強の幻想兵器・・・貴様に耐えきれるか!!!!」
「戒翔様、お止め下さい!」
そしてその剣を今にも振り下ろそうとした所で後ろからグレイフィアに羽交い絞めにされ止められる。
「・・・離せグレイフィア、いくらお前でも今の俺を止める事がどういう事か分かっているのか?」
「既に覚悟は出来ております。 戒翔様の御気分がそれで収まるのならこの私を斬ってでもこの場での怒りを収めてください。」
静かな言葉と共に戒翔から溢れる魔力からの圧力が増す中でグレイフィアもまた真剣な表情で戒翔を絶対に止めると告げる。
「・・・分かった。 この場はグレイフィアの為にも・・・そしてリアスとその兄であるサーゼクスの顔を立てて
そう言って手に持っていた剣を霧散させるのと同時に部室内に放出していた魔力を抑えた。 そして戒翔が魔力を抑えた御蔭で漸くグレイフィアと戒翔を除くメンバーは動ける様になり、木場が真っ先に戒翔に詰め寄ろうとしたが、戒翔は視線をグレイフィアからリアスに移す。
「こ、このッ! ミラ、俺を侮辱したアイツを殺せ!」
「は、はい、ライザー様!」
しかし、そんな戒翔の態度が癇に障ったライザーは憤慨し吠え、下僕悪魔の一人、チャイナ服を纏った少女は棍を一通り振り回し、まるで自分に喝を入れる様に回した後に構え、次の一息で戒翔の目の前に現れ、次の動作で戒翔の胴に棍が突き刺さると誰もが思ったが・・・予想は以外にも戒翔の声によって裏切られる。
「・・・あれだけの魔力と殺気を感じてなお俺に向かって来るのか」
「ッ!? いけません! 今すぐ下僕悪魔を下げなさい!」
ライザーとそお下僕悪魔の行動に驚いたグレイフィアは言葉使いを気にする暇も無くライザー達に注意するが手遅れであり、次の瞬間
「きゃあぁぁぁーッ!?」
「ミラッ!?」
「・・・先に手を出してきたのは貴様だろう?」
突き立てた筈の棍は見事に粉砕し、その衝撃でなのかミラと呼ばれた下僕悪魔は弾き飛ばされるかのようにライザーの後ろの壁に激突する。 悲鳴を上げるミラとその下僕悪魔の状態に悲鳴に近い声を出すライザーに対して戒翔は冷淡な口調で返す。
「これ以上は流石に彼女をこれ以上怒らせることは嫌われるのでな・・・決着はレーティングゲームで果たそうか?」
「・・・良いだろう、この屈辱絶対に忘れん! レーティングゲームは俺が必ず勝ち貴様の目の前でリアスを俺の物にしてくれる!」
「・・・出来る物ならしてみろ。 グレイフィア、俺が参加する事については全力は出して構わないな?」
「・・・はい、大丈夫だと思いますが念の為に魔王様とグレモリー家、そしてフェニックス家の両家に確認を取ります。 ですのでその確認の事も含めてリアス様の婚約を賭けたレーティングゲームは十日後の今日この時間で」
「・・・リアス、次はゲームで会おう。 そして、貴様はこの俺が直々に相手して燃やし尽くしてやる!」
そう言い残してライザーとその眷族は魔法陣の光と共に消え去った。